2012年1月27日(金)

日本は「竹島」よりも「拉致」が重要!?

 日韓が領土問題でもめている。

 事の発端は、玄葉光一郎外相が24日に行った外交演説で竹島問題に言及したことだ。玄葉外相は演説で、日韓が領有権を争う竹島(韓国名・独島)について「受け入れられないものは受け入れられないと伝える」と述べた。「竹島は日本の固有の領土」との立場を取る日本からすれば、至極当然のことだ。

 しかし、これに韓国政府は即刻噛みついた。韓国外交通商省は「強く抗議し、(発言の)即時撤回を求める」との報道官談話を発表した。「独島は韓国の固有の領土」との立場を取る韓国からすればこれまた極めて当然の抗議だ。

 玄葉外相は翌日の記者会見で竹島問題に触れたことについて「(韓国の)閣僚や国会議員の竹島への上陸などさまざまな動きがこの間あり、そうしたことも鑑みながら(日本)政府のこれまでの基本的な立場を述べた」と語っていた。日本の再三にわたる抗議、警告を無視し、竹島への実効支配を強める韓国に釘を刺して置きたいとのことのようだ。

 韓国国会議員の竹島上陸とは昨年11月平壌で22年ぶりの日朝サッカーの試合が行われようとしていた時、「美しい我らの領土独島音楽会」という名のコンサートが開かれ、韓国の政治家やマスコミ関係者ら500人が参加したことを指しているのだろう。

 このコンサートを主催したのは韓国超党派の「独島を守る国会議員の集い」である。そしてその中心人物が他ならぬ「横田めぐみさんは生存している」との脱北者の証言を伝え、日本のマスコミの脚光を浴びた例の韓国女性国会議員(朴宣映=パク・ソンヨン)である。

 実は、彼女は昨年12月の暮れに密かに来日している。拉致問題との関連で日本から招かれたそうだ。

 竹島が日本の領土ならば、朴議員らは日本の主権を侵害し、法的には不法入国したことになる。不法入国した以上、尖閣諸島で日本の領海を侵犯した中国漁船船長らと同様に法治国家としてはけじめとして入国禁止措置を含む何らかの法的処分をしなければならない。ところが、「毅然たる外交」はどこへ行ったのやら来日を許されたばかりか、法的処分もお咎めもなかったそうだ。実に寛大だ。

 その点、領土問題での韓国政府の対応は一貫して毅然としている。

 昨年8月、韓国政府は独島でなく、独島への中継地である鬱陵島視察を計画した新藤義孝、稲田朋美両衆院議員、佐藤正久参院議員ら自民党の議員らの入国さえ認めず、強制退去の処分を科した。

 まして、この入国拒否事件直後に朴議員が中心となっている「独島を守る国会議員連盟」は、「独島が韓国の領土であることに異を唱え、奪還運動を展開する日本の政治家らの入国を禁止する」ことを政府に強く求めている。

 ならば、日本もその対抗措置として、本来ならば同じように朴議員の入国を拒否するのが筋だが、全く問題にもしなかった。領土の問題よりも、拉致の問題を優先させたのだろう。これが日本の「毅然たる外交」の実態だ。

 同じく主権侵害の問題でありながら「領土」よりも「拉致」が大事、重要ということならば、韓国にとっては何よりだ。