2026年8月25日(火)

 トランプ大統領の「金正恩に会いたい」の狙いはノーベル平和賞と北朝鮮のレアアース?

トランプ大統領がSNSに載せたシンガポールでの金正恩総書記との散策写真(トランプ大統領のSNSから)

 トランプ米大統領がまたまた、金正恩(キム・ジョンウン)総書記に秋波を送った。24日(現地時間)、自身のSNSに金総書記と撮影した写真を3枚投稿した。

 1枚目は2018年6月にシンガポールで行われた初の米朝首脳会談の際に撮影されたもので、残りの2枚は2019年6月に韓国と北朝鮮の軍事境界線上にある板門店で会談した際の写真である。物別れに終わった2019年2月のハノイ会談の写真は何故か投稿しなかった。

 米韓合同軍事演習を大幅に縮小し、金総書記に融和的なメッセージを送った流れの一環とみられ、何が何でも11月の米中間選挙までに米朝首脳会談を実現させたいようだ。

 韓国の政界やマスメディアでは連日、トランプ大統領の金総書記へのラブコールが話題となっているが、今朝の保守系大手紙「中央日報」の記事が興味を引いた。見出しが「トランプの北朝鮮・米国首脳会談カード、その本音はノーベル賞とレアアース2億トン」となっていたからだ。

 同紙も他のメディアと同様にトランプ大統領が再び「米朝首脳会談」というカードを切った背景にはイラン戦争の長期化に伴う政治的・経済的負担を打開しようとする計算があると分析している。そのうえで▲中間選挙を控えた国内政治上の計算▲前政権が解決できなかった北朝鮮の核問題を解決したという「レガシー(政治的功績)」の確保▲北朝鮮の地下資源の確保という実利まで狙った、多目的な布石だとする専門家らの分析を紹介している。

 中でも同紙は、昨年10月の李在明(イ・ジェミョン)大統領との首脳会談でトランプ大統領が「朝鮮半島は公式には戦争状態にある。それを正すために何ができるのか見てみる」と発言したことに注目し、「終戦宣言や平和協定まで念頭に置いた発言ではないか」との見方を披露していた。

 また、「実利を重視するトランプ大統領が北朝鮮のレアアース(希土類)などの地下資源に注目する可能性も指摘されている」とし、その根拠として「米中の戦略的競争が続く中、サプライチェーンの多様化を進める米国にとっては魅力的なカードとなり得る」と指摘している。北朝鮮のレアアース埋蔵量については「公式推計だけでも2000万〜4800万トンに達する。一部の民間調査では、最大で2億トンを超えると推定される」と書いている。

 同紙はレアアースについては「ウクライナやグリーンランドに適用した『鉱物協定』モデルが北朝鮮との交渉にも登場する可能性があるとの見方が出ている」とし、「鉱物・安全保障協定によって米国には先端資源を、北朝鮮には経済の近代化に必要な資金を提供できる」とするスティムソン・センターの特別研究員、ジョエル・ウィット氏のコメントを紹介していた。

 同紙が推測するまでもなく、首脳会談の結果、北朝鮮が核活動を凍結し、ミサイル発射を中止させ、休戦状態にある朝鮮戦争を国際法的に完全に終結させることができれば、確かにトランプ大統領はノーベル平和賞を受賞できるかもしれない。

 韓国の金大中(キム・デジュン)元大統領ですら、韓国の大統領として史上初めて訪朝し、南北首脳会談を実現させたことなどが評価され、ノーベル平和賞を受賞しているからだ。まして朝鮮戦争を73年目にして終結させることができれば、「平和の使者」としてのイメージを大きく高めることができるだろう。

 もう一つの狙いであるレアアースについて言うならば、米国ではこれまで、スタントン・グループ、ミネラル・テクノロジー社、コメタル社などが北朝鮮の地下資源に関心を示してきた。ミネラル・テクノロジー社は早くも1995年には米国が海外から輸入する量の4分の1に相当する1000万トンのマグネサイト購入を計画したことがあった。

 一般にはあまり知られていないが、農業および鉱物関連のグローバル企業による北朝鮮への秘密裏の訪問には、トランプ米大統領の義理の息子であり、側近の一人でもあるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が何らかの役割を果たしている可能性がある。

 トランプ大統領が2018年当時、非核化交渉が進展することを前提にクシュナー氏に対して北朝鮮への投資計画を検討してみるよう指示したとの話が漏れ伝わったことがあった。トランプ大統領と同じくニューヨーク一帯で不動産事業を手掛けていたクシュナー氏はホワイトハウス入り後、米国の鉱業関係者を通じて北朝鮮側の関係者と接触し、2018年6月にシンガポールで開催された米朝首脳会談の実現にも深く関与したとされている。

 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は当時、「北朝鮮の最高幹部が前年夏シンガポールに拠点を置く米国人実業家ガブリエル・シュルツ氏に依頼し、クシュナー氏との水面下のルートを模索していた。そして、こうした関係が米朝首脳会談の実現に役立った」と報じたことがあった。

 シュルツ氏は「SGIフロンティア・キャピタル」という会社を運営し、エチオピアやモンゴルなどで鉱山開発事業を行ってきたほか、当時、何度も北朝鮮を訪問し、北朝鮮側と開発事業について協議していた人物とされている。

 第2次トランプ政権下でもクシュナー氏やシュルツ氏が北朝鮮と接触しているとの情報は確認されていない。

(参考資料:トランプ大統領にのしかかるハノイ会談決裂のツケ 「二度とチャンスは訪れない」の7年前の予言が的中!)