2012年1月4日(水)

 金正恩体制下でも前途多難な拉致問題の行方

 金正恩新体制下で変化を期待している人の中にはおそらく日本人拉致被害者の家族もいるはずだ。ところが、昨日の朝鮮中央通信の報道は、年初から冷水を浴びせるような内容に等しかった。

 日本政府が金正日総書記の死去にあたり弔意を表さなかったことや、北朝鮮の国会議員であることを理由に朝鮮総連責任議長らの弔問(日本への再入国)を認めなかった腹いせかどうか知らないが「人間の初歩的な倫理や道徳、礼儀も持ち合わせない者が権力の座にしがみつき、日本の国事を扱っているのは、日本自体にとっても悲劇だ」と野田総理を罵り、拉致問題については「もはや存在もしないし、においもしない」と言う始末だった。

 最後は、日本政府が取った行為を「傷口に塩を塗るような振る舞いだ」「敵対的立場をさらけだした」と批判し、これにより「朝日関係の展望はますます暗いものになった」と、進展を期待していた日本政府の出鼻を挫く格好となった。

 金総書記の死去後日本政府は「北朝鮮の出方を注視する」と身構えていたが、それににしても内容はあまりにもきつすぎる。今年も拉致被害者の家族にとっては前途多難な船出となった。