2026年7月22日(水)

 原子力潜水艦の進水と同時に軍事偵察衛星の発射も準備している北朝鮮

北朝鮮が2023年11月に発射し、唯一成功した軍事偵察衛星「千里馬1号」(朝鮮中央テレビ)

 北朝鮮が建造中の原子力潜水艦の進水が迫っていることは、7月7日付の本欄で伝えたが、軍事偵察衛星の発射準備も同時に進められていることが明らかになった。

 北朝鮮の軍事情報をいち早く伝えている米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」は21日、平安北道鉄山郡東倉里の西海衛星発射場にある発射台が整備されたとみられる状況が確認されたと報じた。その上で、「北朝鮮が偵察衛星の打ち上げ再開に向けた準備を進めていることを示す最新の兆候だ」と伝えている。

 東倉里の西海衛星発射場は2012年以降は人工衛星の発射場として、また2023年以降は軍事偵察衛星の発射場として使用されている。

 「NKニュース」によると、プラネット・ラブズやエアバスなどの民間衛星企業が7月15日から18日にかけて撮影した衛星画像を分析した結果、西海衛星発射場の海岸側発射台の表面が再舗装された痕跡が確認された。また、6月中旬以降には、発射台近くの森林を横切る形で、安全線または送電線の延長を目的とみられる掘削作業も行われていたと分析された。

 「NKニュース」は、東倉里の発射台について、2023年6〜7月に最後の再舗装・補修工事が行われて以来、今回まで特段の整備作業は確認されていなかったと伝えた。

 金総書記は2024年までに偵察衛星3基を保有すると明言していたが、北朝鮮は2024年5月に4度目の打ち上げに失敗して以来、衛星の打ち上げを行っていない。今回の動きが事実であれば、近々再び衛星打ち上げに踏み切る可能性が高い。

 今年5月には、西海衛星発射場でロケットエンジンの燃焼試験が行われた痕跡や、来賓用観覧台の建設状況が確認されていたが、観覧台については最近になって工事が完了したことも確認されている。

 4回目の打ち上げでは、第1段エンジンの不具合によりロケットが空中爆発し、失敗に終わった。金総書記は翌日、国防科学院を訪れ、「作戦上必要な宇宙偵察能力の保有を放棄することはできない。闘争目標は必ず達成する」と強調。さらに、科学技術者に対しても、軍事偵察衛星の保有は「国家の安全と直結した焦眉の課題」であると力説していた。

 4度目の発射から2年以上にわたって計画が遅延している理由としては@新型液体酸素・石油エンジンの信頼性がなお確立されていないA国連制裁により部品調達が困難となり、ロケットや衛星の完成が遅れているB米朝首脳会談の可能性を見据え、トランプ政権を刺激しないよう自制している、Cロシアの衛星利用へと方針転換した――などが考えられていた。

 しかし、北朝鮮は今年2月に開かれた第9回労働党大会で、有事の際に敵国の衛星を攻撃するための特殊資産や、高度化した偵察衛星の開発を新国防発展5カ年計画の課題として提示し、偵察衛星の開発を断念せず、引き続き推進する方針を示していた。