2026年5月24日(日)
日本海の北朝鮮側沖で原油・ガスは発見されるか? ロシアが探査に乗り出す!
日本海の北朝鮮沖のガス・原油探索地点(NKニュースが編集したグーグルアース地図から)
米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」が5月22日(現地時間)、ロシアが日本海(東海)沖の大陸棚でガス・石油探査に着手したと報じた。
「NKニュース」によると、極東地域水文気象研究所所属の乗組員23人と、海洋地質鉱物資源科学研究所所属の研究員16人が調査船「パーヴェル・ゴルディエンコ号」に乗船し、5〜6月の間に北朝鮮の排他的経済水域(EEZ)海底でガスなどの地球化学調査を実施するとされている。
船舶位置追跡サイト「マリントラフィック」のデータによれば、調査船はすでに北朝鮮EEZ内の調査海域へ向けて出航し、5月21日に最後の位置情報を送信した後、ロシアとの国境に近い北朝鮮・羅先港の東33海里地点で位置発信機を停止したことが確認されている。こうしたことから露朝の海上境界を越えたものと推定されている。
「NKニュース」は「出発時点の位置情報などからみて、この船舶は北朝鮮大陸棚で石油・ガス探査作業を開始したとみられる」と伝えている。
また、マリントラフィックのデータではロシアの別の大型深海調査船「オルドヴィク号」が4月29日から、元山の北方にある清津付近の海域を航行していることも確認されている。この船舶は、ロシア最大の鉱物探査持株会社ロスジオの子会社セヴモルネフテゲオフィジカ(SMNG)が所有しており、大陸棚探査に関与している可能性が指摘されている。
ロシアは、ウラジーミル・プーチン大統領の指示により、昨年11月に北朝鮮海域の深海石油・ガス探査へ連邦予算約1300万ドル(8億9000万ルーブル)を割り当てている。
北朝鮮の原油工業部によると、地質調査やボーリングなどから原油及びガスの埋蔵可能性地が7か所あるとされている。このうち5か所は咸鏡北道の吉州と鏡城、平安南道の安州、温泉、平壌付近の陸地で、残る2か所は黄海(西海)の南浦沖と、日本海(東海)の元山沖だった。
中でも南浦沖では、150km離れた地点に「430億バレル規模の石油が埋蔵されている可能性が高い」とされ、北朝鮮はカナダのカンテク社、豪州のメリディアン・オイルNL社、英国の石油企業「アミネックス製油会社」など外国企業を誘致して探査や試掘に乗り出したことがあった。
しかし、北朝鮮に対する国連安全保障理事会制裁の壁に阻まれ、多くの企業は資金不足などから撤収を余儀なくされた。油田開発には試験ボーリング段階で5000万ドル、本格的な生産体制の構築には2億ドル以上が必要とされている。
今回、ロシアが乗り出している日本海は水深が深く、試掘が難しいとされている。これまでも豪州のビーチ・ペトロリア社が1990年代に、シンガポールのサベリン・ベンチャーズ社が2012年に、この海域を調査したことがあるが、成果ゼロだった。
特に元山沖では米国のアミネックス製油会社が2004年に北朝鮮との間で、日本海湾盆地の5万8000平方km鉱区について、2年間で1000万ドルを先行投資する条件で20年間の試掘契約と生産分配協定を締結していたが、これまた成果なく、2008年に撤収している。
「NKニュース」によると、東西大学のロシア専門家クリス・マンデー氏は「ロシアによる鉱物資源探査は電力不足に悩まされてきた北朝鮮にとって『真のゲームチェンジャー』になり得る」と述べているものの実際の埋蔵量や採算性については、試掘を行ってみなければ分からない。
実際、韓国でも2024年6月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領自らが「(日本海の)浦項市の迎日湾沖に最大140億バレルの天然ガスと石油が埋蔵されている可能性がある」と発表したことで、国民の間では「発見されれば世界第15位の産油国になれる」と期待が高まった。
しかし、その後のボーリング調査の結果、経済性がないことが判明し、資産価値220兆円とも試算された「産油国の夢」は、一瞬にして消え去ってしまった。