2011年11月14日(月)

拉致と竹島、どちらを優先?

 韓国は先週金曜(11日)に再三にわたる日本の抗議を無視し、政治家やマスコミ関係者ら500人以上が参加して竹島(独島)で「美しいわれらの領土独島音楽会」と題する音楽会を開いた。

 主催は韓国超党派の「独島を守る国会議員の集い」だが、この音楽会を主導した中心人物が先月脱北者の証言として横田めぐみさんの生存を伝えたばかりの自由先進党の朴宣映(パク・ソンヨン)議員である。

 日本政府は朴議員に拉致問題では協力を要請する一方で、竹島問題では抗議という矛盾した対応を取らざるを得ないとは、なんとも皮肉なことだ。

 特に日本は拉致問題では先日、民主党の有田芳生参議員らが訪韓し、朴議員との間で「日韓議員連盟」の結成に合意したばかりだ。

 拉致問題での共闘を目指す日韓議員連盟には朴議員をはじめ参加の意思を表明している韓国の議員の中には今回の音楽会を主催した「独島を守る国会議員の集い」のメンバが数多く含まれている。

 竹島が日本の領土ならば、音楽会で竹島に入った朴議員ら韓国側の日韓議員連盟所属議員らは日本の主権を侵害し、不法入国したことになる。不法入国した以上、尖閣諸島で日本の領海を侵犯した中国漁船船長らと同様に彼らが来日すれば、けじめとして法的処分をせざる得ないのではないだろうか。対北朝鮮、対中外交でよく使われる言葉である「毅然たる対応」が日本は韓国に対してできるのだろうか。

 今夏、韓国政府が竹島への中継地である鬱陵島視察計画をした新藤義孝、稲田朋美両衆院議員、佐藤正久参院議員ら自民党の議員らの入国を拒否し、大騒ぎになったことがある。

 この事件直後に韓国の「独島を守る国会議員連盟」では、独島が韓国の領土であることに異を唱え、奪還運動を展開する日本の政治家らの入国を阻止することを政府に強く求めている。

 ならば、日本もその対抗措置として、同じように朴議員らの入国を拒否するのが筋だが、拉致問題での「協力者」に果たしてそれができるのだろうか。

 拉致、竹島、どちらを優先すべきか、どうやら日本にとっては頭の痛い問題のようだ。