2026年5月20日(水)
「高市訪韓」と「日韓首脳会談」は韓国のメディアにどう評価されたのか?
大邱で共同記者会見に臨む高市早苗首相と李在明大統領(出展:青瓦台通信写真記者団)
高市早苗首相は本日(20日)午後、韓国から帰国し、早速党首討論に臨んでいるが、総理就任以来、4度目となる日韓首脳会談を韓国のメディはどう評価したのだろか?
大手保守紙「朝鮮日報」「東亜日報」それに「文化日報」を除く主要各紙が今朝の社説で日韓首脳会談を取り上げていたが、最も批判的だったのは保守紙「メイル(毎日)新聞」だった。
「『うまくやろう』と聞こえは良いが、合意にとどまった安東での韓日首脳会談」の見出しを掲げた「メイル新聞」は両国首脳が米国とイランの軍事衝突など不安定な国際情勢の中、石油や石油製品、LNGの相互融通を含むエネルギーと供給網(サプライチェーン)分野で協力を拡大することで合意したことについて「エネルギー協力についても具体的な内容が見えない。(中略)具体的な共有範囲も、共同対応基準も、履行期限もない『情報共有チャンネルの深化』は合意というより合意意思表明に近い。危機はすでに到来しているのに情報共有レベルの合意だけではエネルギー安全保障を担保できない」と、意外にも不満を表していた。
これに対して中立紙「国民日報」(「韓日シャトル外交の定着、未来志向のパートナーへ進むべき」)などは「シャトル外交の成功を通じて相互信頼を築き、経済安全保障同盟の基盤を固めることは、未来志向のパートナー関係構築の面でも肯定的だ。どうか両国がウィンウィンできる実利的・実用的な関係発展を通じて、地域内の安定と調和を導くリーダーシップを発揮してほしい」と、高い評価を下していた。
目を引くのは「過去の問題に固執すべきではないと」論じた保守紙「中央日報」と中立紙「韓国日報」の社説だ。
「中央日報」(「韓日シャトル外交、『エネルギー安全保障』協力を引き続き強化せよ」)は「協力関係が正常軌道に定着するには国内政治的利害関係に揺さぶられてはならない。両国とも過去のように外交問題を国内政治用の支持層結集に悪用し、国民感情を悪化させる旧態依然のやり方を繰り返してはならない。国家間の約束と合意は政権交代に関係なく一貫して守られてこそ、正常なパートナー関係が維持される」と論じていた。
「韓国日報」(「韓日関係、エネルギー安全保障危機の協調を越えてアップグレードすべきだ」)もまた、「韓日関係は、強制動員や独島問題などの歴史問題が政治的に悪用され、常に足かせとなってきた。しかし、歴史問題の解決だけに縛られているには両国が抱える現実はあまりにも厳しい。エネルギーなど輸入依存型の産業構造、米中などの戦略的動きに振り回される安全保障状況などは、両国とも単独で解決するのが容易ではない。(中略)歴史問題の解決を目指しつつもそれによって両国共通の未来利益が損なわれてはならない。両首脳はシャトル外交で培ってきた相互理解と信頼を基盤に、韓日関係をさらに発展させていくべきだ」と主張していた。
これに対して進歩系の「京郷新聞」は「シャトル外交で信頼を築いた韓日、国際秩序変動に力を合わせるべきだ」との見出しを掲げながらも以下のように歴史問題について触れていた。
「高市首相は2月の総選挙圧勝以降、『非武装平和国家』綱領を次々と崩し、周辺国の懸念を招いている。過去の植民地支配および侵略戦争に対する反省も見られない。高市首相が『竹島(独島)の日』など韓国関連行事で節度を見せてはいるが、度を越した発言で中国との葛藤を誘発しているのを見ると、東アジア平和のために日本の歴史反省がどのような意味を持つのかについての自覚が見えない。両首脳間の信頼が両国間の真の信頼へとつながるよう、歴史問題など本質的懸案についても議論を始めるべきだ」
一方、自由で開かれたインド太平洋戦略に基づく日韓及び日米韓の安保協力については「ソウル新聞」(「揺らぐ同盟秩序…韓日の経済・安全保障協力をさらに強固にすべきだ」)は「台湾海峡と朝鮮半島で武力衝突が起きた場合、韓国と日本が直面する安全保障上の脅威は互いに密接に連動せざるを得ない。韓日相互軍需支援協定(ACSA)は慎重に検討すべきだが、韓日間、そして韓米日間の多層的な安全保障協力体制はさらに強化する必要がある」と、日米韓との安保協力の必要性を説いている。
また、「ソウル経済」(「韓日シャトル外交定着…経済・安全保障の共同防衛線を構築すべきだ」)も「トランプ大統領の同盟・友邦軽視と東アジア安全保障戦略の変化により、米国の安全保障の傘への信頼は弱まる一方、北中露の結束は深まっている。トランプ大統領がイラン戦争支援に消極的な同盟国にどのような『請求書』を突きつけるかも懸念される。我々が非関税障壁問題、在韓米軍の役割調整など経済・安全保障懸案で対米交渉力を高め、国益を守るには日本と経済・安全保障の共同防衛線を構築しなければならない」と書いている。
これに対して「ハンギョレ新聞」(「韓日協力、『対中牽制』より『実用』に重きを置くべきだ」)は「李大統領はこの日の記者発表文で、今月7日に開かれた韓日安全保障政策協議会(2+2会議)が『次官級に格上げされた』ことに意味を与えつつも、『韓中日3カ国が互いに尊重・協力することが重要だ』と強調した。国防部はこれに先立ち、日本が望む相互軍需支援協定(ACSA)について『締結を検討していない』と線を引いた。日本との戦略的疎通を強化しつつも独自のバランスを保った適切な対応だったとみられる」と指摘し、「韓国経済」(「韓日首脳『エネルギー安全保障に共同対応』…実質的成果に期待する」)も「エネルギー分野だけでなく、域内の平和と安定のための韓日・韓米日協力の重要性を再確認した点も意味がある。(中略)同時に李大統領が『韓中日3カ国が互いに尊重し協力し、共通の利益を模索することが重要だ』と述べ、中国に配慮する姿勢を見せたのも賢明な対応と言える」と、李大統領のバランス外交を評価していた。