「拉致問題解決は、拉致被害者と認定された者を対象」
衆議院拉致問題特別委員会(2007年6月19日)


 衆議院拉致問題特別委員会は2007年6月19日、外務省の岩屋毅外務副大臣と佐々江賢一郎アジア太平洋州局長、法務省の齊藤雄彦大臣官房審議官、警察庁の米村敏朗警備局長、公安調査庁の北田幹直次長らを政府参考人として招致し、拉致問題について質疑を行なった。

「忍耐にも限界がある」


△薗浦健太郎議員(自民党)


 ――拉致問題だが、わからない国家を相手にするのも大変だ。独裁国家なので最後の決断というのは金正日がやるわけだ。昨今、この金正日さんの健康状態それからさまざまな体の問題について報道がなされているが、金正日の健康問題等々、外務省の方でどの程度まで把握をされているのか。いわゆる交渉に出てこられるような状態なのかということをどの程度把握しているのか?

 岩屋副大臣:金正日国防委員長の健康状態等、北朝鮮情勢については強い関心を持っており、関連する各情報の収集、分析を行っている。今お尋ねの金正日氏の健康状態については、さまざまな報道があることは承知をしている。一定の独自の情報も持っているけど、その詳細について具体的に述べることは、事柄の性質上、差し控えたい。

――バンコ・デルタ・アジアのいわゆる送金問題というのは、今、片づいた、送金が終わったというふうな情報を得ているのか伺いたい。

 岩屋副大臣:本当はBDA問題というのは六者協議とは全く関係ない、だけれども北朝鮮がそれを盾にとって六者協議での合意の履行をおくらせてきたということで、甚だ私どもとしては遺憾に思っている。そのBDAの送金問題だが、ロシアまで行ったというのは私どもとしても確認をしている。その先どうなったかということについては実はどの国も明確にはまだ発表していない。ただ、送金問題の解決が最終段階に来ているというふうには認識をしている。

――とするならば、外務省としては、早急にというか近日中にこの問題が片づいて、いわゆる初期段階の措置に移行できるという見込みを持っているのか?

 岩屋副大臣:我が国としては、今回の動きがIAEAの監視、検証の早期開始、ひいては寧辺の核施設の活動停止、封印を含む、初期段階の措置の完全な実施につながることを強く期待している。ただ、この初期段階の措置はあくまでも第一歩にすぎないわけで、最終的な目標は、北朝鮮による核保有をすべて、すべての核計画の完全な申告の提出及びすべての既存の核施設の無能力化といった措置まで至らなければいけない。

 ――確かに、初期段階の措置というのはあくまで第一歩、一歩目である。その先が重要だ。5カ国間の話、いわゆる北朝鮮に一致して圧力をかけるという部分での5カ国間の調整というものについて、今どういう状況にあるのか。5カ国の足並みは本当にきちっとそろっているのか?

 岩屋副大臣:北朝鮮がさらに新たな口実を持ち出すことがないように、関係各国と連携してしっかりと圧力をかけていかなくてはと思っている。我が方の立場は、アメリカもそうだが、忍耐にも限度があるという認識で両首脳は一致している。このBDAの問題が解決すれば直ちに初期段階の措置の履行を北朝鮮に求めていかなければいけないと思っている。関係各国が今どういう話をしているかということは、きょうは佐々江局長も来ておりますので、また事務方からちょっと報告をさせていただく。

 佐々江局長:副大臣の方から申されましたとおり、これはあくまでも第一歩にすぎない、そして、その第一歩も着実に実施されるのかどうかというところが当面の焦点でありまして、それを実施していくために、6者、特に他の6者が共通の立場に立って北朝鮮に強く働きかけていく必要がある、この点については、5者、6者で一致があるというふうに思っております。

 ――万が一、またBDAの次の話、また何かほかの問題を持ち出してきて、ずるずるとまた引き延ばすようなことがあれば、忍耐にも限度があるという副大臣の言葉があったけど、さらなる制裁も含めた断固たる措置というのも考えなきゃならないと思うが、それについての副大臣の見解を聞きたい。

