「被害者の帰国、真相究明、犯人引き渡しは絶対条件である」
衆議院拉致問題特別委員会(08年6月11日)


 答弁者は町村官房長官、小野寺五典外務副大臣、五十嵐邦警察庁長官審議官

「拉致問題の解決とは最終的に何か?」



△鍵田忠兵衛議員(自民党)


 ――最終的に政府が目指している拉致問題の解決とは具体的に一体何を指すのか?

 ○町村官房長官 問題の解決とは一体どういうことを指すのかという質問だが、すべての拉致被害者の安全の確保と帰国の実現、それと、なぜこういう犯罪が起きたのかということの真相の究明、そして拉致被疑者の引き渡し、犯人の引き渡しというものを、私どもはこの解決のためには絶対必要な要件である、こういう認識でいる。

 ――現在、我が国の失踪者の中にも、北朝鮮による拉致ではないかとする届け出やまた相談が数百件にも上ると聞き及んでおるわけでだが、現在の捜査の進捗状況についてお聞かせをいただきたい。これは警察庁の方でよろしくお願いいたします。

 ○五十嵐政府参考人 拉致容疑事案の捜査につきましては、警察では、被害者の所在が不明であり、事件発生の時点で目撃者等がおらず、証拠もほとんど残されていない困難な状況のもと、鋭意、関連情報の収集と証拠の積み上げに努めまして、長期間にわたる地道な捜査を行った上で、一連の捜査の結果を総合的に検討した結果、日本人拉致容疑事案十二件十七名及び朝鮮籍の兄弟が日本国内から拉致された事案一件二名、計十三件十九名を北朝鮮による拉致容疑事案と判断するに至ったものであります。また、これまでの捜査の結果、拉致の実行犯として八件十一名の逮捕状の発付を得て、ICPOを通じて国際手配を行っているところであります。警察は、これらの事案以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるという認識のもと、北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に向け、鋭意所要の捜査や調査を進めている。

「拉致問題が解決できない最大の原因は?」



△内山晃議員(民主党)


 ――町村官房長官に冒頭お尋ねをしたい。拉致認定被害者十二人とは別に新たな被害者情報が、昨年秋、米国に北朝鮮から伝えられたとの毎日新聞の五月二十七日の報道がある。この新たな被害者の存在について政府はどのように認識をされているのか。

 ○町村官房長官 御指摘の報道を見て私も大変驚きまして、調べましたが、そのような事実はないということでございます。そのことは、私も報道があった直後の記者会見で明瞭に申し上げましたし、またさらに、ちょうど時を同じくしてアジア大洋州局長がヒル国務次官補と北京で会っていたものですから、そのことを確認したところ、ヒル次官補の方からもそのような事実はないということを明確に述べております。いずれにしても、どういう意図で、しかも名前を挙げた人に直接何ら取材もしないで、この新聞社が報道したということは甚だ遺憾なことであるということで、適正な取材を行った上で報道を行うように強く申し入れも行ったところでございます。

 ――毎日新聞社に対しては訂正記事の要求はされたのですか?

 ○町村官房長官 正しい報道をするようにということを申し入れ、翌日、その新聞社は、朝刊で、政府が否定したという旨の報道を行いました。

 ――私は、こういう情報は、新たな被害者は生きている、たくさん生存をしているというふうな形で私は願っておりまして、やはり何らかのそういう情報があって漏れ伝わっているんではなかろうか、そういうふうに思っているんです。今、町村官房長官が、外務省を通じてそういうところも確認をしたという話でありますとすれば、それでは警察庁並びに公安調査庁の皆さんにお尋ねをしたいと思うんですけれども、特定失踪者問題調査会というのは、拉致の疑いを排除できない行方不明者として四百七十人を登録しておりまして、そのうち三十六人が特に拉致濃厚だとしているわけであります。新たな被害者というのは、私は当然北朝鮮に生存しているものだろうと確信をしておりまして、公安調査庁並びに警察庁はこの新たな被害者が存在する情報を把握しているかどうか、確認したいと思います。それぞれでお答えをいただきたい。

