2026年2月12日(木)

 韓国情報院の北朝鮮情報は内容がなく新味もない

韓国国家情報院(出典:情報院HPから)

 韓国の情報機関、国家情報院が本日(2月12日)開かれた国会情報委員会の全体会議で北朝鮮に関する情報と分析を披露していた。いつものように内容のない、面白くもない、一言で片づけると新味がない。

 北朝鮮情報は国家機密に当たり、安全保障に関わることから核心情報は簡単には開示できないことは理解できるが、それにしても、どれもこれも当たり障りない情報ばかりだ。

 情報委員会の与野党幹事を務める与党「共に民主党」の朴善源(パク・ソンウォン)議員と最大野党「国民の力」の李成権(イ・ソ「ジュエ」議員が伝えたところによると、情報院は金正恩(キム・ジョンウン)総書記の「ジュエ」と称されている娘について「後継者に内定した段階にあると判断している」と報告したようだ。

 その理由については▲2月8日の人民軍創建記念日行事への出席▲平壌の錦繍山太陽宮殿の参拝▲一部の施策について意見を述べていることなどが上げられているが、これらは北朝鮮が映像や写真で公開していることで情報院しか知らない極秘情報でも何でもない。日本のメディアでもすでに報道されている事柄で、むしろ情報院の認知は遅すぎる。

 それでいて、今月下旬に開催される労働党第9回大会の付随行事への娘の出席の可能性については「出席するかどうか重点的に確認していく方針である」と説明していたが、要は今の段階では一般の北朝鮮問題専門家同様にわからないということだ。

 それでも韓国のメディアは国情院が以前の「後継者としての教育」という表現から今回は「後継内定の段階」という言葉を使用したことから娘の地位について「これまでの報告で使われていた規定よりも踏み込んだ」と伝えているが、どのようなプロセスを経て踏み込むことになったのかの説明がない。

 情報院が娘について最初に公式コメントを出したのは娘が大陸間弾道ミサイル「火星17型」が初めて発射された2022年11月17日と記憶しているが、当時、写真で娘を見た情報院は「金総書記の第1子は男の子」なので後継者の可能性は薄いと分析していた。翌年(2023年)3月に開かれた国会情報委員会でも「第1子は息子と把握している」と報告していた。

 それが怪しくなったのはこの年の12月で尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権下では国情院院長に指名された趙太庸(チョテヨン)国家安保室長が「後継者として検証しなければならないのでないか」と発言してからだ。そして、2024年になると、「現在のところ有力な後継者とみられる」との見解を示すことになった。趙太庸院長が同年1月4日までに国会に提出した人事聴聞会の答弁書で娘について「公開活動の内容や礼遇の水準を総合的に分析したところ、現在としては有力な後継者」との見解を明らかにしたからだ。

 また、米朝関係についても情報院の分析は北朝鮮問題専門家でなくてもその程度は判断できる内容だ。

 米朝の対話の可能性について情報院は「条件が整えば(北朝鮮が)対話に応じる余地がある」と国会に報告しているが、その根拠として▲「北朝鮮は米国の戦略資産の朝鮮半島周辺への展開に対してその都度米国に不満を示しているが、米国との対話自体を否定していない▲トランプ大統領に対する非難も控えている▲トランプ大統領を刺激しないため、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射も行っていないことなどを上げ、「北朝鮮と米国との間で接点を模索する可能性がある」と予想していた。

 北朝鮮が米朝の対話の可能性を閉ざしていないことは昨年9月21日の金総書記の最高人民会議第14期第13次会議での演説で発した次の一言をみれば、一目瞭然だ。

 「もし、米国が荒唐無稽な非核化執念を取り払い、現実を認定した上でわれわれとの真の平和共存を願うならば、われわれにも米国と対座できない理由はない。私は今も、個人的には現米大統領トランプに良い思い出を持っている」

 北朝鮮がトランプ政権になってから短距離弾道ミサイルや型極超音速中・長距離弾道ミサイル(IRBM)、さらには巡行ミサイルを発射しても大陸間弾頭ミサイルを一度も発射していないのは情報院が触れるまでもなく米朝日誌をチェックすれば、わかることである。

 韓国の北朝鮮に関する情報能力はこの程度のレベルである。ヒューミント情報はほぼゼロで、北朝鮮が公開した情報を基に分析するのが精一杯で事前に予知はできない。

 たまに予知したかと思えば、外れる。その一例が北朝鮮の7度目の核実験の可能性である。

 情報院は北朝鮮が7度目の核実験をやるやると、何度も予告し、その都度、外している。例えば、2022年の年は「米中間選挙日の11月8日までに行われる可能性がある」とか、「中国共産党大会の終了後、米国の中間選挙までの間に行う可能性がある」と予測していた。韓国大統領室の申源G(シン・ウォンシク)国家安保室長にいたっては2024年9月に韓国の「聯合ニュースTV」に出演し、「米大統領選挙(11月7日)の時期も含めて可能性は十分にある」と発言していた。

 米朝対話、即ち国際社会が知りたいのはトランプ大統領の4月訪中後に米朝対話が再開されるかどうかだが、これについては情報院は何一つ情報を持ってない。

 莫大な予算を使っている割には正直、大したことない。イスラエルの情報機関「モサド」情報収集能力には足元にも及ばない。