岩屋副大臣:次なる制裁がどうあるべきかということについては、政府内部ではもちろん検討しているけども、この段階で何をどうすると申し上げるということは、ある意味では手のうちをさらすということにもなるので、中身については控えさせていただきたい。

 ――次に、警察庁にちょっと伺いたい。森それから若林両容疑者の逮捕状をとったと思うが、辛光洙なんかを引き渡せと言うよりは、もともとの日本人であるこの二名を引き渡しをさせて、拉致についての具体的な話を聞く方がより私自身は現実味があると思うんです。今、手配の現状、いわゆる青切符だと思うが、手続はどうなっているのか。

 米村警備局長:よど号の妻、森順子及び若林佐喜子については、昭和五十五年当時、ヨーロッパ旅行中の石岡亨さん、松木薫さんを被害者とする拉致容疑事案、罪名的には結婚目的誘拐容疑ということで、六月十三日に逮捕状を取得した。直ちにこの両名については、現在ICPOに対しまして国際手配の追加手配、彼女らは既に旅券法違反で手配をしているが、この手続を行っている。多分手配はできるだろう、こう思っている。他方、外務省を通じて、北朝鮮当局に対しその引き渡しを要求しているというところである。

                
△谷口隆義議員(公明党)


 ――我が国にいる定住脱北者が、大体百三十人以上になる。それで、脱北者はいろいろな方がいる。例えば日本人妻の方だとか、また北朝鮮で生まれたお子さん、お孫さん、こういう方がいるわけだが、日本人妻は、帰国後、国籍の再取得は一般的に行われている。ところが、お子さんまたお孫さんは、大半の方が無国籍になっているというような状況がある。法務省入管当局は、過去の通達をもとにして、本来は朝鮮籍だと主張しているようだが、この通達そのものが四十年前に行われた通達で、現在のような脱北者を想定したような通達ではないと思われる。また、北朝鮮の人権法でも、拉致被害者のみならず脱北者への支援も盛り込まれている。このような状況について、無国籍のままに置いておくということがどういうことなのか、法務省の答弁を聞きたい。

 齊藤官房審議官:外国人登録の申請を行う場合には、外国人登録法三条一項の規定に基づき、旅券を所持する場合には旅券を提出させるなどして国籍を確認し、これを国籍として登録することを原則としている。また、仮に国籍を証する文書の提出、提示がない場合でも、国籍が確認できた場合には無国籍と表示しない取り扱いとしているが、国籍を確認できない場合は無国籍として登録する場合もある。なお、朝鮮半島出身者であることが確認できた場合には、無国籍とは表示せず、朝鮮と記載する取り扱いとしている。

――次に、北朝鮮が国連開発計画(UNDP)から支援を受けていた三百万ドル、日本円で約三億六千五百万で海外の不動産を購入し、在外公館や公邸の維持費に使用していたことが明らかになったと、ワシントン・ポストが報じていた。この内容を見ると、北朝鮮は、UNDPが北朝鮮の住民生活向上のために支援した資金を、フランス、イギリス、カナダで建物の購入費用や、ヨーロッパやニューヨークの公館及び公邸の維持費に使用していたと言われておる、また、北朝鮮の弾道ミサイルや兵器部品の購入を仲介したと二〇〇五年に米国が指摘した北朝鮮の機関に対して、UNDPが物品及び装備の購入のために二百七十万ドルを支払っていたということも明らかになっている、こういうような報道がある。なお、UNDPは、二〇〇一年から二〇〇五年までの間に北朝鮮側に七百万ドル、日本円で八億五千万円を上回る資金を送金しておった、この状況を踏まえて、我が国が国連の中でどのような対応をしようとしているのか。

