2026年2月9日(月)

 日韓「真逆の総選挙」結果 日本は保守が、韓国は革新が3分の2を占める

高市早苗首相と李在明大統領(出典:韓国大統領室)

 「自民党の歴史的大勝」のニュースは今朝、韓国でも速報で流れていた。

 「自民党勝利」の選挙予測は選挙期間中に韓国でも伝えられていたことから自民党が過半数を獲得しても驚きには値しないが、定数(465議席)の3分の2を超えたことには韓国の政界は与野党問わず、一様に衝撃を受けている。

 高市早苗首相が率いる連立与党は連立のパートナー、維新の会の36議席を加えると、352議席を占め、高市政権も李在明(イ・ジェミョン)政権同様に絶対的安定政権となった。

 李政権の韓国では総選挙(国会議員選挙)は2年前の2024年4月10日にすでに行われている。まだ尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の時で、李大統領の共に民主党は当時野党だった。

 韓国は日本よりもどちらかと言うと、政治意識が高く、投票率は今回の日本の総選挙(56.26%)よりも約10ポイント高い67%だった。

 その結果、共に民主党は文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2020年4月に与党として臨んだ選挙(66.2%投票率)で獲得した180議席を5議席下回ったものの定数(300議席)のうち過半数(150議席)を大きく上回る175議席を獲得した。尹政権の与党、国民の力は前回よりも5議席増やしたものの108議席と惨敗し、少数与党に甘んじた。

 共に民主党の流れをくむ祖国革新党(12議席)と急進左派の進歩党や基本所得党などを含めると、現在191議席に達し、李政権の「連立与党」も国会では3分の2に近い議席を有している。

 自民党と共に民主党の選挙結果には共通点が多い。

 例えば、自民党は首都・東京では30議席を全て独占したが、共に民主党もソウル(48議席)では全勝とはならなかったものの37議席を獲得していた。

 また、自民党は神奈川(20議席)、埼玉(16議席)、千葉(14議席)を含む首都圏50議席のうち千葉で1議席落としただけで49議席を占めたが、共に民主党も首都圏の京畿道(60議席)で53議席、仁川市(14議席)で12議席と圧勝していた。

 高市政権も李政権も権力基盤は盤石だ。選挙に勝っただけでなく、何よりも支持率が高い。高市首相の支持率は就任以来、コンスタントに70%を超え、李大統領もまた平均60%を維持している。

 衆議院議員の任期満了は4年後なので仮にそれまでの間に解散がなければ、高市政権は2030年までは安泰である。

 韓国は日本と異なり大統領や総理に国会解散権はなく、国会議員は任期満了まで務めることができる。

 韓国の国会議員の任期も4年なので次の選挙は2028年4月だが、大統領の任期は1期5年なので、李政権は次の大統領選挙が行われる2030年6月までは政権を維持できる。

 日本の首相の場合は本人が健康問題などで辞意を表明しない限り、また国会で不信任を突き付けられない限り、退陣することはないが、韓国の大統領の場合も弾劾されない限り、政権に居座ることができる。

 何かと共通点の多い高市政権と李政権だが、唯一の相違点を上げるとすれば、高市首相が思想的には右なのに対して李大統領が左であることだ。それでも高市首相就任以来、すでに4度も会っていることから気が合っているようだ。

 何よりも、高市首相が李大統領について「友情と信頼関係にある」と評価しているだけでなく、李大統領もまた、高市首相について「(高市首相は)同じ考えを持つ素晴らしい政治家だと思った。今後、韓日関係はしっかり協力して今よりはるかに良い段階に進めることができる」と、高評価していることだ。日本の首相がかつて韓国の大統領を褒め称えることはあっても韓国の大統領が日本の首相を持ち上げることはなかった。

 首脳同士のシャトル外交や親交により韓国の対日国民感情は著しく好転しているのは紛れもない事実である。それでも韓国メディアの高市首相に貼った「極右」のレッテルは?がれていないのが気になる。そのことは自民党の圧勝を伝えた韓国のメディアをみると明らかだ。

 右寄りのメディア「朝鮮ビッズ」も「自民党圧勝で戦争可能な国会に改憲可能性高まる」との見出しの記事を、また左寄りの「京郷新聞」も「戦争可能な国に向け改憲推進に弾力」との見出しの記事を掲げていた。何よりも領土問題や歴史認識問題への高市政権への警戒感を解いていないことに尽きる。

 今月22日は竹島の日である。

 高市首相は「竹島の日」の島根県主催の行事に閣僚を出席させるべきとの持論の持ち主である。自民党総裁選直前にも「最近も顔色をうかがう必要はなく、政務官ではなく、閣僚を派遣すべき」と言い放っていたことは記憶に新しい。

 また、高市首相は靖国参拝についても参拝できるよう「環境を整えるため(関係国の理解を得られるよう)努力をする」と選挙後語っていたが、高市首相が靖国神社に玉串料を奉納しただけでも反対している韓国が高市首相の参拝に同意するとは考えにくい。

 本来ならば、日韓はこれから「黄金期」を迎えてもおかしくはない。しかし、難題が横たわっているだけに両国ともに今後の相手の出方を注視せざるを得ないであろう。

(参考資料:正念場の奈良での日韓首脳会談 「タカ」の高市首相と「ハト」の李大統領は相思相愛?)