2011年10月27日(木)

事前予想が外れたソウル市長選挙

 韓国の選挙は実に面白い。マスコミの事前予想が当たらないからだ。

 日本では、世論調査に基づく事前予想が外れることはめったにないが、韓国では大きく外れることがしばしばある。昨日行われたソウル市長選挙もそうだった。

 今回のソウル市長選も投票前までは「大接戦」と伝えられていたが、なんと言うことはない、野党統一候補として無所属から出馬した朴元淳(パク・ウォンスン)候補の完勝に終わった。

 韓国の大手紙などの事前予想では「接戦」、「僅差」と伝えられ、中には政権与党・ハンナラ党最高委員の羅卿?(ナ・ギョンウォン)候補の優勢を伝えていたメディアさえあったが、蓋を開けてみると、朴候補は全投票数の53.4%に上る215万8476票を獲得し、186万7880票の羅候補を得票率で7.2%、得票数で30万票引き離しての当選だった。ソウル市は23の自治区から成っているが、朴候補は4つの区を除き、ほぼ全区で羅候補を上回り、ほぼ圧勝に近かった。

 個人的には、所属する政党は別にして、前回の選挙で野党から出馬した女性候補が後一歩のところで、及ばなかったことから今度こそは女性に勝たせてあげたいと、羅卿?候補に期待を寄せていたが、「雌鶏鳴くと、国滅びる」とでも思っているのかソウル市民の選択は、そう甘くはなかった。

 今回のソウル市長選挙が国民の関心の的となったのは、男女対決、市民運動家対既成政党、オール保守対オール革新という対立構図だけでなく、李明博大統領への審判、さらには来年12月の大統領選挙の前哨戦という見方が広まったことにある。

 選挙の結果、首都ソウルで政権与党の候補が惨敗したわけだから、李大統領の基盤は大きく揺らぐことになるだろう。李大統領のレームダックはさらに加速化され、米国と結んだFTA(自由貿易協定)の国会批准も危うくなるかもしれない。さらに、野党だけでなく、与党の一部からも批判が出ている北朝鮮政策の軌道修正も余儀なくされ、今後、難しい舵取りを強いられることになるだろう。