 ○五十嵐政府参考人 毎日新聞の記事でございますけれども、その報道された内容につきまして、警察としても事実は把握はいたしておりません。警察におきましては、北朝鮮による拉致容疑事案に関しさまざまな情報収集活動を行っているところでございますが、具体的な内容につきましては、今後の捜査に支障を来すおそれがありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、警察としては、引き続き、拉致被害者全員が生存しているという前提のもと、北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に向け全力を尽くしていく所存であります。

 ――私が聞きたいのは、拉致問題を解決できない最大の原因は何だろうということをお尋ねしたいわけでありますけれども、答弁をお願いします。

 ○町村官房長官 一言で言えば、それは北朝鮮側に問題があるからであります。彼らがこの問題を解決しようという考えといいましょうか、意欲といいましょうか、それが基本的に欠けている状況の中で、それでも、もちろん諸般の準備をした上で、小泉総理が訪朝し、数名の方を帰国させた、御家族も帰国させた、こういう成果を上げたことは事実でございます。ただ、それ以外の方々につきましてのさまざまな交渉、水面上の交渉あるいは水面下の交渉をやっておりますけれども、基本的には、彼らが拉致被害者を返すことによって、国家としてそうしたいと思うものが今までのところはなかったということなんだろうと思います。ただ、その点について言えば、彼らが客観的に、冷静に自分の国の置かれた状況を考えれば、拉致被害者を返すということが実は大変大きな彼らの国益にも合致する部分があるんだということを、冷静に考えれば理解をされるはずだと僕は思っております。思いますが、その辺の国家としての判断の尺度が、日本と、あるいはその他の国々と全く違う尺度で彼らが国家というものを成り立たせ、政権というものを運営しているということがあるがゆえに、通常の外交交渉であれば解決できる問題がなかなか前進をしないという状況に立ち至り、多くの国民の皆様方が大変歯がゆく、もどかしく、特に被害を受けた方々、拉致された方々、御家族の皆さん方の思いというものは本当に察するに余りあるものがあります。我々もそういう思いを共有しながら、さまざまなルートで北朝鮮を説得し、まさに対話と圧力という中で問題解決をしたいと全力で努力をしているところでございます。

 ――今官房長官は、北が悪いという話を冒頭されましたけれども、それでは、北に、日本人を、拉致した人たちをとどめておくメリットというのは何があるんでしょうか。こういう問題はさっさと解決をして、北が望んでいます国交正常化、まず経済的な支援というのをやはり求めるのが普通ではなかろうかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

 ○町村官房長官 余り先方の国家のリーダーの考え方を私が推測して物を言うのもいかがと思いますので、余り多くを語るべきではなかろうとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように、我々の考え方でいえば、拉致の被害者の方々を返し、そして国交正常化をして、北東アジアの平和と安定を保つ、そういう中で、日本から韓国に対して国交正常化に際してお渡しをしたような有償、無償のお金が当然北にも渡るんだから、それはメリットがあるではないか、こう考えるのが、ある意味では、我々のスタンダードからすればそうなんでしょうけれども、彼らはやはり違うスタンダードがあるんだろうと私は思うのであります。それが何であるのか、私もよくわからないわけではありますが、そこから先は想像の世界に入りますから、余り想像しても意味がないと思いますが、やはり国家の存立というものが一体何で成り立っているのかというあたりの考え方が違うのではないのかなと思ったりもいたします。

