2026年5月26日(火)
米国も反応! 韓国の「スターバックス不買騒動」
市民団体がスターバックス光化門店前で抗議集会([JPニュース」から)
韓国で米コーヒーチェーン大手、スターバックスの不買運動が起きている。
事の発端はスターバックスコリアが5月18日から「5・18タンクデー」と称し、タンブラーの販売キャンペーンを開始したことである。というのも、5月18日は韓国現代史の悲劇である「光州事件」が発生した日である。まさに46年前のこの日、当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事政権は戦車(タンク)を投入して民主化デモを鎮圧し、その結果、学生、市民数百人が死亡したのである。
このスターバックスのプロモーションについて「光州事件を揶揄している」との批判が殺到し、市民団体はソウル鍾路区のスターバックス光化門店前でスターバックス糾弾記者会見を開き、国民に不買運動を呼びかけた。
加えて、このことをいち早く知った李在明(イ・ジェミョン)大統領が18日、自身のXで「大韓民国の共同体と基本的人権、民主主義の価値を否定する下劣な商売人の非人間的で破滅的な行為に怒りを感じる。5・18遺族や被害者たちに謝罪はしたのか?(スターバックスには)当然、それに相応する道徳的・行政的・法的・政治的責任が課されるべきだ」と、責任を追及したことで政治問題に発展した。
また、大統領のこの発言を受け、法務省や行政安全部をはじめ官公庁が今後、政府のイベントなどで同社の商品を使用しない方針を発表したことで官民一体の不買運動は全国に拡散した。
スターバックスコリアは韓国の財閥、新世界グループの傘下にあるため新世界グループの鄭溶鎭(チョン・ヨンジン)会長は今日(26日)、「光州民主化運動の犠牲者や遺族、光州市民、朴鍾哲烈士の遺族、スターバックス利用客、国民の皆さまに大きな傷とご心配をおかけしたことをお詫びする」と謝罪せざるを得なかった。
新世界グループは韓国財閥ランキングトップ10に入る大財閥である。新世界、イーマート、新世界インターナショナル、新世界フード、新世界建設、新世界T&C、SCKカンパニー、朝鮮ホテル&リゾート、新世界サイモン、新世界L&B、イーマート24、新世界セントラル、新世界プロパティ、新世界DF、新世界ライブショッピング、新世界カーサ、Gマーケット、SSG.COMなど多様な系列会社を傘下に置いている。
官民による全国的な不買運動でスターバックスの大株主であるイーマート株や新世界インターナショナル、新世界フードなど関連銘柄が一斉に下落したのは言うまでもない。
韓国は現在、全国地方自治体選挙の真っただ中にある。最大野党「国民の力」の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表は26日、中央党本部で記者会見を開き、「李在明が直接乗り出してスターバックスを攻撃し、政府と警察が総動員で動く理由はいったい何なのか。コーヒーを選ぶ自由まで奪うのが李在明流の恐怖政治だ。選挙情勢が変わりつつある」と述べ、政府の介入を強く批判した。「選挙情勢が変わりつつある」と発言していることから、この騒動を追い風にしたい考えがうかがえる。
「国民の力」の候補者の多くは街頭演説でスターバックスを「自由の砦」と位置づけ、「スターバックスに行ってコーヒーを飲もう」と呼びかけている。実際に「国民の力」の党代表を務めたこともある金起弦(キム・ギヒョン)蔚山総括選対委員長は自身のFbに党の選挙ジャンパーを着てスターバックス店舗でコーヒーを飲む写真を投稿していた。
スターバックスでコーヒーを飲んでいる写真をfbに掲載した野党「国民の力」の金起弦議員
スターバックスに対する政府の対応を巡っては、韓国メディアの間でも意見が分かれている。
保守系の「中央日報」は「国民の常識的判断と市場原理によって十分に正すことのできる問題に政府が過度に介入した場合、かえって社会の葛藤と分裂を刺激する可能性がある」と指摘しているが、進歩系の「ハンギョレ新聞」は「国民の力」が党代表から国会議員、地方選挙候補に至るまでスターバックス擁護に回ったことを批判している。
興味深いことに、この論争は韓国国内にとどまらず米国の主要メディアでも大きく報じられている。
「CNN」はこの騒動について「民主主義に対する残虐な弾圧を想起させたプロモーション」と強い表現で報道した。特に、スターバックスがアメリカ企業である点を強調し、グローバル企業が海外市場で現地の歴史や政治的感受性を十分に理解できなかった場合、どのような波紋を招くかを示す事例として扱っていた。
「ニューヨークタイムズ」は「韓国の残酷な歴史を想起させた広告」と報じ、この論争が単なるネット上の批判ではなく、民主化運動の記憶と企業マーケティングが衝突した事件であると説明していた。
この問題を最も積極的に扱っている「ロイター通信」に至っては、最初の報道でスターバックスコリア代表の解任、キャンペーン撤回、消費者によるプリペイドカードの払い戻しや会員脱退、スターバックス商品を破壊する抗議動画の拡散、さらにはイーマート株価の下落まで詳細に取り上げていた。そして、この論争が単なる消費者不買運動を超え、政府機関の対応にまで広がっている点に注目していた。
波紋が米国まで広がったことでスターバックス本社も今回の件を「容認できないマーケティング事案」と位置づけ、謝罪のコメントを出していた。