2011年7月8日(金)

福岡―釜山間の経済

 博多で「2011福岡―釜山ビジネスCEOフォーラム」で開かれた。

 主催は福岡商工会議所と釜山商工会議所で、昨年初めて釜山で開かれ、今回は福岡の順番。

 韓国からは韓国取引所副理事長が「韓国取引所の上場について」の報告があり、その後、福岡、釜山からそれぞれ3人の経営者がパネリストとして登場し、九州経済調査協会の加峯隆義調査研究部次長のコーディネートの下、パネルディスカッションが行われた。

 このフォーラムのため韓国側からは釜山商工会議所会長をはじめ釜山市経営者ら40数人が出席し、また釜山市からも市長ら関係者が来日した。

 基調講演の演題は「今後の日韓交流について〜近くて“より近い”日韓関係〜」で 会場の西鉄グランドホテルに集った日韓双方合わせて150人の経営者らを前に約1時間、日韓の経済・人的交流について、東日本大震災が日韓に及ぼす影響について、さらには福岡―釜山を軸とした日本と朝鮮半島の経済交流、その延長線上にある朝鮮半島縦断鉄道とシベリア鉄道との連結が持つ意味、さらにその先を見据えた日本列島と朝鮮半島を繋げる日韓海底トンネルの重要性などについて語った。

 福岡からすると、釜山は同じ九州エリアの鹿児島よりも近い距離にある。歴史的にも文化的にも、経済的にも最も近い関係にある両市は3年前の10月31日、「2009福岡―釜山友情の年」を宣布。昨年8月には、ビジネスや観光での広域経済交流を進める窓口となる「福岡・釜山経済協力事務所」をそれぞれの庁舎内に開設した。両市を結ぶテレビ会議システムまで導入している。

 今年は、「福岡―釜山超広域経済圏形成及びアジアゲートウェイ2011共同キャンペーンに関する宣言文」を公式発表し、「経済協力協議会」を発足させている。今回のフォーラムはそのキャンペーンの一環として行われている。

 国境と海峡を越えた福岡それに北九州市と釜山市の超広域経済圏構想は将来は、全九州と韓国東南部に拡大されるとのことだ。

 すでに、日韓海峡研究機関なるものもできており、将来は、日本は福岡、佐賀、長崎が、韓国は釜山、慶尚南道・北道、それに全羅南道と済州道を網羅し、技術交流、投資、生産委託などを活発化させ、東アジアの新たな成長圏にする構想を抱いている。実に夢のある話だ。

 現在、日韓の往来者は500万人を突破し、昨年は延べ546万人に達した。福岡―釜山間だけで年間100万人が往来している。全体の5分の1である。

 来年5月には日韓海峡経済圏内に入る全羅南道の麗水(リョウス)で万博が開かれる。外国人55万人を含む800万人近くの来場が見込まれている。

 現在、万博の交通手段として麗水と釜山に近い慶尚南道の南海(ナメ)間に全長2.3kmの大橋が建設中にある。日本からも多くの観光客が麗水万博を訪れるが、その一方で、外国人観光客を含め多くの万博来場者が釜山経由で福岡を訪れることも予想される。