2026年3月20日(金)
韓国で珍しい日本の首相に「ガンバレ!」の声 米国の派兵要求に屈しないよう声援を送る
昨年11月南アフリカでの主要20か国首脳会議で会談した高市早苗首相と李在明大統領(出典:大統領室)
韓国で珍しい現象が起きている。訪米し、トランプ大統領と首脳会談をする高市早苗首相に「米国の圧力に屈するな」「ガンバレ!」の声が上がっているというのだ。
トランプ大統領は同盟国にホルムズ海峡への艦船派遣を要求しているが、日本政府だけでなく韓国政府もその対応に苦慮している。
李在明(イ・ジェミョン)大統領の対応が煮え切らないなことに最大野党・国民の力から突き上げられた韓国の安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官は、トランプ大統領がSNSでホルムズ海峡への艦船派遣を求めたことについて「SNSへの投稿は公式の要請とは判断していない」とはぐらかしていた。趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官もまた「米国からいかなる公式な要請も受けていない」と逃げていたが、多くの国民はすでに非公式に打診されているか、あるいは近く公式に要請があるだろうとみている。
国民の力では、2022年当時に大統領候補の一人だった安哲秀(アン・チョルス)議員が、自身のフェイスブックで「積極的な参加を条件に、迅速な原子力潜水艦の建造やウラン濃縮および使用済み核燃料再処理権限の拡大について、米国から明確な回答を引き出せ」といち早く賛成の意向を表明していた。また、朴洙榮(パク・スヨン)議員も「先制的に我が軍のホルムズ海峡護衛参加を宣言すべきだ」とし、「今後、さまざまな分野で数多く発生する経済・安全保障などの対米交渉で主導権を握り、発言力を高めることができる」と主張し、政府を突き上げていた。
しかし、本日(20日)公表された世論調査機関「韓国ギャラップ」の最新調査によると、国民の力の支持層の56%が派遣に賛成しているものの国民全体では55%が反対で、賛成は30%にとどまった。
李在明大統領はこの件について一切発言しておらず、慎重な姿勢を貫いているが、「今は派兵こそが国益だ」とフェイスブックで主張している韓米議員連盟の幹事である゙廷訓(チョ・ヨンフン)議員は「本日予定されている日米首脳会談で高市早苗首相が派兵を表明すれば、韓国の立場は狭まらざるを得ない」とし、「そうなれば結局、李在明政権は主導権を失い、不本意ながら引きずられる最悪の選択をすることになるだろう」と、まるで高市首相に派遣を表明することを願っているようなことを綴っていた。
゙議員はまた「確かに苦痛で困難な決断だが、いつまでも先延ばしにはできない」としたうえで、「李在明政権の実用外交が卑怯な機会主義外交でないのならば、直ちに派兵を決定すべきだ」と迫っていたが、李政権が派遣に応じなければ、国民の力は李政権に「反米」のレッテルを貼って叩くつもりのようだ。
韓国では6月にソウル市長選挙と釜山市長選挙を含む全国地方自治体選挙を控えている。直近の世論調査では、李大統領は過去最高の67%という高い支持率を記録し、与党・共に民主党の支持率も45%と、20%の国民の力にダブルスコアの差をつけている。形勢逆転を狙う国民の力にとって、ホルムズ海峡への派兵問題は政権与党への格好の攻撃材料となっている。
日米首脳会談の結果、特に米国からホルムズ海峡派兵の要求を突きつけられた同盟国首脳として最初にトランプ大統領と会談するトップバッターの高市首相の対応は、それこそまさに李在明政権の対応を左右、決定付けることになりかねない。
仮に高市首相がトランプ大統領の派兵要求を受け入れれば、共に民主党の重鎮、朴智元(パク・チウォン)議員が言うように韓国も断れず、それに準じざるを得ない。しかし、拒否すれば、日本を盾に韓国も拒否することができる。李政権の選択はそれ以上でもそれ以下でもない。
日米首脳会談の結果が参考材料、いわば見本となることから、派兵を拒みたい李政権内部では高市首相にトランプ大統領の圧力をはねつけるよう、「高市ガンバレ!」の声が上がっている、と韓国のメディアは伝えている。
高市首相は訪米を控えた18日、参議院予算委員会で「派兵は決定されていない」としつつ、「できないことはできないとはっきり伝える考えだ」と明らかにしていた。このため韓国外交部は、「韓国と似た立場にある日本がトランプ大統領の派兵圧力を抑えれば、韓国にも外交的な余地が生まれる」とし、「高市首相の訪米という先例は我々にとって重要だ」と、高市首相の外交手腕に期待を寄せている。
高市政権と李政権はまるで運命共同体のようだ。