2026年6月30日(火)

 「天地の差の報道」 韓国はブラジル戦の日本の善戦をどう伝えたのか 韓国国民の反応は?

コンビニエンスストアの入り口に貼られた「洪明甫 出入り禁止」の張り紙(「jpニュース」)

 「自分に厳しく、他人に優しく」は美徳とされることが多い。しかし、韓国メディアやサポーターによる、今回の北中米ワールドカップで1次リーグ敗退に終わった韓国代表への責任追及は尋常ではない。とりわけ指揮官の洪明甫(ホン・ミョンボ)監督に対する個人攻撃は情け容赦がない。

 洪明甫監督が袋叩きに遭っていることは、すでに日本でも伝えられている。前日、日本とブラジル戦の熱戦の最中に帰国した洪監督は仁川空港に詰めかけたファンから激しいヤジを浴びせられた。

 期待を裏切ったことへの反動とはいえ、メディアまでもがその空気を煽っていたのは、日本では考えにくい現象である。そのことは記事本文を読むまでもなく、見出しからも十分にうかがえた。

 「ソウル経済」は帰国前から「『XXしてやる』という脅迫まで…洪明甫監督率いる代表の帰国時、警察160人を配置へ」と報じていた。この「XXしてやる」は、「殺してやる」「刺してやる」など、脅迫をぼかして表現する際に使われる表記である。また、「スポーツワールド」も「W杯敗退後の暴風…辞任を前に洪明甫監督に出国禁止要求や殺害予告まで」との見出しを掲げ、帰国前から異様な空気が漂っていることを伝えていた。

 帰国時には速報でその様子が伝えられ、中継したテレビ局もあった。各メディアは次のような見出しで報じている。

 ・「日刊スポーツ」 「『洪明甫、辞めろ!』ファンの怒号と罵声を浴びながら苦い帰国」
 ・「文化日報」 「洪明甫監督、2分15秒の声明文を読み上げただけで退場…『形だけの謝罪だ』とサッカーファンが怒り」
 ・「ノーカットニュース」 「『年俸を返上して辞任せよ』…警察100人が警護した洪明甫監督率いる代表、厳戒態勢で帰国」
 ・「ヘラルド経済」 「卵を投げようとしたが思いとどまった…未明の仁川空港に響いた『洪明甫、辞めろ!』の大合唱」

 さらに、「ベスト32敗退でも洪明甫監督率いる代表に報奨金20億ウォン…選手には1人あたり8000万ウォン」と皮肉る見出しを掲げるメディアもあった。

 テレビ各局も厳しい論調だった。

 ・「JTBC」 「『洪明甫、辞めろ!』W杯敗退の韓国代表、帰国した未明の空港は大混乱」
 ・「YTN」 「『犬のおやつ(ガム)が飛んできた』…『ベスト32敗退』の韓国代表が帰国」

 洪明甫監督に対する批判が激しさを増す中で、特に目を引いたのが「SBS」の報道である。

 「先日、あるコンビニエンスストアが『洪明甫 出入り禁止』という張り紙を掲示して話題になった。今回は、ある精神科専門医が自身のSNSに『洪明甫 出入り歓迎』と手書きした案内文を投稿し、注目を集めた。その張り紙には『本当にお疲れさまでした。どうぞお入りください』とのメッセージも添えられていた」

 この投稿がネット上で話題になると、この医師は「非難する意図ではなく、まずは慰めの言葉をかけたかった」と説明していた。ところが、これに対してもネットユーザーからは「慰められるべきなのはサッカーファンや国民のほうだ」といった批判的な書き込みが相次いだ。

 一方で、韓国メディアは日本代表のブラジル戦での惜敗については総じて好意的に報じていた。見出しを並べるだけでも、その違いは一目瞭然である。

 ・「スポーツソウル」「先制ゴールを決めた日本、『互角』に戦ったが無念の逆転を許す」

 ・「日刊スポーツ」「ブラジルに惜敗 日本代表監督は涙で謝罪」
 ・「スポーツ朝鮮」 「日本、45分間の天国→5分間の涙」 

 ・「毎日経済」「負けたがよく戦った日本、ベスト32でブラジルに1−2の惜敗」
 ・「朝鮮日報」 「韓国『洪明甫辞めろ!』日本は正反対――『ブラジルに逆転負け』でも森保監督の去就に代表レジェンド『辞めるな!』」

 ・「聯合ニュース」「『旋風のチーム』日本、ブラジルに1−2で逆転負け…ベスト32で敗退」
 ・「チャンネルA」「ブラジルに逆転負けしたが『負けたがよく戦った』…眠らず応援した日本人たち」 

 ・「JTBC」「日本、ブラジルに逆転負け…ベスト16進出ならず『負けたがよく戦った』」

 ネットユーザーの反応も、日本を称賛する内容が目立った。

 ・「日本がアジアで唯一、世界トップレベルのサッカーに挑戦できるチームであることを示した試合だった」
 ・「組織力は十分に備わっている。これに個々の技術が加われば、ベスト4以上も夢ではない」
 ・「ブラジル相手にこれほどの試合ができるのは、日本だけだ」
 ・「日本はよくやった。韓国とは違う」
 ・「今のブラジルは強い。そのブラジル相手にここまで戦えた日本は世界レベルだ」
 ・「残念だった。あと1分耐えられていたら」

 真っ先に責任追及するのは「韓国病」と言えばそれまでだが、以前のように日本に対する八つ当たりや妬みがなかったことは救われる。

(参考資料:韓国の「W杯サッカー狂騒曲」 予選リーグ敗退危機で荒れ狂う監督へのバッシング)