2012年1月6日(金)

北朝鮮は名実ともに軍事国家

 後継者の金正恩氏が金日成軍事総合大学を卒業し、3年間軍隊生活を送り、除隊後上尉の階級を授与された軍歴から、金正恩氏は軍人出身なので、北朝鮮は名実ともに軍事国家、軍人国家になるのではとの危惧を表明したが、国葬及び追悼大会での金正恩氏の敬礼の仕方は、軍歴のない父親のそれとは明らかに違い、軍隊式敬礼であった。北朝鮮が明らかに名実ともに軍人国家となった瞬間だ。

 韓国の李明博政権に対して「永遠に相手にしない」との強硬な声明が国防委員会から出されていたが、国防委員長は現在空席のままだ。最高司令官になったばかりの正恩氏は国防委員会のメンバーではない。一体どこの誰が、このような声明を出すよう命じたのだろうか?

 副委員長は、軍総参謀長の金英春、元軍総政治局局長の李勇武、元軍総参謀長で党作戦局長の呉克烈、そして党行政部長の張成沢の4人だが、唯一シビリアンの張成沢を除くと、3人は軍人及び軍人出身である。先が思いやられる。

 核問題でも、昨日、祖国平和統一委員会の名で「核保有国としての地位をさらに強化していく」と述べ、核開発続行を宣言していた。

 ソウルを訪れている米国のキャンベル次官補は、北朝鮮に対して6か国協議再開の条件として南北対話の継続とウラン濃縮作業の中止を求めていたが、今の流れからすると、北朝鮮の軍部がそう簡単に応じるようには思えない。

 北朝鮮の国営テレビ、ラジオは連日、金正恩氏による軍掌握の動きとして軍部隊視察を伝えているが、周りを軍ががっちり固めている場面をみると、正恩氏が軍を掌握しているのではなく、軍が正恩氏を掌握し、操っているような気がしてならない。

 金正日総書記亡き後、シビリアンコントロールが外れれば、北朝鮮はさらに軍人が闊歩する社会に豹変していくだろう。