2008年12月8日(月)

斎木外務省アジア局長も頭が痛い

 今日から6か国協議が始まる。少し忙しくなりそうだ。

 日朝は間が悪いというか、全く噛み合わない。これも相互不信が原因だ。

 せっかく8月12日に再調査開始と制裁の一部解除で合意したのに、2日後の8月14日に金総書記が倒れ、それでも9月には指示ができるぐらい回復したかと思えば、今後は福田総理が9月1日に突如辞任するというハプニングが起こる有様。結局、再調査委員会の立ち上げを通告するはずの9月4日は、「日本の政局がどうなるのかすこし様子をみたい」と、延期を通告する日になってしまった。

 麻生政権が誕生し、早速新任の中曽根外相が9月26日、福田政権が約束した「8月12日合意」を守るので再調査を開始するよう呼びかけても、北朝鮮は米国のテロ支援国指定解除の方が先とばかり米朝関係を優先させ、その結果、日本への回答を先送りしてしまった。

 制裁延長の期限日の10月13日まで北朝鮮が再調査に応じる可能性がないとみた麻生政権は10月10日の閣議で来年4月までの制裁延長を決定。ところが、その翌日に米国が日本の反対を押し切り、テロ支援国指定を解除。日本も米国に続いて、制裁の一部解除を先に実行すると勘違いした北朝鮮は、制裁延長の決定に「麻生政権は約束を白紙化した」と怒り、日本とはもう話し合わないとそっぼを向いてしまった。

 「8月12日合意」では「行動には行動」という点で原則合意したものの、日朝とも「相手が先に行動すれば」との条件付だったのかもしれない。米朝は平壌とニューヨークでの非公式協議でテロ支援国指定解除と無能力化作業の再開を「同時行動」したが、日朝はそれができないところに問題がある。

 結局、北朝鮮が誠意を示さないことで制裁の追加を拉致被害者家族会から求められていた麻生政権はこのまま手をこまねいているわけにはいかず、北朝鮮への圧力をさらに強めるため朝鮮総連の商工団体のガサ入れと関係者の逮捕という締め付けに出ざるを得なかった。

 ところが今度はこれに北朝鮮が態度を硬化させ、北朝鮮外務省は「日本は6か国協議に参加する資格はない」「日本を相手にせず、日本とは話さない」と強硬な声明を連発した。

 そうした最中に日本首席代表の斎木昭隆外務省アジア大洋州局長が昨日、「日朝(協議)をやらないか」と申し入れたそうだが、「李明博政権を相手にしない」としていた北朝鮮が韓国の首席代表との南北協議を受け入れたことで、「もしや」と思って、打診したのだろう。案の定、金桂寛次官は外務省声明とおり、「日本と協議するつもりはない」と2国間協議を拒否した。

 拉致被害者の家族らからは「拉致問題の進展がなければ、協議から離脱する覚悟で臨んでほしい」との意見も出たそうだが、北朝鮮からは「6か国協議から出て行け」と言われ、家族会からも「離脱したらどうか」と言われる始末。「6か国協議の場に座っている必要はない」という一点においては家族会も北朝鮮も同じ立場というのもおかしなものだ。出たくはない斎木さんもこれには頭が痛いのかも。