 ――そういうことであるとすれば、これからもやはり交渉するとすれば非常に難しい、なかなか前進が得られない、そんな状況も推測できるわけでありますけれども、でも、やはり交渉でありますから、向こうが望むカードというのも当然日本の中にはあるはずでありまして、例えば国交正常化である、経済的な支援である、こういうものを北朝鮮にもっともっと理解をさせて、拉致問題の早期解決を、譲歩を引き出すというところはできないんだろうかと、やはり、見ていて非常に歯がゆく思うわけであります。実際に、今まで、安倍政権の平成十八年九月二十九日に拉致問題対策本部が設置されておりまして、現在まで四回会議をされております。二回の会議においては、北朝鮮への対話の窓口を開きつつ、北朝鮮に誠意ある対応を促す云々とあります。しかし、対話と圧力によって、現在までに、ではどのような進展、成果があっただろうかと非常にやはり疑問に思っているんですけれども、何かありましたらお答えをいただけますでしょうか。

 ○小野寺副大臣 対北朝鮮措置の北朝鮮全体に対する効果ということですが、例えば経済面を考えますと、北朝鮮に対して、経済状況を考えた場合一定の効果を及ぼしているものと考えております。加えて、北朝鮮に対する措置につきましては、その経済的効果だけでなく政治的意義にも着目しながら、それが諸懸案の解決に向けた具体的な行動を北朝鮮から引き出すという目的に資するかとの観点から評価、検討していくことが重要だと思っております。現在、六カ月ごとに継続を決定しております船舶入港禁止措置及び輸入禁止措置も、北朝鮮に対し、諸懸案の解決に向けた具体的な行動を求める我が国の立場を明確にする効果があると思っております。我が国としましては、北朝鮮が我が国と真摯な対話を行い、具体的な行動をとることを改めて求めたい、そのように思っております。

 ――我が国としては効果があると認めても、向こうに効いているかどうかというのが最大の問題だろうと思うんですね。やはり、こうやって解決ができないということは、なかなか相手にとっては効いていないような、的を得ていないような制裁なんじゃなかろうか。ですから、対話と圧力という形で決めているんですから、圧力の制裁だけではやはり解決できないんじゃなかろうか、こんなふうに思うわけであります。それでは、この日本の拉致問題に関して、米国政府はどのような支援体制を今までとってきたか、お尋ねをしたいと思います。

 ○小野寺副大臣 米国は、拉致問題に関する我が国の立場をよく理解しております。これまでもあらゆる機会をとらえまして、北朝鮮に、拉致問題の解決に向けた具体的行動を働きかけるなど、協力をしてきております。ライス国務長官も、拉致問題が米国の非常に高い優先事項であり、米国にとっても重要な問題であるという旨を確認しています。五月二十二日に高村大臣がライス長官と電話会談を行った際にも、非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するよう引き続き日米間で協力していくことを確認いたしました。また、五月二十七、二十八日に北京で行われました米朝協議におきましても、ヒル国務次官補は、金桂冠北朝鮮外務副大臣に対しまして、拉致問題の解決に向けた具体的な行動を働きかけたものと承知をしております。

 ――二〇〇三年八月、第一回の六カ国協議が北京で開催されたわけでありますけれども、そのときに、米朝二国間会議は絶対にしないとブッシュ政権は内外に明言していたはずなんですね。しかし、ある日から突然、二国間協議、会合を始めるようになりました。今やテロ支援国家指定解除を行おうとするところまで行っておりまして、このことに対してどう考えたらいいんでしょうか。答弁をいただきたいと思います。

 ○小野寺副大臣 テロ支援国家指定解除の問題、これは米国国内の法律が適用する問題であります。米国は、現時点で北朝鮮のテロ支援国家指定解除を決定したということはありません。北朝鮮のテロ支援国家指定が解除されるかは北朝鮮による非核化措置次第であるという立場を維持する一方で、拉致問題に関する我が国の立場をよく理解をしております。これまでもあらゆる機会をとらえまして、北朝鮮に拉致問題の解決に向けた具体的な行動を働きかけるなど、協力をしております。いずれにしましても、米国はテロ支援国家指定解除の問題につきまして日本側と十分に協議するとの立場でありますので、政府としては、この問題を含め、引き続き米国と緊密に連携をしていく考えであります。

