2011年3月25日(金)

北朝鮮にとっての心配はシリア情勢

 ドミノ現象で起きている中東の「ジャスミン革命」は、中東独裁体制の最後の牙城とされるシリアにも波及し、デモの規模は全国に拡大しつつある。

 シリア情勢は、北朝鮮にとってエジプト、リビアよりも大いに気になるところだ。イランを除けば、シリアこそが中東にあって北朝鮮の唯一同盟国であるからだ。その砦が今まさに、崩れ落ちようとしている。

 シリアと北朝鮮は1973年のイスラエルとの第4次中東戦争で北朝鮮がシリアに援軍を派遣するなど加勢したことが縁となっている。シリアは北朝鮮への義理と恩があって、中東諸国の中にあって唯一韓国を承認していない。

 両国の関係は、先代のハーフィズ・アサド大統領と金日成主席とが義兄弟のような関係を結んだこともあって、今も強い絆、連帯感で結ばれている。シリアの執権党、バース党がモデルにしたのが、朝鮮労働党である。

 労働党の指導の仰いだ結果、今日までバース党一党支配による長期独裁体制を築くことができたともいえる。北朝鮮にとってアサド政権のシリアは、かつての兄弟国であったチャウシェスク政権下のルーマニアのようなものだ。

 両国とも現在、世襲体制下にある。金正日総書記が長男、バッシャール・アサド大統領は次男であることが唯一異なる点だが、金家とアサド家はそれぞれ63年、40年と長期にわたって政権を維持しているという点では同じだ。

 両国は、先代の志を継ぎ、現在も政治、軍事的関係を強化している。2007年9月にイスラエルが奇襲攻撃し、破壊したシリア北部に建設中の核施設が北朝鮮の支援によるものとの疑惑が高まったことは周知の事実である。また、北朝鮮にとってシリアは武器、ミサイル売却の顧客でもある。

 それだけに、シリアのアサド政権がひっくり返り、仮に親米と化せば、北朝鮮にとっては痛手である。