2026年6月28日(日)

 「李在明大統領を弾劾せよ!」の国会嘆願が2日間で早くも10万人を突破

李在明大統領(出展:青瓦台)

 日本では高市首相の退陣を求め、週末に国会周辺でデモが行われているが、韓国には国会への「国民同意請願」という制度がある。何と、大統領に就任してまだ1年しか経ってない李在明(イ・ジェミョン)大統領の弾劾を求める請願が6月26日に提出されていた。

 国会の「国民同意請願」のホームページをみると、28日午後3時現在、賛同者数はすでに10万人を突破していた。

 国民請願制度は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に青瓦台(大統領府)が国民の声を幅広く聴取するとの趣旨で、青瓦台のホームページに「国民請願掲示板」を設置したことに始まる。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権下で廃止され、現在は国会がその役割を担っている。

 以前は提出から30日以内に20万件の署名が集まれば、青瓦台の首席秘書官や関係閣僚が正式に回答する仕組みだったが、国会の国民同意請願では30日以内に5万人以上の賛同が集まると、所管の常任委員会に付託される。請願への参加者数が多いからといって、直ちに弾劾手続きが始まるわけではない。実際の弾劾訴追案の発議や国会での議決には別途政治的な手続きを経る必要がある。

 尹錫悦前大統領の弾劾を例に挙げるまでもなく、大統領の弾劾には国会議員(定数300人)の3分の2以上の賛成が必要となる。李在明政権への対決姿勢を鮮明にしている最大野党「国民の力」の現有勢力は、先の補欠選挙当選者を加えても113人にすぎない。他の野党議員を結集しても3分の2には届かない。一方、与党「共に民主党」は164議席を占めている。

 それでも、所管常任委員会への付託要件を満たしたことで、法制司法委員会への付託は確実となる。何より、国会の電子請願サイトに掲載されてから2日も経たないうちに賛同者が9万6638人に達し、9万人を超えたことは注目に値する。

 例えば、7月10日締め切りの「選挙の公正性回復のため、期日前投票制度の全面廃止を求める請願」は8万3680人、7月17日締め切りの「陸軍士官学校の統廃合および地方移転推進の中止を求める請願」は8万3302人だった。さらに、10日前(18日)から始まった「安圭伯国防部長官の弾劾に関する請願」は19万3946人。こうした請願と比較しても、「李在明大統領の弾劾に関する請願」が短期間で多くの共感を集めていることが分かる。

 請願者は趣旨説明で「現職大統領である李在明氏の行為は憲法上の義務に明白に違反しており、国会による弾劾訴追案の発議要件に該当すると判断し、この請願を提出する」と述べ、以下の5点を理由として挙げている。

 その1.憲法第66条および第69条に定められた大統領の責務に違反している。
 その2.政治的判断と法的判断の区別を歪めている。
 その3.李大統領の政治的言動および統治行為は、国民統合を阻害し、国政の中立性を損なっている。
 その4.司法府および国会の独立性を脅かす大統領の直接的な言動は、三権分立の原則を損なっている。
 その5.国民の信頼を失った大統領は、憲法上の正当性も失っている。

 特に第1の理由では「李在明大統領は就任以前から自身に関係する各種開発事業における特恵疑惑や公職選挙法違反事件など重大な刑事事件の被告人という立場にあり大統領職の遂行そのものが司法手続きと衝突する状況にある。大庄洞開発疑惑、白?洞開発疑惑、双鈴グループによる弁護士費用肩代わり疑惑などは、単なる個人的問題ではなく、公職を利用した権力型汚職の疑いが持たれている。複数の刑事事件で被告人として裁判を受けており、その犯罪の重大性と性質は憲法秩序および公職倫理の根幹を揺るがす重大な問題である」と断じている。

 また、第4の理由では「大統領自身が裁判を受ける被告人という立場でありながら、検察の捜査や裁判所の判決について継続的に公の場で発言したり、それらを政治的な構図として描いたりすることは、三権分立の根幹を崩しかねない危険な行為である」と指摘。最後に「現職大統領である李在明氏の行為は憲法上の義務に明白に違反しており、国会による弾劾訴追案の発議要件に該当すると判断し、この請願を提出する」と締めくくっている。

 今後、どの程度支持を集めるかは不明だが、「安圭伯国防部長官の弾劾訴追を求める請願」が一定の支持を集めている背景には国防部が推進する陸・海・空軍士官学校の統合構想に対する一部国民の反発があるからだ。請願への参加者数が急増していることを根拠に「国民の力」は、安長官の更迭を強く求めている。

 「国民の力」は李政権に不満を持つ20〜30代や保守支持層の高齢者の間で支持がさらに広がれば、李大統領の弾劾を求める世論が形成されるとみている。なお、直近の世論調査会社「韓国ギャラップ」の調査では李大統領の支持率は57%から51%に急落している。