2010年12月2日(木)

米韓合同軍事演習の次は?

 韓国軍は今月中に問題の延坪島で射撃訓練を実施する方針だ。「ジョージワシントン」という「番犬」を連れず、単独で北朝鮮を威嚇する構えだ。そのために「備えあって憂いなし」ではないが、K―9自走砲を倍に増やし、K−55自走砲を追加配備し、さらには地対空誘導兵器として知られる、多連装ロケット(MRLS)を配備する。また、万が一に備えて、F-15K、KF-16戦闘機の動員体制も整えている。北朝鮮がちょっとでもちょっかいをかければ、ここぞとばかり哨戒艦沈没事件、延坪島砲撃事件の恨みを晴らす考えのようだ。

 問題は北朝鮮の出方だ。北朝鮮が手を出すかどうかだ。韓国軍が北朝沿岸に向けての砲撃訓練ならば、わからないが、通常訓練同様に南方に向けての発射訓練ならば、事なき得るだろう。しかし、北に向けての発砲があれば、応酬するかもしれない。そうなれば、ミサイルも飛び交う局地戦に発展するだろう。

 また、韓国が非武装地帯に設置していある拡声器による非難放送を再開すれば、「照準射撃して木っ端微塵にする」と再三にわたって警告しているだけに今度は陸地で銃撃戦があるかもしれない。

 韓国軍はすでに心理戦の一環として宣伝ビラのバラまきを再開している。後は、拡声器の放送のみだ。怒り心頭の李大統領がゴーサインを出すかだが、陸上での衝突を覚悟しなければならないだけに決断には相当の度胸がいる。

 北朝鮮の「延坪島攻撃事件」の目的は米国を平和協定交渉の場に引っ張りだすことにあるので、このまま米国が動かないとなると、核実験やミサイル実験に踏み切るかもしれない。3度目の核実験となれば、国連の制裁は今の経済制裁では済まされなくなる。軍事制裁を認める国連憲章第7章42条の適応も考えられなくもない。

 第42条には「国際の平和及び安全維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動を取ることができる。この行動は、国連加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことだできる」と明記されている。

 昨年の制裁決議で中国とロシアの反対にあってオミットされた臨検即ち、海上封鎖が現実味を帯びることになるだろう。

 海上封鎖は戦争行為と同じことになる。だから、中国とロシアは「公海上での強制的な貨物検査は北朝鮮との軍事衝突につながりかねない」と反対したわけだ。しかし、3度目、それも国連制裁〈第41条)を無視しての強行となれば中国もロシアもこれ以上抵抗はできないだろう。そうなればこれまた一触即発の状態となる。どれもこれも困ったものだ。

 韓国も、李明博政権も金正日政権との対話や外交手段による問題解決をほぼ断念し、レジームチェンジ〈体制転覆〉を願っているようだが、現在話題となっている「ウィキリークス」が公表した機密公電によると、韓国の玄仁沢統一院長官は健康不安を抱える金総書記ついてキャンベル米国務次官補に「金正日の生存は15年まで」と語ったそうだ。また、千英宇大統領外交安保首席秘書官は外交通商省2次官だった今年2月、スティーブン駐韓大使に対して「北朝鮮は金正日死後2〜3年で体制が崩壊する」と語ったそうだ。