2026年1月23日(金)
前国連事務総長の潘基文は統一教会の「広告塔」だったのか?
ニューヨークの国連本部に展示されている潘基文前国連事務総長の肖像画(「JPニュース」)
統一教会(世界平和統一家庭連合)の教主でもある韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に報告される、いわゆる「TM(True Mother=『真の母』を指し、韓総裁を意味する)報告」と題する文書から、2007年1月から2016年12月まで第8代国連事務総長を務めた潘基文(パン・ギムン)氏が、教団内で「秘密兵器」「真の母の息子」と評されていたことが明らかになった。
潘前事務総長と教団との蜜月をスクープしたのは、放送会社「CBS」系の総合ニュースメディア「ノーカットニュース」。同メディアによると、潘前事務総長は当該報告書で60回以上言及されており、教団から約6億ウォン(日本円で約6489万円)を受け取ったとみられる内容も含まれている。
潘前事務総長は国連事務総長退任後、朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)の罷免に伴い急遽実施されることとなった2017年3月の韓国大統領選挙への出馬意向を表明したが、世論調査で支持率が伸び悩み途中で辞退。その後、2018年から国際機関「グローバル・グリーン成長研究所(GGGI)」の議長を務め、2019年には非営利法人「潘基文財団」を設立し、理事長として活動していた。
約3千ページに及ぶこの報告書は教団のロビー活動疑惑におけるキーパーソンとされる元教団ナンバー2だった尹永浩(ユン・ヨンホ)前世界本部長が2018年から2023年にかけて韓総裁に報告するため作成したものとされている。以下は「ノーカットニュース」の記事の概要である。
潘前事務総長の名前は、2019年10月2日付の報告書に「特別ミーティング 潘基文関連」として初めて登場する。さらに、翌2020年2月21日に作成された文書には、潘前事務総長に授与された「鮮鶴平和賞」の賞金及び関連費用が決算項目として記載されていた。
教団創始者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の「鮮」と、夫人である韓鶴子総裁の「鶴」の一字を冠した「鮮鶴平和賞」は、教団が2015年から隔年で授与している賞である。潘前事務総2020年に「創設者特別賞」を受賞しており、その賞金は50万ドルで、当時の為替レートで約6億ウォンに相当する。
報告書によれば、潘前事務総長は2020年1月に開催された「天地人父母聖誕100周年および天宙聖婚60周年記念行事」において「歓迎挨拶推進対象者」として記載されている。また、同年2月の世界平和言論大会関連文書では「潘基文総長表敬訪問」との記述があった。
さらに、2020年8月の「新統一世界定着のための希望前進大会」では演説者として登壇し、2021年5月の「統一韓国のためのシンクタンク2022発足式」でも歓迎挨拶予定者として名前が挙げられていた。
「TM報告書」には「潘基文前国連事務総長が単なる行事参加者を超え、教団の象徴性や路線を対外的に示す人物として認識されていたことをうかがわせる表現も登場している」と、「ノーカットニュース」は伝えている。
その一例として、日本の世界平和統一家庭連合会長A氏が2020年8月9日に韓総裁へ報告した書簡では、同月に開催された「神統一世界安着のための希望前進大会」について、「(潘基文元国連事務総長が)立派に真の母様を証し、UPF(天宙平和連合)の統一運動を、その豊かな国際的経験を中心に裏付けたスピーチであり、本当に世界的次元の偉大な洗礼者ヨハネであることを痛感した」と記されている。
また、2021年4月22日作成のA氏の書信報告では、「統一韓国のためのシンクタンク2022発足式兼第6回希望前進大会」に関連し、潘前事務総長が主催側の立場で歓迎挨拶を行う予定であるとされていた。A氏は「潘基文元国連事務総長のネームバリューは言うまでもなくグローバルで、日本でも知らない人はいない」としたうえで、「再び潘基文事務総長を掴んでいること、そして世界の大物を掴む上で大きな役割を果たせる、本当に偉大な洗礼者ヨハネとも言える秘密兵器だ」と評価している。
さらに、2022年7月3日作成の書信報告では、潘前事務総長が「真の母の息子」と規定されている。「TM報告書」には、「潘基文UN元事務総長も同様に、韓国において母様の息子になったと確信する」との表現が登場する。2022年以降は、潘前事務総長が設立した「潘基文財団」も報告書内に5回登場している。
「TM報告書」では、潘元事務総長以外にも、フン・セン・カンボジア首相、マキ・サル前セネガル大統領、マイク・ポンペオ前米国務長官など多くの世界的有力人物に対し、教団行事の演説者として要請していたことが言及されている。
「ノーカットニュース」は「統一教会が、これらの人物に対し、賞金を伴う平和賞の授与、航空券や宿泊の支援、教団行事への招待などを通じて関係を築き、その後、教団の地位や影響力を対外的に誇示するために活用してきたとみられる」と伝えている。
潘前事務総長はこの件に関する「ノーカットニュース」の取材に対して「行事に行って演説をしたことはあるが、特別な関係はない」と述べ、「鮮鶴平和賞」の受賞についても「平和賞をあげると言われたので行ったのであって、私だけが受け取ったわけではなく、外国人も多く受賞している」と説明した。さらに、「統一教会を直接助けたことはない。賞を受け取りに行った以外に、ミーティングをしたり特別に関与した事実はない」と述べ、教団との密接な関係を否定している。