2010年5月5日(水)

金正日訪中で見えたこと

 中国訪問中の金正日総書記は昨日午前、大連の経済技術開発区を訪れ、第3埠頭を視察し、午後4時に宿泊先のホテルを出発。大連の農業施設を見て回った後、待機していた特別列車に乗って、北京に向かったとのことだ。

 金総書記が北京に直行せず、貿易・物流都市・大連に立ち寄り、港湾や産業施設を視察したところをみると、訪中の目的が、中国の開放経済に学び、羅先など経済特区開発への協力を仰ぐことにあることがはっきりした。

 韓国からは「後継者を紹介するため」とか、「哨戒艦沈没事件で呼ばれたため」とかの情報が流れているが、確か4年前の訪中の時も「後継者を中国首脳に紹介するため」との「後継者紹介説」から「北京の病院で健康診断を受けるため」との「入院説」まで奇奇怪怪な情報が流れていたが、いずれも見当外れだった。ちなみに、当時、韓国のメディアが伝えていた後継者は三男のジョンウン氏ではなく、次男のジョンチョル氏だった。

 日本の一部メディアにいたっては、前年(05年)10月下旬の胡錦涛主席訪朝時に「金総書記は胡主席に後継者を紹介した」とのドイツ誌「シュピーゲル」の記事を伝えておきながら、翌年の金総書記の訪中を「後継者を中国首脳に紹介するため」と報じたわけだからこれはもう話にならない。今、振り返ると、どれもこれも全部デタラメだったということになる。後継者のお披露目は平壌でも、中国でもなかったわけだ。

 一昨年、脳卒中で倒れた後も、どさくさに紛れて「アルツハイマ病」から「半身不随」「再起不能」など様々な説が乱舞したが、病状についても今回はっきりしたことは、脳卒中による後遺症で左手と左足に麻痺が残り、左手が依然として不自由で、左足も若干引きずっていること、さらに髪の毛が抜けていたことである。

 万一に備えて救急車まで用意されているところをみると、脳卒中の再発の恐れがあることである。 さらに腎臓を患い、人工透析をしている可能性があること等である。それに同じ年の胡錦濤主席に比べてもわかるように老け込んでいることである。金総書記の健康問題についてはそれ以上でも、それ以下でもない。