2008年8月13日(水)

北朝鮮にも12年ぶりに金メダル!

 金メダル最有力候補のケー・スニ選手が2回戦で破れ、さらには前回のアテネで銀メダルを取ったボクシングのキン・ソングク選手も1回戦で敗退したことで、12年ぶりの金メダル獲得に暗雲が漂っていた北朝鮮だが、五輪初出場のキム・ヒョンスク選手が、北朝鮮の重量挙げ史上初の、また北朝鮮にとっては12年ぶりの金メダルをもたらした。

 報道によると、スクラッチで4キロ差をつけられていたキム選手は首位のカザフスタンの選手がジャークを130キロで終わると、一発逆転を狙って、135キロに挑戦。二度失敗したものの、最後のトライで持ち上げたから驚くべき精神力だ。

 金メダル受賞の感想を聞かれると、「将軍様(金正日総書記)が観ていらっしゃるので何としでも金メダルを捧げたいと思った」と一言。いかにも北朝鮮らしい。そう言えば、五輪に初めて参加した1972年のミュンヘン大会での射撃で最後の一発で米国の選手に競り勝った北朝鮮のり・ホジュン選手も記者会見で「最後の一発は米帝国主義の心臓を打ち抜く気持ちで撃った」と言っていた。自国向けと外国向けの使い分けができないところにこの国の選手の国際経験の浅さを感じる。

 キム選手の金メダル受賞に韓国のメディアもまるで自国の選手が金メダルを取ったかのごとく、この快挙を大々的に報じていた。韓国の北京五輪公式サイトには、北京五輪での北朝鮮のメダリストを韓国のメダリストと同列に写真入りで紹介している。

 これに比べて、朝鮮総連の機関紙は韓国選手団の入場行進も、400メートル自由形で水泳史上初の金メダルを手にしたパク・テファン選手の活躍も知らぬ存ぜぬで、無視を決め込んでいる。

 男子射撃10メートル及び50メートルピストルでキム・ジョンス選手が銅、銀と連続してメダルを取ったことは報じながら、銀と金の韓国のチン・ジョンオ選手については一切無視という有様だ。

 韓国とは現在喧嘩状態にある北朝鮮の労働新聞ならば、わからないわけではないが、なにかにつけ「統一」とか「民族和解」とか「民族は一つ」を云々している在日の新聞としてはあるまじき報道姿勢である。実に情けない。またそれにおかしいとは思わない、異を挟まない読者も同じだ。同じ同胞の快挙を喜べない者に民族、統一を語る資格はない。