2010年12月9日(木)

西部戦線異状なし!

 NLLに近い大青島での射撃訓練が予定されていたが、結局、一昨日も、昨日も韓国の演習はなかった。

 初日の6日は「強風など悪天候のため」が理由だったが、昨日は中止の理由が定かではない。韓国のマスコミでは「北朝鮮への刺激を避ける配慮があった」とか「必要以上に北朝鮮を刺激するのを避けた」との見方がされているが、それが事実ならば、これもまた予想したとおりだ。

 韓国側の危険地域での演習中止は米軍に止められたか、あるいは最初からそのつもりがなかったかの、どちらかだろう。

 北朝鮮も同様だ。

 韓国単独の演習について「断固対処する」と強気の声明を出すかと思いきや「われわれは現在、高度の冷静と自制を維持している」(朝鮮中央通信)としおらしいことを言っていた。換言すれば、最初から「手を出さない」と言明したことに等しい。報復に燃えている相手に仕掛ければ、返り血を浴びるだけだ。やはり、怖いのだろう。

 韓国も当初の発表では、大青島での韓国艦艇の演習は北朝鮮寄りの北東海域ではなく、反対の南西海域で、それも北朝鮮の沿岸に向けてではなく、南西側に向かって発砲することになっていた。演習を強行しても何の問題もないはずだ。ところが、実際にはできなかった。やはり、韓国も怖いのだろう。

 「北朝鮮が挑発すれば、屈服するまで徹底的に叩く」と豪語していた韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)新任国防相は昨日、国会議員との会合で北朝鮮に近い海域での射撃訓練について「気象条件や諸状況を考慮して実施時期を検討する」と述べていた。大青島での演習を見送る考えのようだ。

 就任の挨拶で「戦闘機を動員して、爆撃しても、北朝鮮は全面戦はできない」「北朝鮮が追加挑発すれば、自衛権の次元から航空機を利用し、爆撃する」と勇ましいことを口にしていたのに一歩も二歩も後退してしまった。

 金国防相は今回の訓練とは別に、北朝鮮の砲撃を受けた延坪島での射撃訓練も近く実施する考えを示していた、また拡声器による非難宣伝の再開も検討すると言っていた。それを公言した以上、実施しなければ、北朝鮮に「脅しに屈した」と受け止められかねない。

 北朝鮮もまた延坪島での射撃訓練の再開や拡声器による宣伝放送再開には「物理的打撃を加える」と宣言していた。韓国が実施すれば、いやがうえにも行動せざるを得ないだろう。

 金国防相はそれに対して「空爆する」と威嚇していた。「空爆すれば、ソウルを攻撃する」と北朝鮮も負けじと韓国を脅している。南北双方とも、なんとなく犬の遠吠えに聞こえる。吠えることで鬱憤晴らしになればそれもよし。

 黄海(西海)上では今のところは、売り言葉に買い言葉で済んでいる。しかし、相手が挑発してきたら、公言した以上、行動に移さなければならない。特に韓国は局地戦、全面戦を覚悟の上で空爆しなければならない。これはまさに度胸試しだ。