2026年7月24日(金)
集中豪雨に戦々恐々の北朝鮮幹部 水害被害を発生させれば粛清される!
2023年8月に水害被害を視察した金正恩総書記
北朝鮮全土が集中豪雨に見舞われている。
豪雨は7月17日から断続的に降り続いており、梅雨入り以降、北朝鮮ではほぼ連日、豪雨・大雨注意警報が発令されている。
北朝鮮の気象庁の発表によると、20日から21日にかけて、黄海南道、黄海北道、江原道、開城市など南部地域では局地的に最大372ミリの非常に激しい雨が降り、1時間当たり30〜50ミリの雨量を記録した。
朝鮮中央テレビによると、昨日(23日)も黄海南道、黄海北道および江原道の一部地域では、1時間当たり50〜80ミリの豪雨を伴う80〜150ミリの大雨が降り、中級警報が発令されていた。
さらに北朝鮮の気象庁は今朝(24日)、24日午後から25日にかけて、平壌市、平安南道、平安北道および慈江道の一部地域に豪雨・大雨注意警報を発令した。
注意警報の対象となった順安、徳川、球場、松源、香山をはじめとする平壌市、平安南道、平安北道、慈江道の一部地域では、1時間当たり30〜70ミリの激しい雨を伴い、100〜150ミリの降雨が予想されている。特に平安南道と平安北道の局地的な地域では、200〜250ミリの大雨となる見込みだ。
このため、臨津江上流にある黄江(ファンガン)ダムでは放流が実施された。しかし、北朝鮮が事前通知を行わずに黄江ダムを放流したことで、韓国側の京畿道漣川郡一帯を流れる臨津江の水位は洪水危険水位まで上昇し、韓国の隣接地域は洪水の危機にさらされている。南北は2009年10月、黄江ダムを放流する際には事前に韓国へ通知することで合意していたが、北朝鮮側は2014年以降、事前通報なしで放流を続けている。
24日付の労働新聞を見ると、「災害性気象は続く 万全の対応態勢を堅持しよう」との見出しの記事が掲載されていた。
記事は、「各種事故や自然災害を防ぐための対策を徹底して講じなければならない」とする金正恩(キム・ジョンウン)総書記の「教示」を冒頭で紹介したうえで、「全国各地で時ならぬ豪雨や大雨が降るなど、天候の不安定な状況が続いている今日の現実は、すべての幹部と勤労者に対し、最大限の緊張感を保ち、万全の対応態勢を堅持していくことを求めている」と伝えていた。興味深いのは、次のように幹部の役割を強調していた点だ。
「ここで鍵となるのは幹部の責任感と役割である。一つの部門、一つの地域、一つの単位の事業を担う幹部が一瞬でも気を緩めれば、それが最終的には重大な結果を招くことになる。豪雨や洪水の危険が目前に迫る今こそ、すべての幹部は自らの存在価値について改めて深く考えなければならない。(中略)幹部は座って指示を出し、その結果報告を受けるだけではなく、自ら現場に赴き、最悪の事態まで想定しながら、貯水池や遊水池、堤防、海岸防潮堤をはじめとする重要施設を一つ一つ改めて具体的に点検し、先手を打った対策を講じなければならない」
北朝鮮では、台風や集中豪雨で大きな被害が発生すると、幹部は責任を取らされ、一瞬にして失脚することも珍しくない。
例えば2020年9月、台風の直撃を受けた江原道の中心都市・元山市では、2日から3日にかけて200ミリに達する暴風雨に見舞われ、多数の死者が出た。当時、北朝鮮当局は、党中央委員会が8月25日に決定・指示した「台風による人民の被害を防ぐための対策」に従わず、住民を危険な建物から事前に避難・疎開させなかったとして、江原道及び元山市の幹部らの怠慢を「反党行為」とみなし、法的に厳罰に処した。
また2023年8月にも、台風の影響で韓国と軍事境界線を接する江原道高城郡では20時間で324ミリの豪雨を記録した。その結果、大雨と高潮によって堤防が決壊し、200ヘクタール余りの農地や、南浦市の水稲が植えられた270ヘクタール余りの干拓地区が冠水した。これに対し金総書記は激怒し、「多くの被害を受ける結果を招いたのは、この地域の農業指導機関と党組織の甚だしく慢性化した無責任な活動態度にある。鈍感にも、いかなる対策も立てなかった」と述べ、地元の党・行政幹部らを厳しく叱責した。
加えて経済の司令塔である金徳訓(キム・ドクフン)総理を名指しし、「政治的未熟児、警鐘を警鐘として受け止めることを知らない知的低能児、人民の生命・財産の安全に顔を背ける官僚の輩である」と痛烈に批判した。
さらに2024年7月には、朝鮮戦争休戦協定記念日(7月27日)前後から降り続いた豪雨により、平安北道新義州市と義州郡が集中豪雨に見舞われ、中朝国境を流れる鴨緑江が氾濫した。約4100世帯の家屋や3000ヘクタールの耕地、公共施設、道路、鉄道が浸水し、5000人余りが被災した。この際、被災地で開かれた政治局非常拡大会議で金総書記は、「許しがたい人命被害まで発生させた」として、随行した党幹部らに関係者の処罰を命じていた。
今年の被害被害状況はまだ明らかにされていないが、仮に穀物地帯などで甚大な被害が発生しているならば、ただ事では済まされないであろう。