2012年4月10日(火)

北朝鮮とイランの衛星との比較

 北朝鮮はロケットを海外の取材陣に公開した。同時に搭載するとされる「衛星」も公開した。

 「人工衛星」でなく、長距離弾道弾ミサイルの発射との前提に立つ日韓両国では早くも疑問の声が上がっている。「衛星」があまりにも小さくて、貧弱であるからだ。「張りぼて」と主張する専門家もいた。

 衛星を打ち上げる発射体であるロケットも日米やロシアのそれに比べると規模が小さすぎて、これで本当に「衛星」を打ち上げられるのかと疑問視する向きもある。

 しかし、客観的にみて、「衛星」も「発射体」も2009年に自前のロケットで衛星を打ち上げたイランの通信衛星「オミド」(上記写真)に比べれると一回り大きいことがわかる。

 「オミド」の寸法は40cmで、重量は27kg。北朝鮮の「光明星」は1メートルで、重量は100kg。明らかに北朝鮮のほうが大きい。但し、イランのそれはUHF帯通信装置を搭載した通信衛星だ。

 また、イランが発射に使ったロケット「サフィール2号」は全長22メートル、直径1.25m.重量26トンの2段ロケットだが、公開された北朝鮮の発射推進体「銀河3号」は全長30メートル、直径2.4メートル、重量は90トンだ。イランのそれよりも大きい。

 「衛星」については韓国と比較する必要もある。韓国が2009年、2010年と打ち上げに失敗した人工衛星(KSLV-1)は小型衛星で、重量は100kgに満たない90kgだ。ちなみに他国の発射体で1999年に打ち上げられた衛星「我が星1号」に至っては48.5kg。VHF・UHFアマチュア無線中継器を搭載していた。

 北朝鮮の衛星が問題なのは、通信だけでなく、気象を観測する気象衛星も兼ねているからだ。ならば、搭載量は初歩的なものであっても、300〜500sでなければならないということだ。ちなみに日本の気象衛星は2トン以上ある。

 北朝鮮は高感度のカメラを設置していると説明しているが、試用期間の2年間、鮮明度の高い画像を配信できるのか、それが問題だ。