2011年9月27日(火)

中ロ朝3か国による羅先開発現状

 北朝鮮経済の舵取りをしている崔永林(チェ・ヨンリム)首相が26日訪中し、温家宝首相と会談した。これを機に金正日総書記の度重なる訪中で合意を見ていた両国の経済交流、協力が本格的に軌道に乗ることになるが、その柱となるのが、北朝鮮の東海岸(日本海)都市、羅先(ラソン)経済特区開発である。

 ▲中国のメリット

 北朝鮮は中朝、ロ朝国境に近い日本海都市、羅先市を国際中継貨物拠点、輸出加工、保税物流など国際交易基地として利用し、将来的には第二のシンガポールにする構想を描いているが、そのためには最大のスポンサーである中国からの投資が不可欠である。

 中国は、北朝鮮との国境に隣接した2700万人の人口を有する吉林省(長春、吉林、図們)の開発と同時に黒龍省(3800万人)、遼寧省(4200万人)を含む東北3省開発のため中朝国境を流れる豆満江領域を国家プロジェクトである「超国境経済協力特区開発」に指定し、2020年までに約2020億元(2兆4240億円)を投じ、開発することにしている。

 中朝両国の辺境線の80%が吉林省(人口2700万人)で、朝鮮族自治州のある吉林省と北朝鮮とは地理的に密接な関係にある。

 中朝の昨年の貿易額は34億7千万ドル(約2660億円)だが、吉林省と北朝鮮との貿易額は6億1千万元(72億円程度)。ちなみに吉林省は中国の省の中では北朝鮮にとっては4番目の貿易パートナーである。また、現在吉林省からは35の企業が北朝鮮に進出している。

 中でも中國の商地冠群投資有限公司は羅先市の経済特区開発に20億ドル(約1540億円)を投資する計画で、合弁先の朝鮮合弁投資委員会の招請で昨年12月には代表団が訪朝し、現地調査を実施している。

 中国にとって内陸の東北3省が物流拠点となるには生産品とこの地域の豊富な地下資源を上海や海外に搬出することが必要で、そのためにも日本海に通じる北朝鮮の港が要となる。従って、羅先における中国の最大の関心は、羅先港の開発とその使用にある。大連にかわって羅津港を利用すれば、日本海への進出だけでなく、ロシア、さらには日本、カナダ、米国にまで物流網を広げることができるからだ。

 羅先港は埠頭の水深が10メートルあり、冬も凍らない不凍港との利点がある。現在、5つの埠頭があり、現在の荷役能力は300万トン。クレーンは9トン級が5基、5トン級が11基ある。

 羅先港の5つある埠頭のうち、一番広いのは、1号と3号だが、1号は、大連の環境設備製造専門企業であり創立グループが開発権を獲得している。すでに修復工事が行われているが、完了すれば年間100万トン規模の荷役が可能となる。

 中国東北地方からの穀物、石炭、木材などの物量は年間500万トンに達するが、鉄道の代わりに羅先港を利用して東北地域の資源を工場の多い上海など南部に運送した場合、1トンあたり10ドル、年間5千万ドルも浮くことになる。また、東北地方で生産された製品を輸出するのにもプラスである。

 中国当局はすでに吉林省延辺朝鮮自治州の琿春―羅先―上海の海上航路の開設を承認している。

 豆満江流域の海上前進基地である琿春から羅先港を経て、上海に物資を輸送するのは初めてのことだ。中国は試験的に琿春で生産された10万トンの石炭をこの航路を使って、上海の外高橋埠頭を通じて南方に供給している。この航路が軌道にのれば、年間150万トンの東北地方の物資が羅先港を通じて輸送されることになる。何よりも、遼寧省の大連港や鉄道だけに依存していた物流費を大幅削減することができるとのメリットがある。

 このため中国最大の石炭業者である琿春鉱業集団有限公社は2012年までの2年間、12億元(144億円)を投じて、石炭生産量を1千万トンに引き上げることにしている。

 創立グループは見返りとして、琿春―羅津間の93kmの道路開設を約束している。すでに中国の琿春市から豆満江を経て北朝鮮の元丁里(ウォンチョンリ、咸鏡北道)と羅先を結ぶ53km(幅12m)の道路舗装工事が優先的に進められているが、来月に完成する予定である。

 中国はこれ以外にも中朝経済協力の一環として図門―南陽(ナムヤン)―清津(チョンジン)区間など豆満江流域の6か所に道路開発整備事業や鉄道の建設などを約束している。

 北朝鮮最大の埋蔵量を誇る茂山(モサン)鉱山から鉄鉱石を輸送するための鉄道も来月に完工する運びである。

 当初は2015年に完工予定だったが、中国の需要が伸びたことで今年1月に和龍(中国)―南坪(ナンピョン)を結ぶ鉄道(41.68km)の建設に着手。開通すれば、茂山鉱山の対中鉄鉱石の輸出は年間150万トンと50%増えるものと見積もられている。中国の鉄鋼業は2005年に茂山鉱山の50年間の開発権を得て、毎年100万トン生産、輸入している。

 羅先港の埠頭3号は、ロシアがすでに獲得しており、2008年10月に約2億ドル(154億円)を投資し、羅津港施設補修のための羅先国際コンテナ輸送合弁会社が設立されている。埠頭3号も修理完了の暁にはコンテナ処理能力は年間40万個に増えるものとみられている。

 羅先港が中ロの協力により全面使用となれば、9年後の2020年には全体として400万トンのコンテナ物流が発生する。その結果、北朝鮮には港使用料だけで国内総生産(GDP)の1.6%にあたる4億3千万ドルが入ってくる計算になっている。(韓国現代経済研究院の報告「羅先特別市開発展望と示唆点」)

 ▲中ロ朝国際鉄道の再開

 羅先港を使用する中国とロシア、そして北朝鮮の3か国は吉林省の図們―豆満江(咸鏡北道)−ロシアのハサンを結ぶ126kmの区間に国際鉄道の再開も目指している。1992年に一度は開通したが、現在は中断状態にあり、開通すれば、図們―ハサンは5時間で結ばれる。

 中ロ間には吉林省とロシアの極東地方を転結する鉄道として琿春―ミハリノ路線があるが、ロシアの巨頭大鉄道網を経なくてはならないという問題があり、国際貿易活性化にほとんど寄与してこなかった。それにくらべると、図們―豆満江(咸鏡北道)−ハサンはロシアの国家鉄道網に直接入れるとの利点がある。

 国際鉄道の復活を目指し、中朝ロの3か国は07年12月に図們で協議を開始し、共同運送協定を結んでいる。また、北朝鮮とロシアの間では08年11月に羅津―ハサン間の鉄道近代化にも合意している。

 一連の協議では、国際貿易の貨物輸送条件、輸送物量、貨物の引き継ぎ、貨物列車の使用料や清算方法などについて話し合われているが、豆満江域には現在、8つの車両交換専用線と、500個の自国のコンテナと700個のロシアのコンテナを同時に輸送できる施設がある。国際列車が開通すれば、朝鮮半島の南北縦断鉄道とシベリア横断鉄道が連結した場合の有力な路線となる。

 年間貨物処理量560万トンの豆満江駅は中国東北地方の各都市と、北朝鮮の羅津、清津を連結することになるが、豆満江駅を経由してハサンまで国際鉄道が開通すれば、中国としては運送時間を大幅に短縮できる。ロシアのウラジオストクや清津、羅津を通じて韓国、日本、米国、カナダとも貿易を促進することができる。