 ――同じく、第一回の六カ国協議の会合では、日本人拉致問題は日朝の問題であり、中国は両国間の交渉を通じて適切に解決されるよう希望すると、王毅中国外交部副部長によるホスト国の総括がございました。なぜ、拉致問題解決のために、その後、日朝間で協議を進められなかったのか。当時、北朝鮮は日本を相手にせずというような態度をとっていたわけでありますけれども、原因、どのように分析をされていますでしょうか。

 ○小野寺副大臣 委員御指摘ありました、二〇〇三年八月に開催されました第一回六者会合が終了した後の記者会見におきまして、当時の王毅外交部副部長は、拉致問題に関して、この問題は日朝間で懸案となっている問題であり、中国側は日朝間で協議を通じて問題を適切に解決することを希望しているという旨述べたことを承知しております。六者会合の中核的議題は核問題でありますが、我が国は、毎回拉致問題について取り上げてきております。こうした努力もありまして、日朝関係は、二〇〇五年九月の六者会合共同声明を初めとする累次の成果文書でも取り上げられておりまして、北朝鮮の非核化や米朝関係とともに、六者会合の枠組みの中に明確に位置づけられるに至っております。このことは、今後拉致問題を含む日朝関係の懸案事項に取り組んでいく上で有意義と考えております。我が国は、六者会合を通じまして、朝鮮半島の非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するように努力しておりますが、中国を初めとする各国は、我が国のこのような立場を理解し、支持しております。政府としては、引き続き、六者会合共同声明を全体としてバランスよく実施すべく、米国を初めとする関係国と緊密に連携をしていく考えにあります。

 ――王毅外交部副部長は、もう一回読みますけれども、両国間の交渉を通じて適正に解決されるよう希望すると。ですから、日朝でこの拉致問題というのは、六カ国協議のテーブルではなく、別にどんどん協議を進めていくべきじゃなかったのか、こう思うわけでありまして、それをどうしてやらなかったのか、そういう質問なんですけれども、いかがでしょうか。

 ○小野寺副大臣 先ほど官房長官からもお話がありました。これは、もちろん日本としては、あらゆる機会を通じて北朝鮮との対話をしていきたいと思っておりますが、何せ相手があることでありますので、あらゆる努力をする中で、この六者会合の場での議論ということも必要なことかと思っております。

 ――交渉ですから、相手がテーブルに着かないのであれば、着かせるような努力をするのも交渉の一つだろうと思います。相手だけが悪いということでは答えは出ないですよね。ですから、日本のこれからの北朝鮮に対する対応というのも今までと違ったものをやはり考えていかなきゃならないんじゃないんですか。それで、次に、続けたいと思うんですけれども、アメリカは、拉致問題こそありませんけれども、北朝鮮とは現在でも休戦中である、敵対国家であるということは間違いないわけであります。しかし、国連を舞台にして接触し、北京を足場にして、第三国を介したりして、常にパイプを保持していますよね。しかし、日本国政府は、「北朝鮮への対話の窓口を開きつつ、北朝鮮に誠意ある対応を促すため」等々と対応しているようでありますけれども、対話の窓口というのはどんなものを考えておられるのか。幅広い日朝間の交渉窓口のチャンネルというのもこれからもっと考えていかなきゃならないんじゃないか。特にお尋ねをしたいのは、議員外交についてどう考えておられるか、答弁をいただきたいと思います。

 ○小野寺副大臣 行政府の方から議員外交についての言及というのはなかなか言いにくい部分もありますが、一般論として申し上げれば、国民の代表である国会議員が、外国政府等に、我が国の事情や国民の声を直接説明し、訴えかけることには意味があると考えております。しかし、万が一にも、政府の立場と異なる考え方が先方に伝わり、我が国の立場に関して誤ったメッセージが相手側に伝わることになったり、政府の交渉上の立場を弱めることになったりしないように、そのような注意は必要であると思っております。