 岩屋副大臣:今の先生御指摘の問題については、六月の十一日にUNDP側がこういうことを発表しております。二〇〇一年及び二〇〇五年にUNDPから北朝鮮の調整委員会に七百万ドルが支払われ、二百八十万ドルが欧州及びニューヨークでの不動産購入に使用されたとの指摘を米国から受けたけれども、同機関にUNDPが、北朝鮮のNCCというのは調整委員会ですね、調整委員会に支払ったのは合計約十七万五千ドルであって、その大部分は農業関係のワークショップに使用されたとして、米側の指摘はUNDP側の記録と一致しないと説明する発表を行っている。しかし、我が国としては、UNDPによる内部調査、それから国連本部の監査委員会の北朝鮮での現地調査を通じて真相が徹底的に明らかにされる必要があるというふうに考えている。

――例の朝銀信用組合に一兆四千億国が公的資金を投入いたしまして、その一部、六百二十七億円が朝鮮総連の本部に流れたということで、この破綻債権を買い取った整理回収機構が総連に対して返還を求めた訴えが、昨日判決が出て、全面的に総連に支払いを命じられたわけで、また仮執行の宣言も付された、こういう状況である。この事件が、元公安調査庁長官の緒方氏が代表取締役の会社が出てきたり、朝鮮総連の代理人として日弁連の会長をやられていた土屋公献氏が出てきたり、非常に不可解な事件になっているようだ。この一連の取引に対して、今どういうことを我が国として、政府として対応しようと考えているのか、聞きたい。

 北田次長:今回、元公安調査庁長官が朝鮮総連中央本部の土地建物の売買に関与したという件については、当庁に対します信用、信頼を損ないかねない事態と重く受けとめている。これによりまして疑念が生じたとすれば、遺憾なことと考えている。

「金正日体制が崩壊しない限り、被害者全員の帰還はない」


 
△松原仁議員(民主党)


 ――原点を確認する必要があろうかと思うが、拉致問題の解決というのは何が解決なのか、お答えいただきたい。

 岩屋副大臣:これはたびたび申しているように、拉致の被害者の帰還等のことが完全に終了するということをもって拉致の解決というふうに考えている。

 ――拉致被害者の完全なる帰国というのはどこの段階をもって認識をなさるか、伺いたい。

 岩屋副大臣:これまで被害者として認定をされている方々、また新たに追加されてきておりますが、そういう方々全員の帰国が完了するということをもって解決ということだ。

 ――先回、曽我さんが出てきたときは、日本の方は想定していなかったわけでありまして、つまり、今日本の国内において把握をしている以外の、いわゆる特定失踪者のことについてはどうお考えか、伺いたい。

 佐々江局長:特定失踪者の件につきましても、拉致されたということが我が国当局によってはっきりすればそれも対象になるというふうに考えている。

 ――それで100%の拉致被害者が全員判明するとお考えかどうか、伺いたい。

 佐々江局長:もちろん、どれくらいの方が実際上、最終的に拉致されたかどうかという点については、これはもう、わからない領域というのは常にあると思う。ですから、この特定失踪者という形で、可能性がある人々ということで我々も北朝鮮に問題提起をしているし、この問題については引き続き問題提起をするということだろうと思うが、拉致問題の解決ということを今おっしゃっておるので、この拉致ということについては、拉致被害者と認定された者を対象としているということを申し述べたわけだ。

 ――今の局長の答弁ではいけないと私は思っている。冒頭、岩屋副大臣がおっしゃったように、これは拉致被害者全員の帰還でありまして、認定している人間だけ戻れば解決というのでは話にならないということをまず申し上げておきたい。そもそも、この案件は、国家テロによる誘拐でありますから、二つの観点から考えなければいけない。第一は、その被害者全員の帰還であります。率直に申し上げるならば、被害者全員の帰還というのは金正日体制が崩壊しない限りわからない、これが真の正解だと思います。佐々江さんのお立場では言えないのかもしれません。二つ目の問題は、この拉致を引き起こした当事者の逮捕である。犯罪においては、その当事者が捕まらなければいけないわけであります。したがって、その犯罪の当事者はだれか、金正日その人が当事者である可能性があるとするならば、この人間も捕まらなければいけない。これが本来の拉致問題の解決であるということを、きょう改めてこの場で申し上げたいわけでありますが、岩屋副大臣、所見を伺いしたい。

