2026年7月8日(水)
外国人の不動産投機による土地高騰を防ぐ方法を韓国が日本に伝授 韓国紙「ヘラルド経済」が報道
ソウル市内の集合マンション(出展:ソウル市)
日本ではあまり大きく報じられなかったが、数か月前、松島みどり元法相が外国人政策担当の総理大臣補佐官として訪韓し、韓国の鄭成湖(チョン・ソンホ)法務部長官と会談した。
韓国での報道によると、「会談は少子高齢化による人手不足など、両国が共通して直面する課題に対応するために行われた」とされている。その際、鄭長官は松島元法相に対し「韓国企業関係者が日本へ入国する際のビザ発給の遅延などについて改善を要請した」とも報じられた。
松島元法相も自身のXで韓国出張について報告しているが、それによると、鄭長官のほか、車勇昊(チャ・ユンホ)出入国・外国人政策本部長(日本の出入国在留管理庁長官に相当)とも意見交換を行っていた。入国ビザにとどまらず、外国人政策全般について幅広く意見交換が行われたものとみられる。
外国人政策では、日韓両国が共に頭を悩ませている問題の一つが、外国人による不動産取引である。
近年、日本では東京23区の新築マンション平均価格が1億3600万円を超えるなど、首都圏を中心に住宅価格の上昇が続き、深刻な社会問題となっている。
韓国でも昨年まで、ウォン安を背景とした外国人投資の増加により、ソウルを中心とする大都市の住宅価格が急騰し、政府による住宅市場安定化の大きな障害となっていた。中でも中国人による不動産投機が突出しており、それが反中感情を招く一因ともなっていた。
7日付の韓国の経済紙「ヘラルド経済」によると、松島元法相はソウル滞在中、法務当局関係者のほか、国土交通部の金伊鐸(キム・イタク)第一次官とも面談していた。
同紙によると、この面談は松島元法相の要請によって実現したもので、東京の住宅価格高騰への対応策について助言を得るため、韓国国土交通部を訪問したと言われている。
会談の詳細は明らかにされていないが、松島元法相は、韓国政府が導入している外国人土地取引許可制度について、実際の居住義務による政策効果や違反時の制裁措置などを重点的に質問したようだ。
というのも、同様の課題に直面していた韓国政府は昨年8月、ソウル市全域を含む首都圏主要地域を「外国人土地取引許可区域」に指定し、実際に居住する目的ではない外国人による住宅購入を制限したためである。
この制度では、人口が集中するソウル市および仁川市、京畿道の一部地域で住宅を購入する外国人は、許可取得後4か月以内に入居し、その後2年間は実際に居住しなければならない。違反した場合は自治体から3か月以内の是正命令を受け、それに従わなければ取得価格の最大10%に相当する履行強制金が繰り返し科される。悪質な場合には、土地取引許可そのものが取り消される。
また、投資目的の住宅取得を抑制するため、外国人が土地取引許可区域内で住宅を購入した場合には2年間の実居住義務が課される。さらに、高級マンションなどを投機目的で購入したと判断された場合には譲渡所得税を最大10%引き上げるほか、取得後6か月以内に居住しない場合は取得税20%を課すことにしている。
韓国ではこの制度を導入した結果、外国人による首都圏住宅の売買件数は大きく減少した。特に規制対象となったソウルの「江南3区」(江南区・瑞草区・松坡区)と龍山区では外国人による住宅取引が58%も減少したほか、京畿道では23%減、仁川市では30%減となり、首都圏全体で外国人による不動産取引は大幅に縮小した。
「ヘラルド経済」が調べた韓国の不動産登記情報によると、ソウル、京畿、仁川の3地域で区分所有建物(マンション、オフィステル、集合住宅など)の所有権移転登記を申請した外国人数は2025年8月の1221人から9月には1138人、年末の12月には736人へと減少し、4か月間で約40%減となった。
同紙は「今年4月には、多住宅所有者に対する譲渡所得税の重課再開に伴い、急売物件が増加した影響で一時1080人まで増えたが、先月は917人となり、再び落ち着きを取り戻している」と報じている。
日本政府が韓国の制度を直ちに導入するかどうかは定かではない。しかし、共通の課題について互いの経験を共有し、解決に向け参考とすることは望ましいことである。
コロナ禍では日韓関係が悪化していたため、感染者データの共有からマスクや防護服、ワクチン接種用の注射針に至るまで、人命に関わる問題でほとんど相互協力ができなかったことを考えれば、暮らしに直結する問題でこうした意見交換が行われているだけでも大きな前進と言える。
なお、国際法上、国家主権には、正当な公共の利益を目的として、自国の土地所有権について外国人への制限などの規制を実施する権限が認められている。