2007年6月5日(火)
青森に上陸した「脱北家族」
青森県深浦町で保護された脱北者家族の次男が微量ながら覚せい剤を所持していた。次男は「眠気覚ましのため持っていた」と警察当局に語っている。覚せい剤の「効能」を知っているということはおそらく初心者ではないだろう。常用者の可能性も考えられる。密売者かどうかも含めて調べる必要はあるようだ。
家族は「新潟を目指して来た」と語っているが、なぜ新潟にそこまでこだわる必要性があるのか。最初から韓国に亡命するのが目的ならば、日本の陸地ならばどこでもよかったはずだ。日本にたどり着けば、新潟でなくても、青森からでも韓国には行けるわけだから。新潟に定住したいというなら話は別だが、新潟に行かなければならない事情でもあったのだろうか。
家族は「(北朝鮮では)生活が苦しく、1日おきにパンを食べるのがやっとだった」と語っているが、事実ならば、栄養失調にかかり、脱北する体力も気力もなかったはずだ。おそらくもやしのように痩せこけていてしかるべきなのにどういうわけか全員健康というから不思議だ。
また、家族は、次男がタコ漁をして一家の生計を支えていたようだが、本当に苦しければ、専門学校に通っている30代の長男は学校を辞めて働いてしかるべきなのにこれまた不思議だ。
陸路からの中国亡命にせよ、資金がなければ、脱北はできない。船も、エンジンも、燃料も、食糧も調達したようですが、「1日おきにパンを食べるのがやっと」の経済事情で、どうやってその資金を調達したのだろうか。
父親は中国語を多少話せ、また4人は着岸時、多少の人民元を所持していたということは中国を行き来していたか、中国と何らかの取引をしていた可能性も考えられる。家族の姓名、年齢、職業、居住地、さらには長男が通っている専門学校の校名がわかれば、いろいろと分析もできるが、北朝鮮に家族を誰も残しておらず迷惑をかけることがないわけだから本来ならば、公表してしかるべきだ。それが未だ公式発表がないのはどういうわけなのだろうか。
家族が生きるため、食べるため脱北してきた経済難民ならば国連難民保護法や昨年施行された北朝鮮人権法にのっとって人道的に対応し、希望の地の韓国に行けるよう政府は最大限配慮すべきだ。しかし、まかり間違って、仮に何らかの犯罪にかかわったうえでの逃亡ならば、ことは簡単ではない。
ボートピープルの日本亡命が成功したということが口コミで北朝鮮に伝われば、北朝鮮には脱北予備軍が大勢いるわけだから、今後日本に向かってくる可能性は大だ。まして中国ルートが厳しければなおさらのこと。船の大小に関係なく、また強奪してでも、船を手に入れてやって来るだろう。
キューバからの難民同様に数人でなく、数十人、数百人と押し寄せて来た場合、生きる糧を求めてやって来る純粋な経済難民と政治的迫害から逃れてくる政治亡命者と、収容所から逃走してきた犯罪者や、北朝鮮が難民を装って送り込んだ工作員らを判別できるのだろうか。こればかしは、北朝鮮に身元を照会するわけにもいかない。
ちなみに、2000年から2005年6月まで韓国に亡命した脱北者4,080人のうち10.7%にあたる436人が北朝鮮や中国、あるいは逃亡地の第三国で犯罪を犯していた。野党のハンナラ党の議員が統一部に提出を求めた国政監査資料で判明したのだが、それによると、殺人10人、人身売買23人、麻薬密売10人、強姦・強盗・窃盗など151人、公金横領21人。
これあくまで自己申告の結果だ。少し手荒な取調べや詰問をしたら、おそらく犯罪者の数字はもう少しは跳ね上がっていたかもしれない。