2011年10月24日(月)

「めぐみさん生存情報」を日本政府が検証を!

 拉致被害者の横田めぐみさんが「2004年末から05年初めにかけ生存していたと聞いた」と2週間前に報じられた脱北者の証言が一過性に終わるのではと危惧していたが、日本政府は近く、拉致問題対策本部の職員を韓国に派遣し、脱北者に面接を求め、事実関係を質すとのことだ。

 「日本政府は韓国政府の協力のもと、早急にこの男性に直接会って、より詳細な情報を聞きだす必要性がある」と主張してきたが、4年前に韓国に入国していたのになぜ、なぜ今日まで黙していたのか、こうした素朴な疑問を含め脱北者に事細かく聞いてもらいたいものだ。そして、事情聴取の結果をめぐみさんの両親に、また国民にも明らかにしてほしい。国民の多くがこの情報に期待を寄せているからだ。

 何しろ、これまでめぐみさんの安否に関しては情報だけが独り歩きし、その信憑性がほとんど検証されないままきているからだ。

 例えば、週刊誌の見出しだけをざっと拾ってみても以下の通りだ。

 ・「『横田めぐみさんは日本人の夫と離婚していた』という核心情報を追う」(週刊新潮 2002年12月5日号)

 ・「横田めぐみさんは金正日一族の日本語教師をして生きている」(フライデー 2003年2月7日号)

 ・「関西大学の李英和助教授が明かす『横田めぐみさん97年生存情報』(サンデー毎日 2004年6月13日号)

 ・「横田めぐみさん『大学教官で生存』の根拠」(週刊朝日芸能 2004年12月23日号)

 ・「日本政府に通告された 米軍『横田めぐみさん 平壌救出作戦』」(週刊ポスト 2005年3月25日号)

 ・「警察庁幹部が明言 『横田めぐみさんは7月に帰ってくる!』」(フラッシュ2006年5月2日号)

 ・「タス通信前平壌支局長が緊急寄稿『横田めぐみさんは再婚して生きている」』」(週刊現代 2006年5月20日号)

 ・「ロシア外交当局幹部が証言『横田めぐみは確実に生きている』」(週刊現代 2008年1月19日号)

 この他に2006年には脱北した薬剤師・金英淑さん(仮名)が1992−96年までの間「ヤンド」という孤島にある「49号予防院で目撃した」との証言等もあった。

 金正日総書記の子供の家庭教師説から金正日政治軍事大学の教官説、さらにはロシアのイタル・タス通信記者の人民保安相(日本の警察にあたる)高官の夫人説があるかと思えば、離島での療養説、はたまた離隔された一軒家での軟禁説など2008年頃までは、まるで競うかのように「生存説」が流れていたが、それらの真偽はさておき、それ以後は「生存説情報」はなぜか途絶えてしまった。

 脱北者の最新情報を提供した韓国自由先進党の朴宣映(パク・ソンヨン)議員は19日に国会で行われた外交・統一・安保委員会で「北朝鮮は現在、平安北道東倉郡栗谷里(ウルゴクリ)の地下に新しいウラン濃縮施設を建設し、稼働中で、ここで作った小型核弾頭が射程距離500キロのミサイルに装着してロシア製の軍用車両に搭載され、すでに江原道地域への配備を終わらせた」と東倉郡の核施設建設当時に警備を担当していたとされる脱北者(イ・ギスン中佐)の証言を明らかにしたが、この「ウラン濃縮証言」には米国が注目しているようだ。

 この際、核では米国が、拉致では日本政府が直接乗り出し、脱北者の証言をそれぞれ検証し、白黒を付けたらどうだろうか。