2026年5月18日(月)

 トランプ大統領の「金正恩に会いたい」の願い叶わず!

2019年6月30日に板門店で再会したトランプ大統領と金正恩総書記(朝鮮中央テレビ)

 筆者は5月12日付の記事「『トランプ訪中』での米朝首脳会談の可能性は?」で、「会談実現の可能性は99.9%ない」と断じたが、結果は予想どおりとなった。

(参考資料:「トランプ訪中」での米朝首脳会談の可能性は?)

 日本や韓国の一部メディアでは、トランプ大統領が北京滞在中、もしくは訪中後の15日に金正恩(キム・ジョンウン)総書記と首脳会談を行うのではないかとの観測が流れていた。筆者も正直なところ、残る0.1%の可能性として土壇場での電撃会談を期待していたが、奇跡は起きなかった。

 高市早苗首相は15日午後7時半から約15分間、トランプ大統領と電話会談を行い、米中首脳会談の報告を受けた。一方、李在明(イ・ジェミョン)大統領も2日遅れの17日午後10時から約30分間、トランプ大統領と電話会談を行った。いずれも、日本側、韓国側からの要請によるものだ。

 日本の外務省によると、日米首脳は経済安全保障を含む経済問題や安全保障など、中国をめぐる諸課題について意見交換を行い、「今後ともインド太平洋地域情勢への対応において緊密に意思疎通を行っていくことで一致した」という。

 また、高市首相は官邸での記者会見で、安全保障など中国をめぐる諸課題に加え、イラン情勢についても意見交換を行ったことを明らかにした。しかし、トランプ大統領から北朝鮮問題に関する報告があったのかは不明で、少なくとも北朝鮮問題について踏み込んだ協議は行われなかったようだ。

 高市首相は3月の訪米時、トランプ大統領に対し、金正恩総書記との会談実現に向けた意欲を示し、協力を要請していた。それだけに、今回の日米電話会談で北朝鮮問題が取り上げられなかったならば残念なことである。

 米中首脳会談で北朝鮮問題が議題となっていたことは、ホワイトハウスが17日に公表した米中首脳会談に関するファクトシートで明らかになった。そこには「トランプ大統領と習近平国家主席は北朝鮮の非核化という共通目標を確認した」と記されている。

 また、トランプ大統領の訪中に同行したジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表も同日、米ABCテレビのインタビューで、「トランプ大統領と習主席は、朝鮮半島の非核化目標を維持することで一致した」と述べていた。

 ホワイトハウスの発表どおりであれば、トランプ大統領と習近平国家主席は14日に北京で行われた首脳会談および15日の関連日程で、北朝鮮の非核化目標を改めて確認したことになる。

 さらに、トランプ大統領も李大統領との電話会談で「中国も北朝鮮の核問題についてかなり懸念している」と述べていたことから習主席との間で北朝鮮の核問題について協議したことはほぼ間違いないとみられる。

 韓国大統領府(旧青瓦台)の康由驕iカン・ユジョン)首席報道官は、韓国メディア向けの書面ブリーフィングで「李大統領は、トランプ大統領と習近平主席が朝鮮半島問題について建設的な協議を行ったことを評価した」と説明した。さらに、「トランプ大統領は今後も韓米首脳間の緊密な協力を基礎に、朝鮮半島の平和と安定のため必要な役割と貢献を果たしていくと述べた」ことも明らかにした。

 南北関係だけでなく、日本人拉致問題も米朝対話や米朝首脳会談が先行しなければ前進しないことは2019年2月のハノイ米朝首脳会談決裂以降の8年間の「空白」が証明している。

 トランプ大統領は李大統領との電話会談で、「北朝鮮の金正恩(国務)委員長は私を好いている。可能であれば会いたい」との意向を示していたが、肝心の米朝首脳会談の開催可能性については「現時点では北朝鮮との対話は容易ではない」と悲観的だった。

 米朝首脳会談の「ペースメーカー」を自任する李在明政権はそれでも落胆せず、「次がある」として、11月18日から19日に中国・広東省深?市で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に期待を寄せている。

 しかし、金総書記が「米国が非現実的な非核化への執着を捨て、現実を認めた上で真の平和共存を望むのであれば、我々にも米国と対話できない理由はない」と述べている以上、米国が北朝鮮の非核化方針を転換しない限り、トランプ第2次政権下での米朝首脳会談実現は容易ではないかもしれない。