2004年10月23日(日)

安部幹事長代理の発言

 拉致議員連盟の会長代行に就任した安倍晋三自民党幹事長代理は10月22日、都内での講演で「中国が靖国参拝を阻止するため(日本の)経済界にプレッシャ−をかけることは、両国間の不信を相当深刻なものにしていく危険性がある。政治的な問題発生の可能性があれば、抑止力になるのが経済の関係だ」と言っていた。その通りだ。

 政治的な対立が深刻な時ほど、両国間の人的、経済交流を活発にし、相互理解を深めることが重要だ。それが、政治対立を和らげる賢明な方策というもの。政治的要求が通らないからと言って、日本商品ボイコット運動や不買運動などはすべきではない。ところがその一方で、安倍氏は拉致問題で政治的に対立する北朝鮮に対しては経済制裁の発動を求めている。

 日本にとって北朝鮮は外交的ウェイトや経済的比重の面で、中韓の比ではないので、立場が相反したとしても不思議ではない。しかし、政治的要求を押し通す手段として経済的プレッシャ−をかけるという点においては「中国式発想」と何ら変わりはない。

 「圧力」の一つとして「経済制裁」を叫ぶことも必要かもしれないが、それよりも「対話」が重要だ。米国は核問題で北朝鮮と鋭く対立しながらも、与野党の有力議員が相次いで平壌を訪問し、北朝鮮側と談判している。先日もニュ−メキシコ州知事らが訪朝し、金総書記の外交ブレ−ンである姜錫柱第一次官らと会談し、6か国協議への無条件復帰と、エルバラダイIAEA事務局長の訪朝を受け入れさせた。

 日本には衆参合わせて600人以上の議員がいながら、また拉致議員連盟に多くの議員が所属しながら、誰一人、拉致問題解決のため平壌に乗り込んで、談判しようとする「勇気ある」政治家が見当たらない。米国のやり方をもう少し見習ったらどうか。