2005年9月14日(水)

衆議院立候補者へのアンケート調査

 「拉致被害者家族の会」と「救う会」が選挙前に衆議院立候補者を対象に北朝鮮に対する経済制裁の早期発動の賛否に関するアンケ−トを実施したところ、衆議院当選者(480人)の回答者(362人)のうち約67%にあたる242人が賛成していた。「反対」はたったの5人しかいない。

 早期経済制裁を求める側から、それも選挙期間中にアンケ−トを求められれば、このような結果が出るのは当然かもしれない。むしろ驚いたのは、「6か国協議の行方次第」「早期実施には慎重であるべき」「効果がない」などその他が115人、そしてアンケ−トそのものを無視した議員が118人もいたことだ。こうしてみると、衆議院議員の半数近くは経済制裁にはあまり乗り気ではないのかもしれない。ほとんどの立候補者が選挙で拉致問題を採り上げなかったこと、そもそも焦点にしなかったこと事態が、彼らの無関心ぶりを示している。

 拉致問題を政治的に利用することはあっても、自らの政治生命を賭けて、解決しようとする政治家が少ないのは残念極まりない。冷めた見方をすれば、火中の栗を拾いたがらない習性によるものか、それとも「この問題は埒があかない」とさじを投げているのか、どちらかだろう。 

 例えば、交渉のチャンネルが完全に閉ざされている状況にあっても衆参合わせて600人以上の国会議員がいながら北朝鮮に乗り込んで、拉致問題の解決を促す政治家が誰一人いないことだ。

 「拉致問題は国民の最大の関心事、外交の最大の課題である」と口では言いながら、ゴ−ルデンウィ−クや夏のバカンスになると、米国や欧州にしか行かないのが国会議員の外遊実情。

 米国は核問題の解決のため軍事委員会副委員長ら米上下院の有力議員らが機会ある度に訪朝し、北朝鮮側と直談判している。先月も、ジム・リッチ下院国際関係小委員会委員長(共和党)が民主党のラントス議員と一緒に訪朝し、@核放棄の戦略決断をせよA米議会はブッシュ政権の対北朝政策を支持しているB軽水炉は容認できないC人権状況が改善されない限り国交正常化は望めないD偽札、麻薬問題の解決も国交正常化の前提であると米議会の立場をはっきり伝えていた。

 日本の国会には外務委員会だけでなく、拉致特別委員会もある。しかし、委員会委員長が訪朝し、北朝鮮に拉致問題の解決を、核の放棄を、人権の改善を促したという話は一度も聞いたことがない。拉致問題の早期解決に繋がるならば二元であれ、三元であれ、いかなる外交努力をも怠るべきではない。