2026年1月22日(木)
ウクライナ軍が恐れる北朝鮮兵の特攻、自爆精神 直ぐに捕虜になるロシア兵と違い北朝鮮兵は自爆を選ぶ
ロシア領クルスクに派兵された北朝鮮兵士(労働新聞から)
北朝鮮がロシアに援軍を送ったことが明らかになった2024年11月1日付の本稿で、筆者は「北朝鮮の対露派兵部隊が『暴風軍団』ならば投降せず、自害する!」との見出しの記事を掲載し、「北朝鮮のロシア派兵兵士がどれだけ投降、離脱するのかは北朝鮮軍の実態を探るうえで実に興味深い」と記した。
その後、国際紛争専門プロデューサーのキム・ヨンミPDが昨年10月、ウクライナの収容施設で北朝鮮軍の狙撃手リ・ガンウン氏(27歳)と小銃手ペク・ピョンガン氏(22)にインタビューした映像が今月20日に「MBC」の名物番組『PD手帳』で公開されたことで二人の証言が各紙で大きく取り上げられている。
リ兵士もペク兵士も「死ねずに捕虜になったという事実に罪悪感と恐怖を感じている」と語っていたが、狙撃手だった年長のリ兵士は「捕虜になるというのは逆賊であり、国を裏切ったのと同じだ。他の人たちは捕虜にならないように皆自爆したが、私は自爆できなかった」と述べ、「これからの人生であの時死ねなかった後悔が100倍になって返ってくるのではないか」とつぶやいていた。
ペク兵士も、捕虜になった瞬間について「(自爆しようと)手榴弾を探したが見当たらず、死ぬこともできない状況で途方に暮れた」と語り、「捕虜になって、こんなにみじめに生きることはできないのではないかと思った」と述べた。また、「朝鮮(北朝鮮)の軍人は捕虜になれない」「捕虜になったという事実そのものが罪だ」とも語っていた。
キム・ヨンミPDはさらに「京郷新聞」の新年企画として「ロシア―ウクライナ戦争 北朝鮮軍派兵1年」と題する特集記事を5回にわたり掲載しているが、初回の「北朝鮮軍は進化した」では、ウクライナ軍およびロシア軍による北朝鮮軍の評価が描写されており、実に興味深い内容となっていた。
北朝鮮は2024年6月に訪朝したロシアのプーチン大統領との間で締結した「露朝包括的戦略パートナーシップ条約」に基づき、ウクライナ軍が占領したロシア領クルスク州に、同年10月から特殊部隊員を中心に約1万3000人を派遣した。これを迎え撃ったのが、ウクライナ軍精鋭の第80空中強襲旅団である。
北朝鮮軍が当初、聞いたことも見たこともないドローンによって多数の死傷者を出したことはすでに既成の事実として報道されている。しかし、第80旅団の偵察兵によると、それは初期に限られた現象だったという。
第80旅団の偵察兵は北朝鮮軍は時間の経過とともに戦い方を進化させ、「我々がより大規模な兵力に注意を奪われている隙を突き、別の北朝鮮軍部隊が側面から密かに回り込んで攻撃してきた」と語っている。派兵から約2か月が過ぎると、北朝鮮軍はもはやドローンに一方的にやられる烏合の衆ではなくなっていたそうだ。
ウクライナ軍第225独立突撃大隊の軍曹は「北朝鮮軍はこれまで見たことのない方法で戦闘を行った。ドローン兵が偵察していたにもかかわらず、草木に身を隠し、実に1.8kmも前進して、我々の目前50mまで接近してきた」と証言した。「北朝鮮軍の奇襲で交戦が始まり、2〜3時間後に増援が到着して、ようやく全員を殲滅できた」と述べ、「本当に驚いた。北朝鮮軍は非常によく訓練されていた。さらに驚いたのは誰一人として逃走や降伏をしなかったことで、文字通り『片道切符(one−way ticket)』だけを持っているようだった」と語った。
ロシア・ウクライナ戦争では確認されている北朝鮮軍の捕虜はわずか2人に過ぎないことについて軍曹は昨年2月未明に北朝鮮軍と交戦した際の体験を語っている。
彼は交戦規則に従い、負傷した北朝鮮兵に近づき身体検査を行おうとした。しかし、その兵士は手榴弾を所持しており、即座に安全ピンを抜いた。ペトロ軍曹は間一髪で身をかわしたが、北朝鮮兵は爆死した。
軍曹は「交戦した北朝鮮軍は全員、捕虜になるより自爆を選ぶ。大半が捕虜の道を選ぶロシア軍とは明らかに違う」と語った。
ロシア軍捕虜の中には、「死ぬくらいなら捕虜になる」道を選ぶ者が多いという。あるロシア兵捕虜は「砲撃が始まると、自らウクライナ軍陣地に向かい捕虜になった」「自分はただの弾よけに過ぎないと悟り、『200番』(戦死者)になりたくなかった」と語った。別の捕虜も「戦友が降伏を提案した」「自分はまだ25歳だと気づき、発砲せず降伏することを決めた」と述べている。
決して降伏せず自爆を選ぶ北朝鮮軍の姿はウクライナ軍に大きな衝撃を与えた。ドミトラシキウスキー大佐は「大隊長が北朝鮮兵1人を生け捕りにしたが、その兵士は自分の腕の血管を噛み切って死亡した」と伝えている。
ウクライナ情報総局の報道官アンドリー・チェルニャクは「北朝鮮軍は北朝鮮の宣伝によって完全に洗脳され、世界がどう動いているのか全く理解していない人々だ」「金正恩を『太陽』と考える北朝鮮軍は、捕虜になれば自殺するよう徹底的に洗脳教育されているが、ここまで深刻だとは思わなかった」と語っている。
「常に死ぬ覚悟ができており、前進することしか知らず、恐怖を知らず、実戦の中で自ら進化する北朝鮮軍をロシア・ウクライナ戦争に投入したことは、ロシアにとっては“神の一手”となった。一方、予想もしなかった北朝鮮軍の出現によってクルスクから撤退を余儀なくされたウクライナにとっては、痛恨の損失となった」とキム・ヨンミPDは結論づけている。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は1月16日に開かれた社会主義愛国青年同盟創立80周年記念大会での演説で、ロシアに派兵された青年軍人らに触れ、「世界には我が国の軍人のようにいかなる報酬や個人的利害がなくとも戦場に出て祖国の名誉と自尊を守り、命令に忠実に従って戦う軍人は存在しない。ひたすら朝鮮人、朝鮮の青年しかできないことであるためこの世はまだ彼らの世界を理解できずにいる」と発言していたが、自画自賛したのは若い兵士らの犠牲精神、特攻精神、自爆精神のようだ。