 ――基本的スタンスをやはり大きく変えていかなければならないんじゃなかろうか、こう思うわけであります。特に、日本の外交というのは米国追随外交、こう言われておりまして、我が国の今後の外交政策にもやはり及ぶことでありますけれども、もうアメリカ追随外交から脱皮して独立外交ができるように、やはり普通の国にすべきじゃなかろうか、こう思うんですけれども、官房長官、いかがでしょうか。

 ○町村官房長官 何をもってアメリカ追随と委員がおっしゃっているのか私にはわかりませんが、一つ、通常の国であれば、それはさまざまなルート、チャンネル、いろいろな話し合いというのがあっていいんだろうと思います。日本の国内にはいろいろな考え方がある。ただ、相手側は、ポーカーに例えれば、こちらの手は全部見える、日々の報道を見ていれば全部見える。幾らインテリジェンスを使ったって相手のポーカーの手のうちはほとんど見えない状態にある。こういう国と話し合いをしようというわけでありますから、そこは、アメリカ追随であろうとなかろうと、どうやったって大変困難が伴う国であるという点についてぜひ委員も御理解をいただきたい、こう思います。では、日本が北朝鮮と一体どういうチャンネルを使って交渉しているのか、これは、恐縮でありますが、そのすべてを今この場で語ることはもとよりできませんけれども、しかしそれは、表のチャンネルだけではない、いろいろなチャンネルを持ってやっているということは事実であります。この六者協議のフレームワークの中で、北朝鮮と何でたった四回しか話し合いができなかったのか、それはもうひとえに相手側が乗ってこないというまことに単純な話なんですね。交渉のやり方を変えろとおっしゃる。では、内山委員、何をどう変えろとおっしゃるのか。もうこちらが全部、好きなだけお金を持っていってください、差し上げますよ、そういう交渉のやり方も、それはあるのかもしれない。よもやそんなことをお考えではないと思います。

 ――所定の時間が来ていますけれども、私は、本日十一日から明日まで始まります、国交正常化に至るプロセスを考えますと、北朝鮮は、ある時期から、アメリカの暗示があって初めて活発化して動き出したように感じてならないんですね。それはだから、米国追随型の外交を日本がしている、主体性がないところで、日本を見ていず、アメリカさえ見ればこの問題が解決するというのは、私は、北朝鮮に足元を見られているんじゃなかろうか、こう思っているんですけれども、いかがでしょうか、それは。

 ○町村官房長官 恐縮だが、今の仮定のお話は全く間違っております。

「よど号犯と拉致問題進展と関係があるのか」



△渡辺周議員(民主党)


 ――これまで日本側は、拉致解決なしに国交正常化やあるいは重油の支援はあり得ないんだと言っていたのが、途中から、拉致問題の進展なしにという話になってきた。解決から進展ということで、これはハードルを下げてきましたね、日本側は。そうしますと、では、そもそも何をもってして進展とするのかということは、これまでも、私も昨年のこの委員会でもお尋ねしましたけれども、ここへ来て、日朝交渉のまさに直前において、この日朝交渉の経過と結果次第では、六カ国協議が加速して、テロ支援国家指定の解除にまでつながる可能性もある。そのことを考えますと、我が国としてこの拉致問題の進展というのは何を指すのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

 ○町村官房長官 進展の中身を一般的に言うことは困難でございます。先方がどういう具体的なアクションをとってくるのか、個別具体的に先方の対応を見た上で判断をするということであります。

 ――前回からずっと政府の見解はそうなんですね。

 例えばよど号犯を帰国させる、追放するとなった場合は、ヨーロッパでよど号犯が有本恵子さんを初め数名の日本人を言葉巧みに連れていって拉致をした、そこによど号犯の妻の関与が言われているわけでございますから、例えば北朝鮮がよど号犯を、このテロリストを今までかくまってきたことがアメリカのテロ支援国家の一つの要件であるならば、追放する、もう既に中国経由で返すというような一部観測もありますけれども、よど号犯を返すことと拉致問題の進展とは関係がありますか、それとも、これは進展とみなさないのか。どちらですか。