 岩屋副大臣:先ほど被害者の帰還等ということを申し上げたが、もちろんその中には、先生がおっしゃったように、真相の解明、それから実行犯といいますかの引き渡しということも全部含まれて解決というふうに考えているということだ。

 ――真相の解明というのは、何分、うそを平気でつく、横田めぐみさんの骨で違うものを出してきて何とも思わない国家でありますから、そういった意味では、これはそこまでいかないといけないんだというのを腹の底にきちっとおさめてもらわないと議論は進まないと思っている。テロ支援国家指定という問題が外れる可能性があるということを我々は大変危惧している、米国のテロ支援国家指定自体が外れる可能性があってはいけないけれども、もし外れたって金は行かないよというふうにすることによって、北朝鮮に対して精神的制裁をさらに加えていくということは必要だろうと思っている。岩屋副大臣、いかがですか。

 岩屋副大臣:テロ支援国家指定の問題については、数次にわたって日米の首脳間でも話し合いが持たれておりますし、したがいまして、私どもとしては米国を信頼しておりますし、ブッシュ大統領も、十分に日本の立場を考えてこの問題については対処するということを何度もおっしゃっている。

――よど号妻の子供十九人が日本に自由に往来している。この間の質問で、笠議員も質問しましたが、どうも子供十九人が自由に北朝鮮と日本の間を往来しているということであります。警察の方で把握しているのか。

 米村警備局長:一定程度把握しております。

 ――アメリカは北朝鮮をテロ支援国家とした、我々もテロ支援国家に認定しようと、北朝鮮人権法は今日、議員立法がなされるが、テロ支援国家であるならばというよりも、中国の国境を越えて自由に行く、そういうことが許されていいのか。中国の国境を越えて自由に北朝鮮に行く日本人に関して、これは警察になるのか公安調査庁か、どこになるのかわからないけれども、これについて把握するすべというのはあるのか、伺いたい。

 米村警備局長:よど号の子供たちが中国に渡って、そこから行く分について把握をしているかどうか……(松原委員「他の日本人もあり得るんじゃないかと思うんですね」と呼ぶ)確かにあり得るだろうと思いますが、必ずしも十分に把握し切れるとは私は思いません。

 ――つまり、北朝鮮に日本から中国経由で行く人間についてチェックできないということなんですね。そして、この十九人の子供たちは自由に往来し、北朝鮮によって洗脳された状況の中で、いろいろなメッセンジャーをしている可能性があるというふうに我々は見ている。これについて、救う会や家族会は、よど号事犯のメッセンジャーという呪縛から解放されるまで北朝鮮に行けなくしてあげる方が子供たちにとって望ましい、子供たちに対して旅券返還命令を出すべきだ、こう言っているわけでありますが、もともと日本の旅券には北朝鮮を除くと書いてあった。今それが書いてない。これは何で書かれなくなったのか、本来これを書かなければいけないのではないかという質問と、そして、こういったものに対して警察としてどのような対応をするのか。

 岩屋副大臣:何で北朝鮮が外れたのかということだが、これは、たしか金丸訪朝のとき以降北朝鮮にも行けるようにしたということ。現在は、御承知のように、制裁等で渡航制限をある程度している。先生がおっしゃる懸念は私どもよくわかるが、旅券法の規定に基づいて適切に対処しなければいけないと思っている。旅券法の十三条第一項、「著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある」というふうに関係機関から情報がある場合には、旅券法において外務省としても適切に対処したい、こう思っている。

△笠井亮議員(共産党)


 ――佐々江局長に改めて伺う。IAEAの代表団招請の動きをどう評価されているか、また、それを六者会合再開、日朝作業部会開催、拉致問題の進展に向けてどうつなげなければいけないというふうにお考えか。

