2026年5月19日(火)
保守野党代表が李大統領の「高市首相安東招請」を痛烈に批判
昨年10月慶尚北道・慶州で行われた日韓首脳会談(出展:青瓦台)
高市早苗首相が今日から1泊2日の日程で、李在明大統領の故郷である慶尚北道安東(アンドン)を訪問する。午後には大邱空港に到着する予定だ。
大邱空港では外務省幹部が出迎え、李大統領は首脳会談が行われるホテル前で高市首相を直接迎える予定となっている。
晩餐会では、安東地域の宗家に伝わる古い料理書であり、宝物にも指定されている「需雲雑方(スウンジャプバン)」に登場する料理を取り入れた、安東チムタクなどのフュージョン韓国料理が提供される。晩餐酒には、両国の和合と友情の意味を込め、安東の伝統酒であるテサ酒・安東焼酎と、高市首相の故郷である奈良県の日本酒が振る舞われることになっている。
両首脳はその後、農村における両班の伝統的な生活様式を保存している民俗村・河回村の船着き場へ移動し、伝統文化「船遊縄火遊び」と創作パンソリ曲『散りゆく火花のように』の公演を鑑賞する予定だ。河回村は1999年4月にエリザベス2世英国女王が訪韓した際に訪れたことで、世界の注目を集めた場所として知られている。
李大統領は昨日(18日)すでに安東入りしており、韓国の受け入れ態勢は万全だ。主要道路には「日韓首脳会談の安東開催を歓迎!」と書かれた横断幕が立ち並び、安東市内や河回村一帯では路地ごとに韓国国旗と日の丸が並んで掲げられている。人口減少と消費萎縮により活気を失いつつある地元では「伝統文化と世界遺産都市・安東を世界に知らせる機会になる」と歓迎ムードが広がっている。
安全対策も強化されており、警察は主要な移動ルートや行事会場周辺、宿泊先一帯を中心に警備人員を集中配置し、検問や巡回活動も強化している。警察によると、幸いなことに18日までに高市首相の安東訪問に抗議する集会やデモの届け出は1件も受理されていない。
韓国は左派も右派も根っこは民族派である。イデオロギーは違っても対日スタンスにそれほど差はない。周知のように、日韓間では「竹島(韓国名・独島)」の領有権問題が長年にわたり対立の火種となっている。元慰安婦問題や元徴用工問題などの懸案も横たわっている。
また安東は日本統治に抵抗した独立運動家を数多く輩出した都市でもある。加えて、慶尚北道は島根県と竹島の帰属を巡って対立関係にあり、地域的にも対日感情は決して良好とは言い難い。今年4月10日には、高市政権が2026年版外交青書で「独島は日本固有の領土」と主張したことに対し、慶尚北道側が強く反発。道知事権限代行を務める黄明錫(ファン・ミョンソク)行政副知事名で声明を発表し、即時撤回を求めていた。
よりによって韓国は現在、全国地方自治体選挙(6月3日投票)の真っただ中にある。韓国では選挙遊説中などに政治テロが発生した事例がある。2006年には、朴槿恵(パク・クネ)元大統領が野党第一党「ハンナラ党」(現「国民の力」の前身)の代表時代に暴漢に襲われ顔を切られたほか、2022年には与党「共に民主党」の宋永吉(ソン・ヨンギル)元代表が鈍器で襲撃された。
さらに李大統領も、野党党首時代の2024年に暴漢に襲われ、首を負傷している。先週も「共に民主党」の鄭清来(チョン・チョンネ)代表に対する殺害予告があり、警察が警備を強化したばかりだ。
熱を帯びている4年ぶりの地方自治体選挙だが、慶尚北道は保守の牙城であり、道知事も安東市長も最大保守野党「国民の力」所属だ。安東市長選では再選を目指す「国民の力」の現職市長と「共に民主党」の公認候補との一騎打ちとなっている。
こうした中、「国民の力」の党首でもある張東赫(チャン・ドンヒョク)常任選挙対策委員長は18日、「なぜ選挙直前に日韓首脳会談を行うのか、意図が見え透いている」と述べ、高市首相を招待した李大統領を批判していた。
張委員長は同日、フェイスブックで「高市早苗首相は日本政界でも代表的な右派人物だ」としたうえで、「過去の李在明氏の主張どおりなら、高市氏と向かい合って座ること自体が『極端な親日』に当たる」と批判。野党代表時代との姿勢の違いを問題視した。
さらに、「保守政権が日韓首脳会談を行うたびに『朝貢外交』だと攻撃してきた」とし、「それなのに本人は日本へ行き、楽しそうにドラムまで叩いてきた。歴史問題や独島(竹島)は議題にすら上がらなかった」と非難した。
政権与党として尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権の親日政策を支えていた「国民の力」が野党に転落すると、一転、政府の対日政策を辛らつに批判するというのは韓国のお家芸と言えばそれまでだが、高市首相の安東訪問は李大統領の奈良訪問以上に、韓国国内では政治的色彩を帯びた外交イベントとして受け止められているようだ。
(参考資料:「高市訪韓」を政府与党は「歓迎」、保守野党は「不快感」 韓国国民の対日好感度は過去最高!)
(参考資料:訪韓を前に韓国人教授の「高市総理突風の秘密」が韓国で出版! 異例の日本首相の紹介本の中身は?)