 ○町村官房長官 これは進展と関係がありません。

 ――では、よど号犯は、帰ってきて、追放されて、日本側が身柄を拘束することになっても、これは拉致問題の進展ではないと。そうすると、今までと姿勢は変わらないということですね。

 それでは、先ほど内山委員の質問の中にありましたけれども、一部報道で、アメリカ発の情報として、ほかにも拉致被害者がいて、この人たちを返す用意があるんだと。私は、これは多分観測記事だろうと思います。これで日本の世論がどう動くか、あるいは北朝鮮強硬派の人たちがどういう姿勢を見せるかということでアドバルーンを上げたんだろう、そのためにどこかが、だれかがリークしたのかなとも、うがった見方をするわけでありますが、それならば、新たな拉致被害者がいるということが何らかの形でわかった、その情報を提供してもいいということがもしこの交渉であった場合は、これは拉致問題の進展ということになるんでしょうか。いかがですか。

 ○町村官房長官 こういうことをこの場で全部話すことが、相手側に全部ポーカーのカードを見せることになります。

 ――私は一般論として聞いているんですよ。つまり、進展というのは、何らかの、今いる十二名、拉致されて死亡されたと言われた人間たち、その人たちの新たな情報が出てくること、あるいは、それまでの全く我々が思いもしていなかった方が実はいるということである場合、これは新たな情報がわかったことで進展とするのかどうか、そこだけです、聞きますが。新たな情報が出てくればそれを進展とするのかということですね。いかがですか。そこだけお答えください。新たな情報が進展とみなされるか。

 ○町村官房長官 こういう場合において一般論を言うことは全く意味がないと思います。

 ――それでは、時間がもうあと十分を切りましたのでちょっとテーマをかえますけれども、ただ、この日朝交渉の安易な妥協はぜひしていただきたくない。もうこれで拉致問題の進展とできるということで功を焦って、もっと言えば、北朝鮮は、はっきり言って、交渉に関してこれまでも何カ国もの大国をだましてきたような国ですから、日本あたりをだますのはもうわけない。北朝鮮の外交戦術というのは、そこら辺は、中国やソ連やアメリカを手玉にとってだまくらかして、軍優先の国家でありながらここまで生き延びてきている国ですから、それこそ我が国はだまされてきたわけですので、この点については決して安易な妥協は絶対にしてはならない、そのことをこの場で申し上げておきたいと思います。そして、もしアメリカがテロ支援国家の指定解除に本当に加速するようなときがあったら、とにかく日本は同盟国として今までこれだけやってきて、なぜ最後の最後に来て日本を置き去りにしてアメリカは功を急ぐのかということに対して強く申し入れをして、ぜひともテロ支援国家の指定解除などということが安易に行われないように、日本の最大限の努力をすべきだと思います。

「北朝鮮が一歩踏み出せば、日本も行動を取るのか」



△笠井亮議員(共産党)
 

 ――冒頭に町村官房長官に伺いますが、先日の日朝の非公式の協議では、外務省の齋木局長が、会合を重ねるだけではだめで会合を開くたびに日朝関係の前進を図ることが大事だと述べたのに対して、北朝鮮の宋日昊担当大使も、同じ考えだと応じたということでありますけれども、今回の公式協議に日本政府としてはどのような方針で臨んでおられるのか、改めて官房長官、いかがでしょうか。

 ○町村官房長官 まさに今お話あったように、会合を開けばいいというものではございません。会合を開いて、やはり前進を見なければいけない。拉致問題の解決、拉致問題を含む諸懸案の解決に向けて北朝鮮側が具体的な行動をとることを日本政府としては求め続けてまいりましたし、また、今回の会合においてもそのことを求めてまいることでございます。

