2010年3月23日(火)
メキシコにも歯が立たず
南アW杯に出場する北朝鮮代表チームが、スワジランドでキャンプを行う見返りとして同国サッカー協会に対して現金を要求し、拒否されたそうだ。
報道によると、北朝鮮は4月末から約一週間キャンプを行う条件として約2千万円相当を要求したそうだ。現金以外にも、移動に必要な車両と寝食の提供を要求し、特に宿泊は王室ビラを希望したと、報道されている。
W杯開催地が南アフリカであることから、全出場国はアフリカの環境に慣れるためアフリカの地で一度は試合をする必要性がある。また、本番前にはアフリカ入りし、キャンプを張って、最終調整をする。当然アフリカ各国でW杯特需を期待し、2002年の日韓ワールドカップの際に日本各地で見られたような招致合戦が繰り広げられる。
フランス、スペイン、イタリア、英国、ブラジル、ポルトガル、アルゼンチンなど強豪国には人気が殺到するが、32か国の参加国のうち最も人気がないのがどうやら北朝鮮のようだ。FIFA(国際サッカー連盟)ランクが最下位で、第一次リーグ突破が限りなくゼロに近いと、サッカー専門誌で予想されていることも輪をかけているようだ。
北朝鮮は3月から海外遠征に出て、南米でベネズエラ、メキシコと試合を行っている。旅費及び海外滞在費は全額、FIFAと北朝鮮チームの公式スポンサーである中国の企業「チャイナー・ホンシン・スポーツ社」(Erke)が面倒を見ている。中国の企業は一昨年の北京五輪でも北朝鮮選手団に300万ドル支援したことで知られている。
財源の乏しい北朝鮮チームとしては、W杯出場国というブランドを盾に自ら売り込み、少しでも費用を浮かしたいとの気持ちはわからないでもない。しかし、そのためには実力と人気が伴わなければならない。
「死のグループ」に入った北朝鮮の初戦の相手は優勝候補のブラジルだ。今回の南米遠征でそのブラジルよりも格下のベネズエラ、メキシコを相手に3度戦って、一度も勝てないようでは、話にならない。18日のメキシコとの試合は、7日のベネズエラ戦に続き、1−2で敗れている。(5日のベネズエラ戦は1−1の引き分け)
本戦までの間、5月にはドイツ、スイスに遠征し、ギリシャ、ホンデュラス、ナイジェリアとの評価試合が組まれている。遠征試合で一勝できるかどうかさえ危い。