2011年12月28日(水)
長男、次男は父の国葬に出るか!?
今日は金正日総書記の国葬の日だ。17年前の金日成主席の国葬の時の再現となるだろう。
マスコミの関心は長男の正男(ジョンナム)氏と次男の正哲(ジョンチョル)氏が参列するかどうかに集まっているが、仮に二人が葬儀に出席したとしても、映像には映りそうにもないので出欠の判別はできそうにもない。ただ、正男氏はまだ海外にいて、今のところ入国したとの報道はない。北京空港やマカオ空港には海外のメディアが張り込んでいるので、特徴のある正男氏が現れれば直ぐにキャッチされるだろう。
正男氏はこれまで海外で数々の問題発言というか、北朝鮮にとっては「不適切な発言」を行ってきた。自分の国を「我が国」とか「共和国」と呼ばず、韓国人が使う「北韓」と呼称したり、「改革、開放に向かうことを望む」と北朝鮮当局が嫌う「改革・開放」と言う言葉も口にしたりしていた。
それだけではない。「北朝鮮の生活が向上しているとは思えない」とか、「中国ですら世襲はしなかった。社会主義には合わない。私は世襲には反対だ」と、金正恩氏が世襲で跡目を継いだことも意に介さない発言をしていた。
さらに3年前、北朝鮮のミサイル発射に備え日本がイージス艦やパトリオットミサイルを配備し、迎撃態勢に入ったことについて北朝鮮の外務省が激しく批判している最中に「日本の対応は当然」と、北朝鮮の見解とは180度異なるコメントをし、関係者を驚かせた。
それでも、正男氏は誰からも咎められることはなかった。金正日総書記の息子、長男であるが故の「特権」だったかもしれない。
海外で言いたい放題、やりたい放題できたのも父親の「庇護」があったからこそ可能だった。その後ろ盾が亡くなったわけだら正男氏は今後、今までのように自由気ままな振る舞いはできないだろう。従って、葬儀出席のため帰国したら、2度と出国できないと危惧していれば、父親の葬儀とはいえ、二の足を踏むのも致し方のないことかもしれない。
すでに10代の頃から海外で学び、今では生活の拠点もマカオにあり、息子は今年10月からボスニアに語学留学しているので北朝鮮に戻る必要性もない。ということは、今回、葬儀に臨席しなければ、正男氏は2度と祖国の地を踏むこともなく、半ば海外亡命の道を辿ることになるのではないだろうか。
今、正男氏は「行くべきか、行かざるべきか」とまさにハムレットの心境にあると察しがつくが、正男氏の動静よりも、もっと気になるのは次男の正哲氏が参列するかどうかだ。
正哲氏は北朝鮮では何の要職にも付いていない。従って、葬儀委員に名を連ねてないのは当然のことだ。しかし、遺族であることには変わりない。妹のヨジョンが兄の正恩氏に付き添うように頻繁に姿を現しているのに正哲氏の姿が見えないのはあまりにも不自然だ。
病気になったとの話も聞いてない。今年2月には大好きなエリック・クラプトンのコンサートを観に妻らしき女性を連れてシンガポールに現れている。盗撮された映像を見る限り、健康そのものだった。
もちろん、その後、体調を崩し、療養している可能性も否定できない。それでも、最愛の父親が亡くなったわけだから、無理してでも、葬儀には出なくてはならない。葬儀の欠席ほど、親不孝はない。
同じ屋根の下で暮らしたことのない正男氏と違って、同じ母親から生まれた正哲、正恩の二人は実に仲の良い兄弟だったと言われている。スイスにも一緒に語学留学している。だからこそ、正哲氏が弟に敬遠されたり、疎外されたりされる理由はない。
それでも、正哲氏の姿が見えないとなると、やはり何かあったのではと、勘ぐらざるをえない。正哲氏の動静が気になって仕方がない。