2026年3月7日(土)

 「宿命の対決」でも「自尊心の対決」でもなくなった「日韓戦」

チェコとの試合に勝利した韓国チーム(出典:MKスポーツ)

 スポーツの世界では日韓戦について、日本では「宿命の対決」とか「因縁の対決」と言われ、韓国ではスポーツ紙に『自尊心の対決』という言葉が見出しに登場する。

 「自尊心の戦い」とはすなわち、負ければ「国辱」という捉え方だ。スポーツは勝つ時もあれば負ける時もある。たかがスポーツなのに、WBCや五輪は国を背負っているだけに「たかがスポーツでは済まされない」のかもしれない。

 しかし幸いなことに、今東京で開催されているWBCでは、韓国は以前のようにプライドや自尊心がどうのこうのと、それほど騒ぎ立てていないようだ。

 前回の覇者である世界ランキング1位の日本に対し、韓国は4位とランクが低いだけでなく、韓国は2015年の「プレミア12」の準決勝で勝利して以来、日本戦では一度も勝てず、10連敗しているからだ。レベルの差は歴然としており、年々その差は開いているのが実状である。

 そのせいか、今月初めに沖縄で評価戦をしていた時点で、韓国のリュ・ジヒョン監督は第2ラウンド進出のための戦略的決断をしたとも伝えられている。

 どういうことかと言うと、予選リーグ2位通過を目指し、日本戦は総力戦で臨まず余力を残し、明日昼の台湾戦、明後日の豪州戦に備えるということらしい。日本と豪州に連敗した台湾は後がなく、また豪州はすでに台湾とチェコに連勝し、一歩先行しているだけに、この両チームとの試合に全力を尽くしたほうが得策との考えらしい。

 戦術面からすれば分からないわけではない。実際、この決断に韓国の野球解説者で異を唱えている人はほとんどいないようだ。世界第2位の台湾を相手に圧勝した日本を目の当たりにすれば、野球通ならば「今の日本に勝つのは奇跡に等しい」と考えていてもおかしくはないだろう。

 しかし、それは対戦相手に、また熱戦を楽しみにしている観客に対して失礼な話だ。これまで日本に勝つことを至上命題にしてきた韓国らしくもない。また、これでは日本が順当に勝ったとしても、韓国が手を抜いたからだということになってしまう。

 スポーツマンならば、全力を尽くして真っ向勝負し、10連敗という屈辱の歴史に終止符を打つのがあるべき姿ではないだろうか。

 韓国は野球だけではなく、近年はサッカーでも日本に勝てなくなった。直近10試合を見ると、2勝3分5敗と完全に力負けしている。

 今年1月にサウジアラビアで開催されたU―23アジアカップの準決勝で敗れた時、スポーツ紙に「惨敗に次ぐ惨敗!韓国はもう日本に太刀打ちできない」という見出しが載っていた。

 サッカーは韓国の国技である。「自尊心の戦い」という言葉が消えた理由がわかる。

 そういえば、先のミラノ・コルティナ冬季五輪では、日本は冬季大会史上最多の24個(金5、銀7、銅12)のメダルを獲得したが、韓国は10個(金3、銀4、銅3)にとどまった。日本の半分以下である。バンクーバー冬季五輪でライバルの浅田真央を制し金メダルを手にしたフィギュアでも、その面影はなく、メダルゼロに終わった。

 スポーツの向上にはライバルは不可欠だ。切磋琢磨して競い合うことで実力が向上し、いつの日か勝つ日も訪れる。

 韓国には、歴史に残る名勝負を演じてきた日韓戦らしく、今夜の試合にもベストメンバーで総力戦で臨み、負けても拍手喝采を浴びるような試合をしてもらいたい。