2026年7月8日(水)
粛清されていなかった元労働党序列No.4 金才龍前党組織指導部部長が現れる!
金正恩総書記と党・政府・軍幹部らが金日成主席命日に宮殿参拝(赤い円が金才龍氏)
先月(6月)開催された労働党中央委員会会合で、4人しかいない党最高幹部の政治局常務委員、党書記、党組織指導部長の重要ポストを解任され、粛清説が流れていた金才龍(キム・ジェリョン)氏が、金日成(キム・イルソン)主席の命日(死去32周年)に当たる今日、錦繍山太陽宮殿への参拝に出席していたことが確認された。
北朝鮮は金才龍氏の解任理由を明らかにせず、単に「職務変動による」ものと説明していた。しかし、金才龍氏は参拝では政治局員らとともに金総書記の後列に並んでいたことから政治局員の地位までは剥奪されていないことが判明した。
金才龍氏は政治局常務委員に同時昇格した序列5位の李日煥(リ・イルファン)宣伝担当書記と同様、たたき上げの党幹部である。慈江道党委員会秘書を経て、2016年に慈江道党委員長に起用された。そして、わずか3年後の2019年4月には首相に抜擢されるなど、金総書記の忠臣の一人とされる。
2年後の2021年には政府から党に戻り、党組織指導部長に起用された。その後、党幹部部長(2023年12月)、党規律調査部長(2024年12月)を経て、今年2月の第9回党大会で趙甬元(チョ・ヨンウォン)氏の後任として再び組織指導部長に選出されていた。それが、僅か4か月で解任されたわけだから衝撃的であった。
それにしても、脱北者らを含め韓国のコリアウォッチャーの間で「粛清説」から「政治犯収容所送り」まで取り沙汰されていた金総書記の再側近の一人であった金才龍氏がなぜ3つの要職を解かれたのかは依然として謎である。
当時、韓国では、党中央委員会会合で人民軍総政治局組織副局長の朴煕哲(パク・フィチョル)少将が不正・腐敗容疑で解任され、法機関に送検されたことと関連付ける向きもあった。しかし、朴少将の上司である金成基(キム・ソンギ)軍総政治局長にはお咎めはなかった。
(参考資料:党の総会で公然と粛清された人民軍少将のミステリー)
おそらく、金才龍氏のみが責任を問われたとすれば、党規律調査部長として朴煕哲少将の不正をチェックできず、見逃したことため責任を取らされた可能性が最も高いものと考えられる。
金正恩(キム・ジョンウン)政権では解任あるいは、粛清されたとみられていた人物がその後、表舞台に姿を現すことはしばしばある。
例えば「北朝鮮のゲシュタポ」と称されている国家安全保衛部(現国家保衛省)の金元弘(キム・ウォンホン)保衛相は2017年2月に電撃解任され、韓国では「処刑された」ことが定説となっていた。しかし、今年2月の朝鮮人民軍創建78周年(8日)に金総書記が祝賀訪問した国防省に9年ぶりに姿を現し、韓国を驚かせていた。
(参考資料:「回転ドア政権」の北朝鮮 お粗末な人事 序列4位の党組織部長を4か月で更迭 3位の国会議長も再選出へ)