2026年7月29日(水)
最終的に57万人が「李在明大統領弾劾」を要求
李在明大統領(出展:「青瓦台」)
就任してまだ1年しか経っていない李在明(イ・ジェミョン)大統領に対して弾劾を求める国民請願が先月26日に韓国国会に提出されていた。
(参考資料:「李在明大統領を弾劾せよ!」の国会嘆願が2日間で早くも10万人を突破)
国民同意請願は1か月経った7月26日に締め切られたが、最終的な同意者数は57万5329人に達した。韓国の総人口は約5160万人であることから、約100人に1人が李大統領の弾劾を求めた計算になる。
国民同意請願は請願が公開された日から30日以内に5万人以上の同意を得れば、所管の法制司法委員会に付託され、同委員会が内容を審査することになっている。
李大統領の弾劾を求める請願は開始直後に5万人を突破し、7月9日にはその10倍となる50万人を超えた。
「57万人もの署名が集まれば弾劾も可能ではないか」と考えられがちだが、請願と弾劾訴追案の可決は全く別の次元の問題である。政治的な意味合いは大きいものの、請願への参加者数が多いからといって、直ちに弾劾手続きが始まるわけではない。実際の弾劾訴追案の発議や国会での議決には、別途政治的な手続きを経る必要がある。
大統領の弾劾には国会議員が憲法に定められた要件を満たすとして弾劾訴追案を発議し、国会本会議で定数(300人)の3分の2の賛成を得る必要がある。
李在明政権への対決姿勢を鮮明にしている最大野党「国民の力」の現有議席は先の補欠選挙の当選者を加えても113議席にすぎない。他の野党議員を結集しても、3分の2には届かない。一方、与党「共に民主党」は単独で164議席を占めている。
それでも、李大統領弾劾請願は所管常任委員会への付託要件を満たしたことで、法制司法委員会への付託は確実となった。与野党の合意や委員会の議決次第では、聴聞会や公聴会を開催することも可能だ。
野党「国民の力」は、2024年に同党出身の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の弾劾を求める国民同意請願が法制司法委員会に付託された後、聴聞会が開催された前例を挙げ、「大統領と与党が変わったからといって、今回だけ聴聞会を行わないのは認められない」と、聴聞会の開催を主張している。
しかし、前任者である尹錫悦前大統領の弾劾を求める請願が、わずか10日間で100万人を超える同意を集めたことと比べると、正直、李大統領弾劾請願は盛り上がりに欠ける印象は否めない。
それでも、所管常任委員会への付託要件を満たし、法制司法委員会で審査されることになった政治的インパクトは無視できない。
弾劾請願人は、李大統領が就任以前から複数の刑事事件を抱える被告人であり、大統領職の遂行が司法手続きや三権分立の原則と衝突することを、弾劾を求める根拠としている。「国民の力」が最高裁に対して中断している李大統領の裁判の再開を要求していることから世論の盛り上がりと最高裁の政治的判断次第では大統領任期中の裁判も決して不可能ではない。
気になるのは、李大統領の国政運営に対する支持率が2週連続で下落していることだ。
世論調査会社「リアルメーター」が「エネルギー経済新聞」の依頼を受け、7月20日から24日にかけて全国の有権者約2500人を対象に実施した調査によると、李大統領の国政運営に対する肯定的評価は46.3%で、前回調査より2.1歩イント下落した。一方、否定的評価は49.5%となり、前週より1.5ポイント上昇した。
また、政党支持率では、李大統領を支える与党「共に民主党」が41.3%、「国民の力」が40.6%と拮抗した。共に民主党は前回調査より1.8ポイント下落した一方、「国民の力」は0.6ポイント上昇した。
李大統領の支持率低下と与党支持率の下落は、党代表や最高委員の選出をめぐる党内派閥対立の激化に加え、不動産政策をめぐる民意の離反や株価急落など、複数の悪材料が重なったことが影響したものとみられる。
仮に来月行われる与党の党大会で党が分裂するような事態になれば、李大統領は大きな試練に直面するであろう。