2008年2月13日(水)
W杯予選の平壌開催は大丈夫?
W杯第3次予選で韓国と北朝鮮が同じグループに入ったことで複雑な問題が発生し、来月26日に平壌で行なわれる南北の試合開催が微妙になってきた。その理由は、北朝鮮が韓国の国旗の掲揚と、国歌の演奏を拒んでいることにある。5日に開城で開かれた南北実務者会議で北朝鮮側は国旗の変わりに朝鮮半島旗(統一旗)を、国歌の変わりに朝鮮半島民謡「アリラン」の代用を求めていたことがわかった。
韓国側は、南北間の親善試合ならば、これまでの慣例に従って、異論はないが、今回は、公式の国際マッチであること、それもW杯の予選であることからFIFA(国際サッカー連盟)の規約とルールに従い、今回は、両国の国旗の掲揚と国歌の演奏を行なうべきであると主張している。
南北は過去8回対戦しているが、平壌での試合は1990年10月の南北統一親善試合以来実に18年ぶりとなる。平壌あるいはソウルでの親善試合は、双方の国旗ではなく、朝鮮半島旗を掲揚し、また国歌ではなく、アリランを演奏することが慣例化している。
韓国側は、北朝鮮が翻意しなければ、FIFAに調停を委ねるとしているが、過去に国歌と国旗の使用をめぐるトラブルの前例がないだけにFIFAがどのような裁定を下すのか興味深い。北朝鮮があくまで難色を示した場合、第3国での開催ということも考えられなくもない。
第3国での開催というと、つい今月6日のイラク対中国戦がイラクのホームではなく、第三国のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで行なわれたばかりだった。但し、この場合は、治安、安全上の配慮から、FIFAが開催地の変更を決めたもので、国歌や国旗をめぐっての開催地変更ではない。
FIFAが北朝鮮の要求を受け入れず、かつ北朝鮮がFIFAの決定に従わない場合、北朝鮮の失格による韓国の不戦勝という可能性もあり得る話だ。
これ以外にも、平壌開催には幾つもの難問が横たわっている。一つは、北朝鮮が韓国チームの陸路(バス)による移動を認めないとしていることだ。また、同行するマスコミの数も制限しようとしている。
韓国側は、平壌での開催に配慮し、入国についてはチャーター便の利用を、また、取材陣の数も調整するなど妥協する姿勢を示しているが、一番の難問は、韓国側の応援団の問題だ。
「赤い悪魔」に代表される韓国応援団は最低でも1千人のサポーターの派遣を検討している。これだけの数の韓国人が北朝鮮に押しかけるわけだから、迎える北朝鮮にとってはこれはまさに「一大事」である。
試合は午後3時にキックオフとなるので、チャーター便による日帰り観戦は可能で、宿泊施設の心配はしないで済むが、北朝鮮にとっての最大の悩みは、大きな太極旗(韓国国旗)を掲げての、あの熱狂的な「テーハンミング(大韓民国)」の大合唱だ。
大韓民国(韓国)を国歌として認めていない北朝鮮にとっては、首都のど真ん中で「テーハンミング」を連呼されるのは何としてでも避けたいのだろう。北朝鮮にとっては「たかがスポー」では済まされないようだ。さて、どう決着が着くのだろうか。