2026年7月9日(木)

 フリン元大統領補佐官が「金王朝は終焉に向かっている」と大胆発言 理由は「健康上の問題がある」

「韓米同盟フォーラム」で講演するフリン元大統領補佐官(出展:韓米同盟財団)

 北朝鮮の後継問題が取り沙汰される度に、あるいは政権が交代する度に米国や韓国からは次期後継者や次期政権の将来を占う発言が飛び出す。

 建国の父である金日成(キム・イルソン)主席が1994年7月に死去した際、米中央情報部(CIA)は「後継者である息子の金正日(キム・ジョンイル)は3年も持たないだろう」とクリントン大統領に報告した。しかし、金正日氏は17年間にわたり政権の座にあり続け、2011年12月、人民蜂起やクーデターではなく心筋梗塞で死去した。

 三代目の金正恩(キム・ジョンウン)総書記も、27歳という若さで政権を引き継いだことから、米国の情報当局者だけでなく、米ランド研究所のブルース・ベネット研究員ら北朝鮮専門家、さらには韓国の専門家までが「長くは持たない」と予測していた。しかし、政権に就いてからすでに15年が経過した現在も健在である。

 そうなると、次は4代目ということになる。その4代目については、巷間「ジュエ」と呼ばれている娘が最有力候補との見方が強まっている。

 ところが、トランプ第1次政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたマイケル・トーマス・フリン(67)氏が、今朝、ソウル・龍山の在韓米軍基地内で韓米同盟財団が主催した「韓米同盟フォーラム」で講演し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権について「金王朝は終焉に向かっている」と大胆な見方を示した。

 この発言は、米朝首脳会談の見通しについて語る中で飛び出したものだ。フリン元補佐官は「トランプ大統領は金正恩と会談する可能性がある。トランプ氏は個人的な関係を重視し、直接会って対話したいと考える人物だ。もし両者が会談すれば、最大の議題は核問題になるだろう」と自身の見通しを語った。また、核問題が最大の議題となる理由については「北朝鮮の核技術がパキスタン、イラン、シリアなどへ拡散することを防がなければならないからだ」と説明した。

 この日、「地域安全保障と朝鮮半島の未来」をテーマに講演したフリン元補佐官は「終焉に向かっている」とする具体的な根拠については示さなかった。単に「金正恩には健康上の問題がある。そう遠くない将来、金王朝は終焉を迎える可能性がある。北朝鮮は法治国家ではなく、一つの王朝体制だからだ」と述べるにとどまった。

 陸軍予備役中将でもあるフリン元補佐官はオバマ政権時代に米国防情報局(DIA)長官(2012年7月24日〜2014年8月7日)を務めた経歴を持つ。そのため、北朝鮮に関する情報にも精通しているとみられており、その発言には大きな関心が集まった。

 また、韓国の保守層を中心に高まる核武装論については「イラン、シリア、パキスタンでの経験から、核兵器が決して安全保障を保証するものではないことを誰もが理解しているはずだ。韓国が核兵器を保有すれば国家間の緊張を高めるだけだ」と指摘。その上で、「核抑止力は一朝一夕に構築できるものではない。米国の核の傘ですべてを実現できるとは限らないが、長期的には米国の核の傘の下にいる方が望ましい」と述べ、韓国の独自核武装に反対する考えを示した。

 李在明(イ・ジェミョン)大統領の前任者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は、2023年1月11日に青瓦台迎賓館で開かれた外交・国防報告会で「韓国が戦術核を配備するとか、自ら核を保有することもできる。そうなれば、我々の科学技術で早い時期に核兵器を持つことができる」と述べ、核開発の可能性に言及した。また、翌2024年6月に統一部の外郭団体である「統一研究院」が実施した国民の統一意識に関する世論調査では、回答者の66%が核武装に賛成していた。

 さらにフリン元補佐官は、李在明政権が米国に求めている戦時作戦統制権の移管についても、「ポケットから突然物を取り出すように『今やろう』と決めるべきではない。敵は我々が弱くなる瞬間だけを狙っている」と指摘。「韓国が慎重に準備を進めていることは理解している。しかし、戦争を経験して分かったのは、平時と戦時はまったく違うということだ。戦争は公平ではない。甘く考えてはならない」と、釘を刺していた。

 フリン元補佐官は、北朝鮮や中国に対する強硬派として知られる。昨年5月28日には、Xで尹前大統領が非常戒厳令発令の口実とした不正選挙の主張に同調し、トランプ大統領やマルコ・ルビオ国務長官らに対して「米国は中核的同盟国で現在行われている選挙を注意深く見守るべきだ。米国は2万5千人以上の兵力を韓国に駐留させ、その多くは家族を伴っている。中国による『香港2・0』のような事態を容認してはならない」と訴え、韓国保守派を後押しする姿勢を示していた。

 また、フリン元補佐官を招き、「韓米同盟フォーラム」を主催した韓米同盟財団は、米韓同盟や安全保障・外交問題をテーマとするセミナーやフォーラムなどの公開討論会を開催し、現状分析や政策提言を通じて両国関係の発展を目指している保守色の強い財団である。