2026年8月24日(月)
トランプ大統領にのしかかるハノイ会談決裂のツケ 「二度とチャンスは訪れない」の7年前の予言が的中!
トランプ大統領と金正恩総書記の生成AIチャプター(出展:韓国紙「ニューデイリ」)
トランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)総書記との首脳会談を再度、試みていることについて、米国内だけでなく韓国や日本でも冷めた見方が支配的だ。
冷ややかな理由は、会談が実現しても北朝鮮の非核化は不可能であること、何よりも金総書記が応じるかどうかも分からないことに尽きる。
昨日のこの欄でトランプ大統領が首脳会談実現のため米韓合同演習縮を縮小したことへの議会内の反発を伝えたが、トランプ氏寄りのメディアとして知られる「FOXニュース」でさえも悲観的な見通しを示していたことが分かった。
(参考資料:米国の民主・共和党議員が米韓合同演習縮小反対で「大合唱」! 韓国の保守野党は「核武装」を主張!)
「FOXにュース」は23日(現地時間)「トランプ氏、金正恩氏と核のポーカーゲーム――しかし、カードを握っているのは誰なのか」と題した記事で、トランプ大統領は1期目の政権時よりも「合意を成立させる動機がはるかに乏しい北朝鮮と対峙している」と報じた。
「FOXニュース」は、「北朝鮮はイランとは異なり、すでに成熟した核兵器と多様な運搬手段を保有している」とし、これによって「トランプ氏にはその脅威を軍事的に排除する可能性がほとんど残されておらず、8年前よりも合意に至る道は狭くなっている」と分析した。
「FOXニュース」は専門家らの分析も紹介していたが、その中の一人、米国軍備管理協会の核不拡散政策部長、ケルシー・ダベンポート氏は「北朝鮮の核兵器を迅速に撤去するような一括合意は存在しない」とし、「北朝鮮は2018年よりも厳しい条件で交渉を進めることができる」と述べていた。
「FOXニュース」は(米朝首脳会談は)最終的に金正恩政権が長年望んできた「核保有国としての承認」を事実上実現させる結果につながる可能性があると報じている。これは、米国の事実上の外交敗北を意味している。
大国である米国が北朝鮮のような小国に対して、なぜこのような屈辱を強いられるようになったのか。その最大の原因は、北朝鮮に対する根強い不信からその提言に真面に耳を貸さず、甘く見ていたことに尽きるようだ。
トランプ第1次政権下の2018年6月、シンガポールで史上初の米朝首脳会談が開催されるのを前に訪中した金総書記は、習近平主席との会談で「非核化は先代らの遺訓である。遺訓に従って朝鮮半島の非核化実現に力を尽くすのは我々の変わらない立場だ。米国が我々の安全を確実に保障し、核放棄に伴う全般的な補償をするならば核を完全に放棄する」と明言した。
実際に金総書記はトランプ大統領と会談すると「我々の足を引っ張る過去があり、誤った偏見と慣行がわれわれの目と耳をふさぐことがあったが、すべてを乗り越え、ここまで来た。私は非核化を完遂させる。父は米大統領と交渉したことがなかった。安全が保障されれば、核を保有する理由はない」「私にも子供がいる。父親として、子供らが核を持ったまま生涯を生きることを望んでいない」と訴えた。
翌2019年2月のハノイでの第2回会談で、金総書記は冒頭、「考えてみたら、いつの時よりも苦悩と努力と忍耐心が必要とした期間だった。不信と誤解の敵対的な古い慣行が我々の道を防ごうとしたが、それを取り払い、克服して再びやって来た」と述べ、合意への期待を表明した。
しかし、ウラン核施設をめぐる対立により、会談は決裂した。米国の不信は解消されなかった。北朝鮮が誠意の証として行動で示した、豊渓里の核実験場の爆破や東倉里のミサイル発射台の解体という先行措置も全く評価されなかった。
首脳会談に同席した李容浩(リ・ヨンホ)外相は、会談決裂後に急きょ設定された記者会見で、「我々が要求したのは全面的な制裁の解除ではなく、国連制裁決議11件のうち、2016年から17年までに採択された5件で、民間経済と人民の生活に支障を与える項目だった。米国が解除に応じれば、寧辺地区のプルトニウム、ウランを含むすべての核物質施設を米国の専門家たちの立ち会いの下、両国の共同作業で永久に廃棄することを提案した。こういう機会は二度と訪れないかもしれない」と語った。
当時外務次官だった金総書記の外交ブレーン、崔善姫(チェ・ソンヒ)現外相は、「金委員長は(列車で)故国に戻る途中、『一体何のためにこんな汽車旅行をしなければならないのか』とつぶやいていた。米国は千載一遇の機会を逃した。二度とこのチャンスは訪れないだろう」と、米国への強い不満を示してベトナムを後にした。
あれから7年経った今日、北朝鮮は米国に対して「非核化交渉は二度と行わない」「核は絶対に放棄しない」と突っぱね、米国の対話呼びかけにも応えない。
ハノイ会談が決裂していなければ、寧辺核施設の凍結で核兵器が57個まで増える事態には至らなかったはずだ。また、大陸間弾道ミサイル「火星17型」や、固体燃料型の「火星18型」の開発も進まなかったし、台所事情からの対ロシア派兵もなかったのではないだろうか。南北関係も大幅に改善され、永久分断は防げたはずだ。日朝交渉も再開され、拉致問題も進展したかもしれない。
米国の対北朝鮮不信によるハノイ会談決裂のツケは、実に重い。
(参考資料:「トランプの真夏の夢」慶州がダメならば深センで「金正恩に会いたい」!)