 ――昨年九月の日朝国交正常化作業部会の際に、北朝鮮の金哲虎外務省副局長は、記者会見の中で、拉致問題について日本側から疑問が残っているという考えが示されたので、今後両国間の立場の差を縮めるために、狭めるために協議を続けると述べて、拉致問題の再調査の問題についても、まだ両国間の関係が悪化したままだ、環境が整い信頼関係ができれば議論し得る、このように語っておりました。今回の公式協議の中で、こうした点がどこまで協議されて日朝関係の前進に結びつくかが注目される点の一つだと思います。そこで、北朝鮮側が何らかの一歩を踏み出し具体的な行動をとるなら、日本政府としてもそれに応じて一歩を踏み出して何らかの行動をとる、こういうふうになるのか、こういうお考えはあるのか、官房長官の所見を伺いたいんですが、いかがでしょうか。

 ○町村官房長官 今、再調査という具体のお話がありました。今この時点で予断を持って再調査云々ということを申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、要は、北朝鮮側がこの問題の解決に向かってその意思を明らかにし、そのために具体的にどういう行動をとるのか、そのことを見きわめる必要があるわけでありまして、そのことを見きわめた上で、それが評価をし得るものであれば、それは日本側としても一定の対応をしていくということはあり得ると思います。それはあくまでも、北朝鮮側がどういう対応をとるのかということにかかっているということであります。

 ――あくまでも、北朝鮮側がどういう対応をとるかにかかっている、まさにそのとおりだと思うんです。これもどうなるかということでは、交渉事ですが、例えば、相手の側が大きく一歩を踏み出して具体的な行動をとるとなれば、それに応じて我が方もそういう対応をしていく。あるいは、少しでも、小さい一歩をとるというのであれば、またそれに応じて日本側も何らかのことを考えていく。交渉ですから、そしてやりとりですから、そういうふうなことを念頭に置いていらっしゃるのか、その辺はいかがですか。

 ○町村官房長官 ちょっと、定かな記憶でもありませんし、メモはありませんが、高村外務大臣が、今委員が言われたような趣旨の、おおよその趣旨のことを言われたという報道を私も拝見いたしました。ここは正確に、まさに先方がどういう行動をとるのか、そして今後、さらにそれをどのように発展させるのかということを具体的に判断しながら、我が方もそれにどう対応していくのかということを具体的に考えなければいけないという趣旨であると私は考えております。

 ――この際、日本政府が求めている拉致実行犯の身柄引き渡しについて伺っておきたいと思うんです。昨年十一月十六日の衆議院の外務委員会で小野寺副大臣は、よど号のハイジャック犯の身柄引き渡しについて、基本的に我が国としては、拉致問題の中でよど号ハイジャック犯の引き渡しというのは、拉致問題の解決に直接関与するものではないと考えているという見解を述べられました。先ほど官房長官も、進展に直接関係あるものじゃないという趣旨を言われたと思うんですが、政府が北朝鮮側に身柄引き渡しを求めているよど号グループには拉致を実行した容疑者が含まれているわけでありますけれども、そのことをどう見るか、改めて今の時点で、外務省の見解で結構ですが、伺っておきたいと思います。

 ○小野寺副大臣 本十一日より北京におきまして日朝実務者協議が開催される予定が立っておりますが、同協議において、我が方よりは、よど号ハイジャック犯人の引き渡しについても北朝鮮側に要求することになると考えております。北朝鮮側が我が方の要求に対していかなる対応をとるかは予断できませんが、よど号ハイジャック犯人の引き渡しの問題は拉致問題とは必ずしも直接関係するものではないと考えております。ただし、よど号ハイジャック犯人の中には、拉致事案の被疑者となっている者、魚本、旧姓安部公博もおりますので、同人等の供述により拉致問題の解決に資する新たな事実が明らかになること、それを期待しております。◆