 佐々江局長:我々としては、これはあくまでも初期段階の措置に至るその前の最初であるということで、そもそも、これを通じて実際上の監視、検証、あるいは寧辺の核施設の活動停止、封印にまず至らなければ物事が始まらない。まずはそれらをちゃんと実施できるのかどうか、あるいは実施させるようにやはりしていくことが一義的に重要であって、何かこのことによってすべて問題がうまくいって決着がつくというふうには考えていない。それから二番目に、この件によって日朝関係あるいは拉致問題についてどういうふうになるのかということだが、今回の動きは直接的には非核化に向けた動きということでありまして、その意味では、これが直接日朝関係あるいは拉致問題に影響を及ぼすというふうには考えていない。しかしながら、六者会合の全体の目標の中には、非核化の問題と並んで、拉致問題のような懸案を含めて解決して日朝関係が正常化するということも目標としてうたっているわけで、核問題の進展があれば、その結果として、米朝関係さらには日朝関係に間接的な影響を及ぼすことも事実である。その機会をとらえて、我々としては、まさにこの拉致問題を正面から解決しなければならないと、そういう時期が、さらにその切迫性が増大しているというふうに北朝鮮に訴え得る、そういうきっかけが出てくるのではないかと思っている。

 ――岩屋副大臣に伺う。二月の六者会合の合意における経済、エネルギー及び人道支援の問題について、この間政府は、拉致問題に進展がなければ支援は行わないという立場を表明されてきた。そういう中で、麻生大臣は、去る六月四日の参議院の特別委員会の中で、六者協議が速やかに動いていくためにはという文脈の中で、我々は拉致問題に進展が見られれば協力する用意はあるという答弁をされている。ここには、これまでの進展が得られるまで不参加とか進展がなければ支援しないという表明と比べて、何か事態の推移に対応した何らかの新たなメッセージが込められているのか、あるいは現時点でこの意味するところはどういうことにあるのかということについて、お答えいただきたい。

 岩屋副大臣:それは、大臣がおっしゃったのは全く同じ意味だと思います。私どもは、拉致問題の進展が見られない限りはエネルギー支援等は行わないということを言っておりますし、その姿勢は変わっておりません。だから、大臣がおっしゃったのは同じ意味だと思います。ただし、拉致問題に明らかな進展が見られた場合は、参加する用意があるということを言っているわけだ。

 ――最後に、佐々江局長に一言伺いたい。去る二月二十一日の当委員会で、私が、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、過去の清算を含む二国間の懸案の解決と国交正常化への努力と、六者会合における朝鮮半島非核化のための課題を結びつけていくことの重要性について質問したのに対して、塩崎官房長官は、日本の問題と全体の問題との有機的結合の中で全体を解決していくと述べていた。六月四日の参議院の特別委員会でも、両者の「両輪というか好循環が生まれていくことが大事なんではないか」というふうに答弁をされていた。現段階で、この有機的結合あるいは好循環を生み出すために、日本政府の首席代表としてどう対応していこうとされているのか。

 佐々江局長:日本の問題と全体の問題との有機的な結合の中で全体を解決していくということを官房長官は述べられたわけですが、これは、先ほども申し上げましたとおり、日朝関係は北東アジアの全体戦略の中でやはりとらえていく必要がある、すなわち、日朝関係と米朝関係、あるいは南北関係もありますし、さらには六者全体のこともありますけれども、それが全体として問題解決に向かう中で日朝も問題を解決していく、そういうお互いに前向きのベクトルで物事を処理していくということだと思う。ですから、そういう意味では、核の問題の解決と拉致問題等の日朝問題の解決を何かあたかも二律背反的な矛盾するような形でとらえるのは、私は正しくないというふうに思っている。非核化が進むことは我が国の安全保障にとって極めて重要なことであるし、その点について日本としても全力を尽くすべきだと思う。そのことによって安全保障状況が好転する中で、やはり日朝関係というのもそれを前提にして前に進めていくということが重要であると思う。その進めていくに際しては、避けて通れない拉致問題の解決を引き続き重視して北朝鮮と交渉していくということであろうと思う。