2012年2月18日(土)

金正日誕生日の軍階級の謎

 故金正日総書記は誕生日に大元帥の称号が与えられたようだ。

 先代の金日成主席に続く二人目の大元帥の誕生だ。先軍政治を推し進めたこと、核保有国になったこと、そして人工衛星(テポドンミサイル)を打ち上げたことで「世界的な軍事国家に」にしたことが授与の理由のようだ。

 金総書記が大元帥に昇格したことで、後継者の正恩氏もおそらく4月には「大将」から「元帥」に昇進するのだろう。最高司令官が大将のままでは格好がつかないからだ。

 北朝鮮には現在、元帥1人、次帥が8人いる。大将はそれよりも下の階級だ。

 軍人社会において階級が下の者が、最高司令官ではさまにならない。それで、4月15日の金日成主席生誕100周年を機に元帥に就任し、4月25日の人民軍創建80周年の軍事パレードを迎えるのかもしれない。

 金総書記も1991年12月に最高司令官に就任し、半年もしない翌年の92年4月には元帥になり、25日の軍事パレードで「朝鮮人民軍に栄えあれ!」と初めて肉声を発したわけだ。正恩氏も同じ道を歩むのだろう。

 金総書記は軍人出身ではない。軍歴がないのに「元帥」だったわけだ。

 このように考えると、妹の金慶喜・張成沢夫妻に続き今回も、朴道春党軍需担当書記と朱奎昌党機械工業部部長ら党幹部に大将や上将の称号を授けたとしてもおかしくはない。党が軍をコントロールするためにはシビリアンの党幹部らに軍の階級を与える必要があるのだろう。

 でも腑に落ちないことがある。同じ政治局員候補なのに朴道春が大将で、党軍事委員でもあり国防委員でもある朱奎昌がそれよりもワンランク下の上将であることだ。誰が何を基準に決めているのだろうか?一応は、金正恩最高司令官の名によって授与されているが、果たして彼が自らが判断して、決めたことなのだろうか?

 また、党軍事委員会と国防委員会は国防委員でもあり、党軍事委員でもある金正角軍政治局第一副局長を大将から次帥に昇進させているが、彼よりも序列上の軍長老の呉克烈大将は国防委副委員長なのになぜ次帥に昇進されないのか?謎だらけだ。

 一連の人事や昇格を誰がやっているのだろうか?誰が絵を描いているのか、真の実力者が誰なのか、まだ見えてこない。