2026年8月13日(木)

 北朝鮮がミサイル発射を公表しないため高度と飛距離は探知できても肝心のミサイルの種類は不明!

 米国は、北朝鮮が発射したミサイルが大陸間弾道ミサイルではなく、短距離(300〜1000km以内)であれば、あまり騒ぎ立てない。しかし、射程圏内に入る韓国は、そういうわけにはいかない。

 韓国は北朝鮮がミサイルを発射すると、国民の安全と財産を守るため、いち早く国民に知らせている。日本も、短距離であっても日本海に向けて発射された以上、反応せざるを得ない。

 日韓両国とも、何時何分に、どこからどこに向けて発射され、飛行時間はどの程度だったのか、また発射体の高度や飛距離についても発表する。

 昨日(12日)午前5時15分頃に発射されたミサイルについても、韓国の合同参謀本部は、日本海に面した元山付近から「東海(日本海)上に向けて発射され、700km以上飛行した」と発表していた。

 日本も防衛省が即座にミサイル発射の事実を伝え、「飛翔は約690km程度で、最高高度は約90km程度」と推定し、落下したのは「日本海の我が国の排他的経済水域外である」と発表していた。日本の方が韓国よりも詳細だった。

 しかし、ミサイルの種類については、韓国も日本も特定できないのか、明らかにしていなかった。新型ミサイルを発射したのか、それとも軍事演習の一環として既存の短距離ミサイルを発射したのか、分からないままである。両国とも、飛翔体そのものについては、米国など関係国と「情報収集・分析に全力を挙げている」との発表にとどめている。

 米国の「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が昨日、報じたところによると、北朝鮮がミサイルを発射した時間帯に米軍の無人偵察機MQ−9B「シーガーディアン」が朝鮮半島周辺を飛行していたようだ。だとするならば、米軍はそれなりに把握しているものと思われるが、それでも改めて公式発表することはなさそうだ。

 これまでならば、発射された飛翔体が何かを探るのにそれほど苦労することはなかった。一日待てば、北朝鮮が誇らしげに発表してくれるからだ。幸いなことに、機種だけでなく、どのようなテストを、どのような目的で行ったのかまで事細かに、それも写真、時には映像付きで公開してくれている。

 しかし、今回は様子が違っている。北朝鮮の対外向けメディアである「朝鮮中央通信」は、13日午後3時現在、今回の発射について一切触れていない。北朝鮮住民向けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」にも報じられていない。短距離ミサイルを発射した一週間前(8月6日)の時と同じように、沈黙を守っている。

 北朝鮮が報道しないケースは、失敗した場合、あるいは完成前のテストの場合に限られる。そのため、韓国では直近2回のミサイル発射はいずれも試験発射の可能性があるとの見方が出ている。

 そこで注目されるのが、2025年10月の労働党創建80周年の軍事パレードでお披露目された「火星11―マ」である。

 「火星11―マ」は、戦術誘導ミサイル「KN−23」(火星11―カ)の改良型である。不規則な飛行軌道を取り、迎撃が難しいとされる極超音速ミサイルである。おそらく、今月6日に発射したミサイルも不規則な飛行軌道をしていたことから「火星11―マ」の可能性が考えられる。

 北朝鮮は今年4月に「火星11―カ」を数発発射した際、「散布戦闘部で7ヘクタール(約7万平方メートル)の標的地域を超強力密度で焦土化できる」と豪語していた。

 昨日の発射はロシアに輸出するための最終テストだったのか、それとも4日後に始まる米韓合同軍事演習への牽制だったのか、北朝鮮の発表を待つ以外に、現時点では分かりようがない。

 しかし、完成に向けての試射であれば、近々金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち合いの下、もう一度、同じ機種のミサイルを発射するかもしれない。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射は、今年に入って11回目である。