2026年3月29日(日)

 超大型大陸間弾道ミサイル「火星20型」の発射は近い! 北朝鮮は「世界最強のミサイル」と豪語

昨年朝鮮労働党創建80周年軍事パレードでお披露目されたICBM「火星20型」(朝鮮中央通信)

 今朝(3月29日)、北朝鮮の国営通信「朝鮮中央通信」は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記立ち合いの下、高出力炭素繊維固体エンジンの地上噴出試験が行われたと報じた。

高出力炭素繊維固体エンジンの地上噴出試験に立ち会った金正恩総書記(朝鮮中央通信から)

 炭素繊維固体エンジンの地上噴出試験は、昨年9月に実施された9回目が開発工程における最終試験とされていた。

 金総書記は、中国の「抗日戦争勝利80周年記念式典」に出席するため北京へ向けて出発する直前、化学材料総合研究所を訪れ、炭素繊維複合材料の生産工程や大出力ミサイルエンジンの生産実態を自ら確認していた。そして、この視察からわずか1週間後に、北朝鮮は炭素繊維固体エンジンの地上噴出試験を実施した。

 このときのエンジンの最大推進力は、従来より40%増の1971kNだった。半年ぶりに実施された今回の試験では、さらに20%増の2500kNに達したとみられる。これは約225トンのロケットを打ち上げる能力に相当する。

 北朝鮮は「当該の試験は戦略的打撃手段の不断の更新を重要目標としている」と発表しており、この日公開されたエンジンは、米国本土を攻撃可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)に搭載されるものと推測される。さらに、複数の核弾頭を搭載できる多弾頭ミサイル用エンジンである可能性が高い。

 北朝鮮はすでに多弾頭ミサイルの開発を進めており、昨年10月、朝鮮労働党創建80周年を記念して行われた軍事パレードで、最後に登場した大陸間弾道ミサイル「火星20型」がそれにあたる。このミサイルは11軸22輪の移動式発射台に搭載されており、披露された際、アナウンサーは「最強の核戦略兵器システムである大陸間弾道ミサイル『火星砲―20』」と強調していた。

 キャニスターの蓋が丸い形状となっている「火星20型」は「火星19型」よりも大型で、弾頭部分にはMIRV(複数個別誘導再突入体)が採用されているとみられる。

 固体燃料を使用する「火星19型」は、2024年10月31日に初めて試射され、最高高度7687km、飛行距離1001km、飛行時間86分を記録し、日本海に着弾した。ロフテッド軌道ではなく通常の発射角(30〜45度)で発射された場合、飛行距離は1万5000kmを超えるとされる。これについて北朝鮮は「戦略ミサイル能力の最新記録を更新し、世界最強の威力を持つ我が国の戦略的抑止力の現代性と信頼性を遺憾なく誇示した」と主張し、ICBM「火星18型」とともに運用される「最終完成版の大陸間弾道ミサイル」であると宣伝していた。

 最終完成版とされたミサイルの開発により、北朝鮮のミサイル開発は終息するかに見えたが、実際にはそうではなかった。北朝鮮は1年も経たないうちに「火星20型」を開発したのである。金総書記は今回の試験について、「国家の戦略的軍事力を最強の水準へと引き上げるうえで極めて大きな意義を持つ」と評価している。

 多弾頭ICBMの保有は、2021年の第8回党大会で示された北朝鮮の「5大戦略兵器」の柱の一つである。完成はやや遅れたものの、複数のミサイルを打ち上げ可能なエンジンが完成したことで、過去の例から見ても数か月以内に試射が行われる可能性は高い。

 ちなみに、2017年3月18日に地上噴出試験が行われた新型大出力エンジン(100tf)を搭載する中距離弾道ミサイル「火星12型」は、その約2か月後の5月14日に試射された。また、2023年4月13日に試射された固体燃料式ICBM「火星18型」も、咸鏡南道咸州郡馬近浦のエンジン試験場で固体燃料エンジン試験が行われてから約3か月後に試射されている。

 数カ月内にあるとすれば、シンガポールでの米朝初の首脳会談の6月18日、或いは朝鮮戦争勃発日の6月25日にあたりなるが、トランプ政権はどう対応するのだろうか。