2026年2月7日(土)

 労働党第9回大会は南北永久分断の歴史的な党大会となる

二度と見ることのできない南北首脳の光景 2018年9月の文在寅大統領と金正恩総書記(労働新聞から)

 李在明(イ・ジェミョン)政権が発足(2025年6月4日)してから7か月が経過した。

 首脳の相互訪問で日韓関係、中韓関係は順調だが、南北関係は凍結したままで「一歩も前に進めない」(李大統領)状態に置かれている。

 北朝鮮に対して融和政策を取り、李大統領自身も金正恩(キム・ジョンウン)総書記にトランプ大統領や習近平主席を通じてラブコールを送っているが無視されたままである。

 李大統領自身は金正恩総書記が2年前(2024年1月15日)に開催した最高人民会議での施政演説で「大韓民国は不変の主敵である」と強調し、「共和国の民族歴史から『統一』、『和解』、『同族』という概念自体を完全に削除しなければならない」と述べ、韓国との統一を放棄したことを知らないはずはない。

 北朝鮮から絶縁を突き付けられても李大統領は北朝鮮との統一への未練を捨てきれないようだ。当然だ。韓国にとって統一は憲法にも明示されている悲願でもあり、言わば国是でもある。大統領の宣誓文には決まって「祖国の平和統一」への誓いが盛り込まれている。

 李在明政権内には「南北関係悪化の元凶である尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権から北朝鮮に融和的な政権に変わったので南北関係は元の状態に戻るのではないか」とか「金総書記が心変わりするのでは」との期待が垣間見える。まだ「首の皮一枚繋がっているのでは」との淡い期待を抱くのはわからないわけではない。

 南北協力の象徴である共同連絡事務所を北朝鮮が文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2020年9月に爆破し、南北関係が冷却化した時ですら南北首脳間で親書交換があったからだ。文大統領が「コロナ」関連で見舞いの親書を送ったところ、金総書記から「ひどい今年のこの時間が早く流れ、良いことが順番にやってくることを心待ちしている」との返書が届いていた。こうした前例からそうした淡い期待を持つのであろう。

 確かに、北朝鮮は2021年までは韓国との関係改善を諦めていなかった。そのことはこの年の9月25日に出された「私は梗塞した北南関係を一日も早く回復し、平和的安定を成し遂げようとする南朝鮮の各界の雰囲気は阻むことのできないほど強烈であるという感じを受けた。我々もやはり、そのような願いは同じである」との金総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長の談話からも明らかだ。

 しかし、約1年後の2022年8月10日の談話で金副部長は「我々もこれからは対敵、対南意識を新たにすべき時だと思う。同族よりも同盟を優先させている連中ら、同族対決に躍起になっている南の嫌悪すべき連中らを同族であると時代錯誤的考えを持てば、それこそ恐るべき自殺行為である。(中略)南朝鮮傀儡こそ我々の普遍の主敵である」と対韓姿勢を一変させた。

 折しも金副部長はこの談話で韓国が「コロナウィルスが付着したビラを北朝鮮に向け散布した」と批判していた。金副部長によると、金総書記は「コロナ」による酷い高熱で苦しんでいたとされている。

 そして、翌2023年12月金総書記は党第8期第9回全員会議拡大会議での報告で統一問題について触れ「長きにわたる北南関係を振り返りながら我が党が下した総体的な結論は、一つの民族、一つの国家、二つの体制に基づいた我々の祖国統一路線と克明に相反する『吸収統一』『体制統一』を国策と定めた大韓民国の連中とはいつになっても統一が実現しないということである」と述べ、「北南関係はこれ以上、同族関係、同質関係ではない敵対的な両国関係、戦争中にある両交戦国関係に完全に固着された」と韓国との関係断絶を宣言した。

 それ以来、北朝鮮は「南朝鮮」もしくは「南半部」と呼称していた韓国を今では「大韓民国」と正式国名で呼び、国歌から朝鮮半島全土を指す「三千里」の文言を削除し、北朝鮮が描く朝鮮半島の地図から南半部(大韓民国)を消してしまった。

 対南機構及び団体をすべて廃止し、解体し、「祖国統一3大憲章記念塔」や金剛山観光施設など南北交流象徴物も撤去し、先代が韓国の大統領との間で交わした「共同宣言」も「南北合意」もすべて無にしてしまった。

 金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長は昨年7月28日に李政権に向けて「我々はソウルでどんな政策が樹立され、どんな提案がされようと興味がなく、韓国と対座することも、議論する問題もないという公式立場を再度明白にする」と、突き放すメッセージを発信していた。現状では李政権がどんなに秋波を送っても南北関係は元に戻らないであろう。

 北朝鮮が労働党第9回大会を開催し、党規約から「統一」の文言を削除し、その後に開催される最高人民会議で憲法を改正し、韓国を「不変の敵国」と定めれば、李政権の労力は一巻の終わりとなる。